“28.3”。いきなりなんの数字かと思うだろうが、申ジエ(韓国)、吉本ひかる、青木瀬令奈、山内日菜子、穴井詩、山下美夢有と並ぶ今季6試合の優勝者の平均年齢だ。今季のシード獲得者の平均年齢は26.6歳(昨年末時点)。黄金世代の出現以降、若手の台頭が著しいという日本の女子ゴルフ界の事情を踏まえると、少し年齢が高いように思う。
昨季は現在21歳の西郷真央が序盤に怒涛の勢いで勝ち星を重ね、さらなる世代交代を印象付けた。シーズン中盤からは、年間女王になった山下美夢有がツアーをけん引。女子ゴルフ界のど真ん中に稲見萌寧を交えた若手たちがいた。その中で上田桃子や菊地絵理香がベテランの意地を見せ、金田久美子が復活Vのドラマを見せた。
今季の若手たちの活躍はどうだろうか。前週の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で21歳の年間女王・山下が、20歳の岩井千怜との優勝争いを制し、今季初優勝をマーク。今年も中心には山下がいるだろうが、期待値の高かった若手たちは今季の出だしで結果を残したとは言い難い。
スタートから出鼻を挫かれた選手は、昨季のシンデレラガールである川崎春花だろう。昨季に「日本女子プロゴルフ選手権」を最年少で制した19歳は、高額賞金大会の「マスターズGCレディース」も制し、ルーキーたちで争う新人戦も優勝した。世代ナンバー1の注目度で今季を迎えた。
しかし開幕戦を前に沖縄で新型コロナ検査でまさかの陽性反応。無症状のためホテルで静養につとめて2戦目から復帰したが、幸先は悪かった。今季は4試合目(自身3試合目)の「アクサレディス」で首位に立ち迎えた最終日に「73」と伸ばしあぐね、山内に逆転を許して3位。悔しい惜敗を喫した。
春先の影響が大きいという前提だが、昨季243.75ydだった平均飛距離は235.73ydと上がり切っていない様子だ。セカンド以降の流れに直結するため、昨季72.0486%のパーオン率は68.8034%に。勝ち星を重ねる潜在能力があるだけに、調子を上向かせるきっかけさえつかめれば、ハイペースで勝利を重ねる可能性がある。
昨季ブレークした双子の岩井姉妹は、調子を上向かせているようだ。今季は米ツアー「ホンダLPGA」からシーズンイン。妹の千怜は、2度予選落ちを喫していたが、前週に最終日最終ホールまでV争いを演じた。姉の明愛は国内開幕戦から2試合連続トップ10入り。直近の3試合は上位争いに加われていなかったが、初優勝へ向け、まずまずのスタートを切ったようだ。
川崎と同期で昨季初優勝を挙げた尾関彩美悠は、苦戦を強いられている。今季3試合目「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」では3日間60台を並べて3位に食い込んだが、6試合の出場で4度の予選落ち。好循環を呼び込む一戦を早めに迎えたいところだ。
そして、昨季下部ステップアップツアーで新記録となる年間5勝をマークした櫻井心那。年々レベルアップしている下部ツアーで圧倒的な数字を残した選手だけに期待感は高かったが、レギュラーツアーでは今季6試合でトップ10はなく、3度の予選落ちを喫している。
251.27ydと全体8位にいる飛距離の魅力とは表裏一体で、53.33%で全体94位に沈むフェアウェイキープ率が足を引っ張っている。レギュラーツアーのセッティングに慣れるまで多少の時間が必要かもしれないが、壁を乗り越え、持ち味の爆発力を発揮して欲しいところだ。
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