年間タイトル争いに終止符が打たれた「伊藤園レディス」。逆転優勝を挙げ、21歳103日で最年少女王に輝いたのは山下美夢有だった。今季からメルセデスランキングに一本化された年間タイトル争いは、シーズンを通じた”安定した強さ”が指標となった。
女子ゴルフ界の年間タイトルは長らく、獲得賞金額に応じた賞金ランキングだった。しかし米ツアーを中心に世界のゴルフ界では、2000年代から徐々に賞金からポイントで年間タイトルを争う仕組みへと変更されている。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)も数年前からポイント制度を強化。昨季は賞金とポイントを併用しシード権を付与し、今季からポイント争いに一本化した。
JLPGAのポイント配分はトーナメントの期間で分けられる。3日間大会は優勝者へ”200pt”、4日間大会は”300pt”、国内メジャー大会は”400pt”、海外メジャー大会は”800pt”。「賞金女王」という聞き馴染みのあるフレーズが使われなくなったことで、ファンにとってわかりにくさもあるかもしれないが、賞金レースよりはフェアな指標で年間チャンピオンを決められる仕組みである。
近年の賞金女王争いは、大会ごとに賞金総額に大きな差があるため”不平等”が生じやすくなっていた。例えば「アース・モンダミンカップ」は毎年のように賞金総額を上げており、今季は賞金総額3億円、優勝賞金5400万円という超ビッグトーナメントになっている。一方で今季賞金額が最も少なかった「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」は賞金総額7000万円、優勝賞金1260万円。「アース・モンダミンカップ」の優勝賞金は、「ミヤギテレビ杯」の4勝分よりも大きな額になるのだ。
2017年は「アース・モンダミンカップ」を制した鈴木愛が年間2勝で同4勝のテレサ・ルー(台湾)を抑えて賞金女王に輝いた。同年のトップ10回数は鈴木が16回で1位、テレサは12回で7位だった。そのためシーズンを通して安定した強さを鈴木が示したということで間違いないが、ゴルフ界で優勝回数と乖離していく賞金女王争いに懐疑的な見方が出たのも確かだ。
今季は西郷真央が年間5勝をマークし、同4勝の山下を上回った。しかし山下は13試合連続のトップ10入りを果たすなど、31試合の出場で全体1位となる計20度のトップ10入り。シーズン途中に海外メジャーに積極的に参戦した西郷は23試合の出場で全体7位になる12回のトップ10だった。
シーズン2試合を残して勝負が決まった年間タイトル争いに盛り上がりという意味で物足りないと思うファンはいるかもしれないが、それだけ山下の強さが際立った一年であったことは間違いない。
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