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【コラム】闘将コンテでも悪しき伝統の打破ならず…リヴァプールに挑むトッテナムの現状 | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

【コラム】闘将コンテでも悪しき伝統の打破ならず…リヴァプールに挑むトッテナムの現状 | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー コラム】 プレミアリーグ第36節の必見カードがリヴァプール対トッテナム(日本時間8日3時45分キックオフ)だ。闘将アントニオ・コンテをもってしても変えられないスパーズの現状を整理しながら大一番を展望する。

スパーズィーはスパーズィー

ハリー・ケインとソン・フンミンはプレミアリーグ、いやいや世界でもトップランクの名コンビだが、彼らの活躍がトッテナムの成績に直結していない。直近5シーズンを振り返ると、2016-17シーズンの2位をピークに、3位→4位→6位→7位とジワリジワリと下降している。

今シーズンも優勝争いとは無縁で、ブライトンやバーンリー、サウサンプトンに敗れたり、不振にあえぐマンチェスター・ユナイテッドにダブルを喫したり、サポーターのため息が聞こえてくる。それでいてマンチェスター・シティを3-2で破るのだから、つかみどころがないというか、気分屋ぞろいというか。

昨年11月からトッテナムを率いる闘将アントニオ・コンテをもってしても、悪しき伝統を打破するには至っていない。スパーズィーはスパーズィー。イングランド・フットボール特有の造語で、“だらしがない” のである。

それでもトッテナムには、チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得の可能性がまだ残されている。彼ら以上に精彩を欠くユナイテッドが勝点をロスする間に、いつのまにか3位チェルシーと5ポイント差、4位アーセナルと2ポイント差。他力本願とはいえ、至高のステージに復活できるチャンスがトッテナムに転がり込んできた。

また、ロマン・アブラモヴィッチ前オーナーへの制裁に伴うペナルティー(9ポイント剥奪か)がチェルシーに課された場合は、CL出場権獲得の確率はさらに高くなる。当然、選手たちのモチベーションも刺激されているはずだ。

「残り試合はとにかくすべて勝つ。それ以外にない」

ケインもわずかな可能性にかけて決意を新たにしていた。

クロップはトッテナムに9勝5分1敗

2022-0419-liverpool-klopp(C)Getty Images

しかし、今週末の相手が悪すぎる。クアドルプル(四冠)を狙うリヴァプールだ。現地時間5月3日に行われたCL準決勝第2戦、前半に2点のリードを奪われた彼らは62分からの12分という瞬く間に3点を奪っている。対戦相手のビジャレアルも善戦したが、最終的には嫌というほどの実力差を見せつけられた。

前線はモハメド・サラー、サディオ・マネ、ルイス・ディアス、ディオゴ・ジョタが揃って好調。中盤ではファビーニョとチアゴ・アルカンタラが存在感を示し、サイドバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドとアンディー・ロバートソンは、後半の追加タイムでもスプリントを繰り返せるタフネスだ。

もちろん、フィルジル・ファン・ダイクとアリソンも健在で、ハムストリングの負傷により別メニューで調整を続けるロベルト・フィルミーノを除くすべての主力が、最終盤にもかかわらずコンディションを整えている。したがって、週末のトッテナム戦もリヴァプール有利と考えていいだろう。

15年10月、ユルゲン・クロップ監督はトッテナムとの一戦でプレミアリーグにデビューした。以降、公式戦は9勝5分1敗。現在は引分けを挟んで6連勝中であり、本拠アンフィールドでは5勝2分無敗。データでも圧倒している。

コンテのイズムが浸透していない

2022-04-02-conte-tottenham(C)Getty Images

トッテナムが活路を見出すとすれば、リヴァプールのハイライン裏を快足ソン・フンミンがつく──だが、クロップ監督が仕掛けるゲーゲンプレスをかいくぐれるだろうか。

最終ラインのエリック・ダイアーとベン・デイヴィスはスピード不足で、左ワイドに起用される公算が大きいライアン・セセニョンは守備意識が低い。鼠径部を痛めているセルヒオ・レギロンは、リヴァプール戦に間に合いそうもない。

3-1の勝利を収めたホームのレスター戦から中6日。リヴァプールはアウェーのビジャレアル戦から中4日。移動距離も含め、コンディションとしてはトッテナム優位にも映る。しかし、リヴァプールは厳しい日程でも走れて闘える選手をズラリと揃えている。完成度も非常に高い。

一方、トッテナムはプレー強度に不安のある選手も少なくなく、コンテ就任後まだ7ヶ月だ。彼のイズムが浸透するまでには時間が足らず、超負けず嫌いの男が率いているとは思えないほど淡白だ。

当然、リヴァプール戦の苦戦は否めず、大量失点を喫すると残り3試合に大きなダメージとなって現れるに違いない。

気持ちが折れる。

文・ 粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

粕谷秀樹のNOT忖度

配信情報

プレミアリーグ第36節
リヴァプール対トッテナム

  • 配信: DAZN
  • 配信開始:5月8日(日)3時45分
  • 解説:戸田和幸 実況:下田恒幸
  • 会場:アンフィールド

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