村上氏が思い出に残るシーンに挙げたのは、2005年のJ1リーグ第8節・名古屋グランパスエイトと東京ヴェルディ1969の試合だ。
この試合は村上氏のJ1主審デビューとなった試合なのだが、もともと主審を務めていたの家本氏で試合開始時に笛を吹いたのも家本氏だった。しかし、試合中に家本氏が負傷。第4の審判員で入っていた村上氏が途中から笛を吹く事態となったのだ。村上氏は「試合を見ていて家本さんの調子がおかしいと。僕は裏でアップし始めていた」と語り、当時の経緯と試合のことを振り返った。
「そのあとざわつき始めてイエが調子悪いぞと。そしたら案の定、少し筋肉系のトラブルでやる、やらない、どうしようとなって、結果的に後半から僕が入ることになった。(急遽の出番で)この試合は全く覚えていません(笑)。家本さんが前半を素晴らしいゲームコントロールしていたんですけど、後半、僕が入ったらカードが出るわ点が入るわで、結果5-4で名古屋が勝ったんですけど、もしここで名古屋が負けていたら僕はスタジアムから出られないだろうなという心境、雰囲気でした」
そして、今の流れから思い出に残るもう一つの試合に挙げたのが、2006年のJ1第5節のヴァンフォーレ甲府対アビスパ福岡だ。この試合では村上氏が主審を務めているのだが、前述の試合で「迷惑をかけたから」という理由で当時国際主審であった家本氏が第4の審判員に買って出ることになった。
これに家本氏は「どこ情報ですか」と笑いつつ、「村上さんがやられるというところで、上の方にお願いして恩を返したいと(言った)」と事実を認め、国内では当時第4審判員をほとんどやることがなかった中で「偉大な先輩に返しておきたかった」と振り返った。
村上氏は「家本さんが第4審判をやるのは信じられない出来事だった。しかも理由が迷惑をかけたからということで、嬉しくて、この時は本当に涙が出そうでした」と語った。
ピッチに立つ選手ではなく、審判という立場においても様々なドラマがあるようだ。
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