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【連載】インテルのジュゼッペ・マロッタCEOが告白「鈴木優磨、南野拓実、西川潤に興味がある」| カルチョS級講座 第22回 | セリエA

【連載】インテルのジュゼッペ・マロッタCEOが告白「鈴木優磨、南野拓実、西川潤に興味がある」| カルチョS級講座 第22回 | セリエA(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー インタビュー】インテルのCEOを務めるジュゼッペ・マロッタが、シント=トロイデンの鈴木優磨、リヴァプールの南野拓実、そしてセレッソ大阪の西川潤への興味を明かした。

今回登壇するのはセリエAのクラブ最高幹部。2020-21シーズンに11年ぶりのスクデット(リーグ優勝)を獲得したインテルで、CEO(最高経営責任者)を務めるジュゼッペ・マロッタだ。

1970年代から活躍する彼のキャリアは、イタリアでも屈指の成功に彩られている。たとえば、2010年から約8年間GM(ゼネラルディレクター)を務めたユヴェントスでは低迷していた名門を立て直し、2年半前に電撃移籍したインテルでも変わらずの敏腕ぶりを発揮している。

かつて強化担当を務めていたヴェネツィアでは名波浩、サンプドリアでは柳沢敦を獲得するなど、日本にも縁の深い64歳だ。

セリエAきっての凄腕フロントが、ミランから"強奪"したばかりのハカン・チャルハノールや、注目の日本人選手などを語り尽くす。

チャルハノールを獲得したのは…

マロッタCEO:まずは世間話から始めよう。サッカー界は厳しい状況が続いている。どこもかしこも資金不足だ。

どのクラブもそうだろうが、われわれインテルも収支バランスとにらめっこしながらアイデアを絞り出す毎日だよ。投資できるお金がほとんどないからね。

原因はむろん、新型コロナ感染拡大によるものだ。世界中が経済危機に陥っている中、サッカー界もその影響をもろに受けた。

試合はしばし無観客で開催され、チケット収入はゼロに近い状態。インテルもすでに7000万ユーロ(約91億円)もの損失を計上しているほどだ。

そんな状況でわれわれフロント陣に求められることは、今まで以上に知恵を絞ること。いずれにせよ、今夏の移籍マーケットでは、全体的にそんな大きな動きは見込めないと思うね。

トレードといった形が中心となるのではないかな。互いの懐がそれほど痛まないで済む方法だ。あとは移籍金のかからない、契約切れの選手を狙うのも一案。われわれが最近、ミランとの契約が2020-21シーズン限りで切れたハカン・チャルハノールを獲得したように、だ。

Hakan Calhanoglu

27歳のこのトルコ人獲得には、賛否の声があるのは知っている。「(EURO2020のフィンランド戦で)心臓発作で倒れたエリクセンの後釜?」といった報道があるのも耳にしているよ。

実情は、そんなことではない。ハカンのような素晴らしいミッドフィルダーを、それも移籍金なしで獲得できる可能性があった。われわれはそのチャンスを逃さなかっただけだよ。

どのクラブも資金難にあえぐ現状だが、あのレアル・マドリードならば、今夏も世間をアッと驚かせるようなビッグディールを成立させるかもしれないね。すでに噂にはなっているが、キリアン・エンバペの獲得だ。

ただ、パリ・サンジェルマンのそのストライカーがレアルのユニホームに袖を通すには、ある条件が必要となるだろう。少なくとも私はそう予想している。

その条件とは、パリ・サンジェルマンが先だって後釜を見つけることだ。それがクリスティアーノ・ロナウドになるのではないかな。実際、クリスティアーノのユヴェントス退団が噂されているしね。

エンバペがレアルに、クリスティアーノがパリ・サンジェルマンに。パズルのピースがそのようにハマっても、なんら不思議ではないよ。

インテルもロカテッリを狙っていた

イタリア国内に話題を移そう。注目株の筆頭は、EUROでも素晴らしいパフォーマンスを見せているマヌエル・ロカテッリだね。

イタリア代表でレギュラーの座をつかんだこの23歳は、今夏にもサッスオーロを退団すると見られている。退団となるなら、新天地はユヴェントスでほぼ間違いないだろう。

実は、インテルもロカテッリを狙っていたんだ。残念ながら、彼を獲得するだけの資金がなかったがね。

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インテルの補強に関しては、セリエA連覇を目指し、なんとか2020-21シーズンの戦力の80%を維持したいと思っている。負債の補填に、主力級の放出を1人ないしは2人に止めることでね。

サッカー界は今、資金力が大きく物を言う時代だ。残念ながら、セリエAは2000年代前半を境に、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、ラ・リーガに次々と追い越され、今では少し水を開けられるレベルにまで落ちてしまった。

その大きな原因も、他リーグとの間にある資金力の問題。セリエAは金銭面でまったく太刀打ち出来なくなっている。

かつてのセリエAと言えば、世界のトッププレーヤーがこぞって集結した世界最高峰のリーグだった。それが今では、いわゆる〝ステップアップリーグ〟に成り下がってしまった。言い換えるなら、通過点に過ぎない。決して最終目的地ではないんだ。

セリエAでレベルアップを図り、そしてプレミア、ラ・リーガなどのビッグクラブにステップアップを果たす。ミランからパリ・サンジェルマンへの移籍が濃厚になっている(ジャンルイジ)ドンナルンマのケースが、まさにその象徴だよ。

過去に一度、ミナミノ獲得に動いた

これは日本向けのインタビューだろう? 正直に話そう。われわれインテルの補強リストの中に、日本人選手の名前は残念ながら1人も記されていない。

ただ、個人的に興味を持っている選手なら挙げられるよ。3人いる。

まず1人目は、シント=トロイデンのユウマ・スズキ(鈴木優磨)だ。2020-21シーズンのベルギーリーグで17ゴールをマークした。欧州主要リーグでの日本人最多記録だったようだね。

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それからタクミ・ミナミノ(南野拓実)。現在26歳の彼は、とてもモダンなプレーヤーだ。サウサンプトンでプレーしていたが、所属はリバプールだね。

実はこのミナミノ、私は過去に一度、獲得に動いたことがあるんだ。だから彼のことは理解している。

あれは私がユヴェントスのGMを務めていた2014年1月のこと。当時、彼はザルツブルクでプレーしていた。

期間内に交渉がまとまらず、最終的に獲得できなかったんだ。今の彼を見ていると、本当に惜しいことをした。

最後の1人は、Jリーグでプレーしている選手だ。ジュン・ニシカワ(西川潤)。まだ19歳で、将来を嘱望される攻撃的なミッドフィルダーだ。

昨年、バルセロナ入りが目前に迫っていたはずだよ。コロナ禍の影響で移籍は実現しなかったがね。

ご存じの方もいると思うが、私はヴェネツィア時代の1999年にナナミ(名波浩)を獲得し、サンプドリア時代の2003年にヤナギサワ(柳沢敦)をイタリアに連れてきたことがある。

常に日本人選手を目にかけてきた私だから、確信を持って言える。日本サッカーは今も絶え間ない進化を続けているとね。

日本人選手の活躍には、今後も注視していくつもりだ。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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