高度なライバル意識も注目点
リヴァプールのデータが突出している。
◆得点数
1、モハメド・サラー:20
2、ディオゴ・ジョタ:13
4、サディオ・マネ:12
※2位タイにソン・フンミン(トッテナム)
◆アシスト数
1、トレント・アレクサンダー=アーノルド:11
2、アンディー・ロバートソン:10
2、モハメド・サラー:10
29試合を消化したプレミアリーグで総得点75。サラーとジョタ、マネはその60%にも関与している。また、A・アーノルドとロバートソンは3シーズン連続で二桁のアシストを記録。彼らは攻撃的なサイドバックという範疇に留まらず、リーグ史に名を残すクロッサーでもある。
さらにクリーンシートでも、アリソンが16でトップ。データからも攻守の充実がうかがえる。
一方、二桁のゴールを挙げているマンチェスター・シティの選手はリヤド・マフレズとラヒーム・スターリングだけで、ともに10点。リヴァプールの前線には及ばない。アシスト数もガブリエウ・ジェズスの7が最高だ。GKエデルソンが16回のクリーンシートを記録してアリソンに並んでいるが、データではリヴァプールに劣っている。
しかし、20,006本に達したパスの総数ではリヴァプールより2,365本も多く、個人データでもジョアン・カンセロ、アイメリク・ラポルト、ロドリがトップ3を独占。ルベン・ディアスも5位に入るなど、シティらしさを見せつけている。
そして68.2%のポゼッションはリヴァプールを6.1%上回り、89.8%のパス成功率も宿敵より5.5%高い。ジョゼップ・グアルディオラ監督の真骨頂である。
こうしたデータでもリヴァプールとシティの優位性は明らかであり、いまやプレミアリーグだけではなく、ヨーロッパ、いやいや、世界の二強といって差し支えない。シティがカウンターに磨きをかけ、リヴァプールがポゼッションのヴァリエーションを増やすなど、高度なライバル意識も注目点のひとつだ。
<7節の直接対決は2-2の痛み分け>
選手層ではリヴァプールに軍配が
さて、他を圧倒する二強の優勝争いは最終節までもつれるのだろうか。では、FAカップ準決勝でも対決する両雄のスケジュール(4月)をチェックしてみよう。
◆シティ
- 4月2日:バーンリー(ホーム)
- 4月5日:アトレティコ(ホーム)
- 4月10日:リヴァプール(ホーム)
- 4月13日:アトレティコ(アウェー)
- 4月16日:リヴァプール(中立地)
- 4月20日:ブライトン(ホーム)
- 4月23日:ワトフォード(ホーム)
- 4月30日:リーズ(アウェー)
◆リヴァプール
- 4月2日:ワトフォード(ホーム)
- 4月5日:ベンフィカ(アウェー)
- 4月10日:シティ(アウェー)
- 4月13日:ベンフィカ(ホーム)
- 4月16日:シティ(中立地)
- 4月19日:マンチェスター・U(ホーム)
- 4月24日:エヴァートン(ホーム)
- 4月30日:ニューカッスル(アウェー)
4月はともに8試合もある。とくにシティは5日からの12日間でアトレティコ、リヴァプール、アトレティコ、リヴァプールだ。眩暈がする。ベンフィカを軽視するつもりはさらさらないが、チャンピオンズリーグの相手を踏まえると、シティは心身ともに大幅な消耗を強いられる公算が大きい。
「強豪との連戦は集中力を維持するうえで好都合だ」と発言する名監督も少なくないとはいえ、12日間でアトレティコ、リヴァプール、アトレティコ、リヴァプールはどう考えてもきつすぎる。ハムストリングを痛めていたルベン・ディアスは早ければバーンリー戦、遅くともアトレティコとのホームゲームには間に合う予定だが、シティは正念場を迎えた。
もちろん、リヴァプールも楽ではない。
マンチェスター・ユナイテッドは ”腐っても鯛” だ。4月は5試合。試合間隔がほぼほぼ一週間になり、クリスティアーノ・ロナウドやブルーノ・フェルナンデスといった実力者が、万全のコンディションで挑んでくる。
5日後はマージーサイド・ダービーだ。エヴァートンは降格争いに両足を突っ込んでいるものの、ローカルダービーでは異なるモチベーションが刺激される。
ただし、リヴァプールには勢いがある。1月3日のチェルシー戦に引き分けた後、一気呵成に9連勝。同期間のシティは6勝2分1敗。最大9ポイント差が一気に1にまで縮まった。なおかつスケジュールはシティの方がきつい。
かつてユナイテッドのキャプテンを務め、引退後は辛口のコメンテイターとして人気を博すギャリー・ネヴィル氏も、次のように語っていた。
「シティは世界でもトップクラスの監督に率いられ、強さと美しさを兼ね備えた素晴らしいチームだ。でも、リヴァプールも最高のキーパーと4バック、経験豊かな中盤、ワールドクラスの前線を揃えて隙がない。だいたい、ジョタとロベルト・フィルミーノがベンチに控えるって、どんなメンバーなんだ!」
選手層ではリヴァプールに軍配が上がる。疲労が蓄積する最終盤では選手個々のコンディションが勝敗を左右し、高度な戦略・戦術をもってしても抗えない。
いま、ユルゲン・クロップ監督のチームが、一歩前に出ようとしている。
※筆者注・データはプレミアリーグ公式サイト、およびwhoscored.comを参照。
文・ 粕谷秀樹
1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。
粕谷秀樹のNOT忖度
配信情報
プレミアリーグ第31節
リヴァプール対ワトフォード
- 配信: DAZN
- 配信開始:4月2日(土)20時30分
- 解説:粕谷秀樹 実況:永田実
- 会場:アンフィールド
バーンリー対マンチェスター・C
- 配信: DAZN
- 配信開始:4月2日(土)23時00分
- 解説:戸田和幸 実況:河村太朗
- 会場:ターフ・ムーア
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