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【コラム】超私的マンチェスター・ユナイテッド再興計画「ポチェッティーノ新監督誕生を夢想してみた」| プレミアリーグ

【コラム】超私的マンチェスター・ユナイテッド再興計画「ポチェッティーノ新監督誕生を夢想してみた」| プレミアリーグ(C)Getty Images
【コラム】アウェー10連勝を達成するなど、マンチェスター・ユナイテッドが好調だ。だが、粕谷秀樹氏は断言する。「わたしは二度と騙されない」と——。レッド・デビルズに一家言をもつ同氏による再興計画をお届けしよう。

スールシャールは何をしてきたのだろう

UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)グループステージ第1節の パリ・サンジェルマン 戦で2-1の勝利を収め、 マンチェスター・ユナイテッド は公式戦アウェー10連勝を達成した。

それでも、わたしは二度と騙されない──。

一昨シーズン、公式戦を8勝2分無敗で突っ走ったとき、「正しい監督にようやく巡り会えた気がする。サー・アレックス・ファーガソンのDNAを伝承できる男は、オーレ・グンナー・スールシャールをおいて他にない」と胸を躍らせたこともあった。

しかし、あの快進撃は ポール・ポグバ の大活躍によるもので、スールシャールは関与していない。実際、ポグバが不振に陥ると、ユナイテッドの成績は急降下していった。

昨シーズン終盤の14戦無敗も同様だ。 ブルーノ・フェルナンデス ひとりでUCL出場権獲得、と表現しても大げさではない。前述したアウェー10連勝も、そのポルトガル代表MFに負うところは大きい。

ユナイテッドの監督に就任して1年10か月、スールシャールは何をしてきたのだろうか。そこそこの時間を与えられたにしては、進歩の速度が遅すぎる。

センターバックの獲得は失敗に終わったが、エディンソン・カバーニや ドニー・ファン・デ・ベーク など、今シーズンは攻撃力増強に成功している。

エド・ウッドワード全権副会長をはじめとする強化担当部門が “超・使えねえヤツら” だとしても、 ブライトンに圧倒されたり クリスタルパレスに敗れたりする ようなチーム力ではない。

イギリス『sky sports』の監督解任オッズ(10月28日時点)で、スコット・パーカー(フラム)の2・88倍、スラベン・ビリッチ(ウェストブロム)の3・25倍に続き、スールシャールは6・5倍で3位に位置づけられている。そろそろお引き取り願おう。

ポグバはスーパーサブが最良の使い方か

そこで……。

マウリシオ・ポチェッティーノ新監督誕生を夢想してみた。

トッテナムを去ってからおよそ1年、彼はプレミアリーグ復帰に向けて英気を養っているという。エスパニョール→サウサンプトン→トッテナムというキャリアを踏まえると、次は世界的なステイタスを誇るクラブが至極当然の選択肢になる。

この条件に当てはまるプレミアリーグのクラブは リヴァプール とユナイテッドに限られ、前者がユルゲン・クロップ監督を解任するはずがない。前述した『sky sports』の解任オッズも101倍。安泰である。

さて、ポチェッティーノの基本戦略はハイライン・ハイプレスだ。ユナイテッドはだれがふるいにかけられるのだろうか。

ハリー・マグァイア ヴィクトル・リンデレフ の両センターバックは厳しい。ともにスピード不足で、ハイラインには不向きだ。そして エリック・バイリー は運動能力こそ高いが、とにかくケガと親しすぎる。

ネマニャ・マティッチ は連戦に耐えうる体力が失われつつあり、 アントニー・マルシャル は攻守の切り替えが鈍い。フアン・マタはプレー強度に若干の不安があるとはいえ、逆境でも挫けずに自分を磨き、なおかつSNSなどでポジティブな発信を繰り返す姿は “生きた教科書”。留めておくにふさわしい。

さぁ、ポグバである。冒頭に挙げたパリSG戦では67分から登場。30・6%に終わった前半のボール支配率が、彼の投入後10分間で46・8%にまで上昇している。 マーカス・ラッシュフォード の決勝ゴールもアシストした。

ゴールレスドローに終わったプレミアリーグ第6節のチェルシー戦でも58分から出場。ダブルタッチで複数のマークをかわしたり、絶妙のパスを配したり、存在感とポテンシャルを十分すぎるほど見せつけた。

だが、ユナイテッド移籍後は継続性を欠いている。好不調の差が1試合のなかでもハッキリしており、素晴らしいパフォーマンスを見せた前半と打って変わって、後半は凡人、というケースが少なくない。

このメンタルを踏まえ、スーパーサブが最良の使い方ではないだろうか。ポグバのプライドは傷つくかもしれないが……。

ポチェッティーノが、彼の頭脳が必要だ

こうしてマグァイア、リンデレフ、バイリー、マティッチ、マルシャルが構想外、もしくは序列低下となり、マタとポグバは残留。手薄になったセンターバックはパリSGの キリアン・エンバペ にも負けない走力を持つ アクセル・ツアンゼベ 、スコットランド代表では最終ラインを務める スコット・マクトミネイ のアカデミー出身者に切り替える。

また、研究熱心なポチェッティーノであれば、ポグバ、B・フェルナンデス、マタとファン・デ・ベークが共存できるような陣形を考えつくのでは、との期待ができる。

4-2-3-1にこだわらず、全タレントの特性を活かしてくれるのでは、と胸が躍るのだ。

スールシャールに恨み・つらみはないものの、ユルゲン・クロップやジョゼップ・グアルディオラといった当代きっての名将、ジョゼ・モウリーニョ、カルロ・アンチェロッティ、マルセロ・ビエルサなどの知略に富む指揮官と勝負するには、経験も情熱も足らなすぎる。

やはり、ポチェッティーノが必要だ。彼の頭脳が必要だ。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

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