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アメリカンフットボール

プロスペクト不在…。スキルポジション以外の指名が上位を占める“史上初”のドラフトへ|2022 NFLドラフト

プロスペクト不在…。スキルポジション以外の指名が上位を占める“史上初”のドラフトへ|2022 NFLドラフト(C)Getty Images
【NFL ニュース】日本時間4月29日から5月1日までの3日間にわたって行われるNFLの第87回ドラフト。今回のドラフトの見どころを紹介していく。
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アメリカンフットボールの米プロリーグ、NFLの第87回ドラフトが日本時間4月29日から3日間の日程で、ネバダ州ラスベガスで開催される。

選手を育成する下部組織を持たないNFLは、カレッジにタレント供給を全面的に依存しており、ドラフトが戦力強化の重要な手段となっている。それだけにファンやメディアの関心が高く、オフの一大イベントとして大きな盛り上がりを見せるのがNFLのドラフトだ。

ドラフトは全7巡で、初日の29日は1巡目、2日目の30日は2〜3巡目、最終日の1日は4〜7巡目の指名が行われる。

1位指名権を持つジャガーズの選択は?

20220427_NFL_Aidan Hutchinson(C)Getty Images

2018年のベイカー・メイフィールド〔クリーブランド・ブラウンズ〕から、19年のカイラー・マレー〔アリゾナ・カージナルス〕、20年のジョー・バロウ〔シンシナティ・ベンガルズ〕、21年のトレバー・ローレンス〔ジャクソンビル・ジャガーズ〕と過去4年はQBが全体1位で指名され、昨年はそのローレンスを含む史上2位タイの5人が1巡指名を受けるなどQBは豊作だったが、今年は飛び抜けたタレントがいない。同様にRBやWRにも上位指名が確実なプロスペクト〔有望株〕が不在で、スキルポジションと呼ばれるこの3つのポジションの選手が10位までに選ばれない、史上初のドラフトになるかもしれない。

全体1位指名権を持っているのは、ジャガーズで2年連続だ。昨季は、ローレンスがプロの壁に苦しみ、新任のアーバン・マイアーHCがチームを掌握できずに途中解任されるなど迷走し、リーグワーストの3勝14敗に終わって1位指名権を得た。

ジャガーズは、2年目の飛躍が期待されるローレンスに、オフのフリーエージェントでWRクリスチャン・カーク、Gブランドン・シャーフを獲得してオフェンスの整備を進めたこともあり、ドラフトではディフェンスのテコ入れが濃厚で、ミシガン大のDEエイダン・ハッチンソン、ジョージア大のDEトレイボン・ウォーカーが1位指名の有力候補に挙がる。

スピードとパワーで敵QBに襲いかかるパスラッシャーのハッチンソンは、昨季のハイズマン賞〔カレッジの年間最優秀選手〕の投票で2位になるなど実績十分で、完成度が高い。一方のウォーカーは、粗削りながらポテンシャルが圧倒的で、大きな伸びしろを残している。昨季はジョージア大の全米制覇に貢献した。

20220427_NFL_Travon Walker(C)Getty Images

上位指名候補たち

このほかの上位指名候補は、オフェンスでは、いずれもQBを守るTのエバン・ニール〔アラバマ大〕とイケム・イクウォヌー〔ノースカロライナ州大〕が高評価を集めている。ディフェンスでは、DEのジャーメイン・ジョンソン〔フロリダ州大〕、ケイボン・シボドー〔オレゴン大〕、DTのジョーダン・デイビス〔ジョージア大〕、CBのソース・ガードナー〔シンシナティ大〕、デレク・スティングリー・ジュニア〔ルイジアナ州大〕、トレント・マクダフィ〔ワシントン大〕、Sのカイル・ハミルトン〔ノートルダム大〕の前評判が高い。

20220427_NFL_Ikem Ekwonu(C)Getty Images

QBの1巡指名候補は、ピッツバーグ大のケニー・ピケット、リバティ大のマリク・ウィリス、ミシシッピ大のマット・コラルの3人。それぞれ一長一短があり、前述のようにトップ10の上位指名を受けるタレントではないという評価で一致しているが、全体2位指名のデトロイト・ライオンズ、6位のカロライナ・パンサーズ、8位のアトランタ・ファルコンズ、9位のシアトル・シーホークはQBが補強ポイントで、可能性に賭けて指名に踏み切っても不思議はない。

WRも群を抜くエリートクラスが不在とはいえ、1巡指名に値する好タレントはむしろ揃っている。オハイオ州大のギャレット・ウィルソンとクリス・オラべ、南カリフォルニア大のドレイク・ロンドン、アラバマ大のジェイムソン・ウィリアムズ、アーカンソー大のトレイロン・バークスなどが、10〜20位前後での指名候補だ。

20220427_NFL_evan neal(C)Getty Images

ドラフトがチーム強化の重要な手段であることは前述の通りだが、ここ最近はドラフト指名権をパッケージにしたトレードによる戦力補強も活発で、そのトレードで昨季、QBマシュー・スタフォードを獲得してスーパーボウル制覇を果たしたロサンゼルス・ラムズをはじめ、デンバー・ブロンコス、ラスベガス・レイダース、インディアナポリス・コルツ、シカゴ・ベアーズ、マイアミ・ドルフィンズ、サンフランシスコ・49ers、ブラウンズの8チームが今年の1巡指名権を持たない。

一方、ライオンズ、ヒューストン・テキサンズ、ニューヨーク・ジャイアンツ、ニューヨーク・ジェッツ、フィラデルフィア・イーグルス、ニューオリンズ・セインツ、グリーンベイ・パッカーズ、カンザスシティ・チーフスの8チームが2つの1巡指名権を持っている。

【1巡目指名順】

1位:ジャクソンビル・ジャガーズ
2位:デトロイト・ライオンズ
3位:ヒューストン・テキサンズ
4位:ニューヨーク・ジェッツ
5位:ニューヨーク・ジャイアンツ
6位:カロライナ・パンサーズ
7位:ニューヨーク・ジャイアンツ
8位:アトランタ・ファルコンズ
9位:シアトル・シーホークス
10位:ニューヨーク・ジェッツ
11位:ワシントン・コマンダース
12位:ミネソタ・バイキングス
13位:ヒューストン・テキサンズ
14位:ボルティモア・レイブンズ
15位:フィラデルフィア・イーグルス
16位:ニューオリンズ・セインツ
17位:ロサンゼルス・チャージャーズ
18位:フィラデルフィア・イーグルス
19位:ニューオリンズ・セインツ
20位:ピッツバーグ・スティーラーズ
21位:ニューイングランド・ペイトリオッツ
22位:グリーンベイ・パッカーズ
23位:アリゾナ・カージナルス
24位:ダラス・カウボーイズ
25位:バッファロー・ビルズ
26位:テネシー・タイタンズ
27位:タンパベイ・バッカニアーズ
28位:グリーンベイ・パッカーズ
29位:カンザスシティ・チーフス
30位:カンザスシティ・チーフス
31位:シンシナティ・ベンガルズ
32位:デトロイト・ライオンズ

文・松野敏史(まつの・としふみ)

「ワールドサッカーダイジェスト」と「サッカーダイジェストWEB」で副編集長を務める。2020年4月にフリーランスのライター、編集者、翻訳者として独立。プレミアリーグを中心としたヨーロッパのサッカーに精通し、NFL、NBA、MLBなどアメリカのプロスポーツへの理解も深い。スポーツに限らず物事を多角的に捉え、本質を掘り下げることに興味と関心がある。

NFL ドラフト 2022 日程

開催日時刻配信内容
4月29日(金)9:00第1日
4月30日(土)8:00第2日
5月1日(日)1:00第3日

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