エラーコード %{errorCode}

サンプドリア

【連載】ジュゼッペ・ベルゴミも唸るサンプドリアDF吉田麻也の美徳「若いチームメイトのお手本」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第9回

【連載】ジュゼッペ・ベルゴミも唸るサンプドリアDF吉田麻也の美徳「若いチームメイトのお手本」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第9回(C)Getty Images
【インタビュー】イタリアサッカー界の重鎮がカルチョの魅力や神髄に迫る当連載。第9回はジュゼッペ・ベルゴミがサンプドリアの吉田麻也を分析する。往年の名手が唸る日本代表DFの美徳とは――。

この連載で以前、私が現役キャリアの大半を費やしたセンターバックを考察しました( カルチョS級講座 第4回「冨安健洋はまさに私好み」 )。今日は複数人ではなく1人に絞って、深く掘り下げていきます。

取り上げるのは日本のファンならよくご存じ、サンプドリア吉田麻也。吉田がイタリアにやって来たのは昨年の1月でしたね。それから1年、いまや吉田は完全にサンプドリアのレギュラーに定着しました。

この1年での彼のプレーを見てまず感じるのは、スムーズにセリエAにフィットしたな、ということ。

CBというポジションに限らず、セリエAは外国人選手にとってかなりタフなリーグと言えます。欧州でのプレー経験が長い吉田とはいえ、決して簡単ではなかったはず。彼の順応の早さは称賛に値します。

セリエAに適応する上で、クラウディオ・ラニエリ(下写真)という監督の存在は大きかったと想像します。

日本のファンも、ラニエリには馴染みがあるのではないでしょうか。2015-16シーズン、レスターをプレミアリーグ初優勝へと導いたあの監督です。

実はそのラニエリ、攻撃面よりどちらかというと守備面を重視することで有名な指揮官。トレーニングでまずしっかりと守備戦術を落とし込んでいく。セリエA初参戦だった吉田にとって、彼のような監督はベストマッチだったはず。その点はラッキーでしたね。

2021-01-16-ranieri-sampdoria

スピードがないわけではない

とはいえ、個人的にはそれほど驚きはなかったですよ。吉田のことは以前から知っていましたし、サウサンプトン時代のプレーをよく見ていたからです。

第一にフィジカルがしっかりしていますね。がっちりした体格で、CBに不可欠な上背もあります。その背格好からは一見、スピードがなさそうに思われがちですが、実はそんなこともありません。

1月30日のセリエA第18節、ユヴェントス戦でまさにそれを証明しています。0-2で敗れはしましたが、吉田はクリスティアーノ・ロナウドのスピードについていき、得点機会を何度も阻止していました。

十分な走力を備えている一方で、最大の魅力は何と言っても空中戦の強さでしょう。ミスが少なく、常にシンプルでクリーンなプレーを心がけている姿も印象的。ファウルが少ないのも彼の特徴のひとつです。

試合の流れを読む能力にも長けていますね。状況判断に優れているので、ポジショニングも素晴らしい。常に正しい場所にいて、相手の攻撃にしっかりと備えている印象が強いです。

面識がないので、彼の性格は分かりません。ただ経歴から察するに、しっかりとしたパーソナリティの持ち主であることに疑いはありません。

長く日本代表に君臨し続け、国際Aマッチ出場はすでに100試合オーバー。なおかつ主将も務めています。人格的な魅力に欠けていたら、そもそもこのような数字は絶対に残せないはずです。

セリエAには吉田のほかに、冨安という日本人CBもいますね。足元の技術がしっかりしていて、運動能力もとても高い、私好みのCBです。ただ冨安に関しては、センターバックより右サイドバックがより適していると個人的には感じています。

32歳でもまだ学べることは多いはず

少し話が逸れましたが、現代サッカーにおいて強靱なフィジカルはCBに欠かせない要素のひとつです。

各チームのセンターフォワードを思い浮かべてください。ミランズラタン・イブラヒモヴィッチインテルロメル・ルカクローマエディン・ジェコ……。190センチを超える大型フォワードがゴロゴロいます。

そんな巨人たちと対等に渡り合うには。それなりのサイズがないと敵いませんね。

余談になりますが、私は182センチ。現役時代はこれでも大きい部類のCBでしたが、今ならサイズ的におそらくサイドバックでしかプレーできないでしょう。

吉田は190センチ近い身長があります。体格面だけ切り取っても、セリエAで十分にやっていけるだけのプロフィールの持ち主だと言えます。

32歳とすでにベテランの域に達していますが、セリエAでまだまだ学べることは多いはず。レベルアップを期待するとしたら、特にオフ・ザ・ボールでの立ち振る舞いですね。セリエAに挑戦する多くの外国人DFが直面する難関です。

セリエAではセットプレーの場面などで、ユニフォームを引っ張ったり相手の身体を掴んだりと、ファウルすれすれのプレーが多く見受けられます。

ゴール前でのそのような駆け引きに関しては、イタリア人はプロ中のプロ。セリエAでさらに経験を積むことで、吉田は駆け引きの技術も身につけ、さらなる能力アップを果たすことになるでしょう。

2021-01-30-yoshida-ronaldo-sampdoria-juventus

安定性のある優秀なCBのひとり

逆に他の選手が見習って欲しい吉田の素晴らしい部分があります。規律を守る姿勢です。

そもそも規律を重んじる、という性格は日本人の特徴でもありますが、吉田もまさにその1人。常に100%で練習に打ち込んでいると聞いています。スタメンを外れても腐るような態度をとることはありません。

チームの和を乱さず、ルールはしっかり順守する。彼のそういった規律正しさは、チームに間違いなくプラスに働いているはず。若いチームメイトにとってはまさにお手本です。

最後に、私が今セリエAでもっとも優秀だと思うCBを紹介します。ラツィオのフランチェスコ・アチェルビ、イタリア代表歴のある32歳のベテランです。

次点はユヴェントスのジョルジョ・キエッリーニ。セリエAファンなら良くご存じのイタリア代表DFです。

キエッリーニは36歳と高齢ですが、彼がいるかいないかでチームは大きく様変わりします。ユーヴェのリーグ10連覇の鍵は、彼が握っていると言っても過言ではありません。

あとはミランのシモン・ケアも好きなCBのひとり。31歳のこのデンマーク人は、ミランのディフェンスラインに多大なる安定をもたらしました。ミラン加入前に所属したアタランタで失格の烙印を押された形だったので、大きなサプライズでしたね。

吉田は彼ら3人のトップクラスと比べ、正直、ランクはひとつ落ちます。ただ、スタビリティ(安定性)のある優秀なCBのひとりであることに変わりはありません。

CBにとって安定感は、何より欠かせない重要な要素のひとつ。監督の信頼もそれゆえに厚くなります。

吉田には引き続き実直、堅実なプレーを武器に、セリエAでさらなる活躍を見せてほしいですね。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

セリエA 関連記事

カルチョS級講座

アルベルト・ザッケローニのセリエA探究

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。

● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?