JLPGAツアー2023シーズンの第16戦「ニチレイレディス」は18日、千葉県千葉市の袖ケ浦カンツリークラブ・新袖コース（6621yard/パー72）で最終ラウンドを行なった。昨季年間女王の山下美夢有が岩井明愛、岩井千怜との最終日最終組対決を制し、今季4勝目をマークした。
誰よりも強い感謝の思いが涙となって溢れた。1カ月前、母の日では達成できなかった恩返しの優勝。「きょう、父の日で10勝目を挙げることができて嬉しい。コーチである父には本当にいつも支えてもらって、ゴルフ以外でも私のために頑張ってやっていれてくれる。結果で恩返しできて嬉しい」。コーチとして二人三脚で歩む父へ、優勝スピーチで声を震わせながら感謝の気持ちを切り出した。
5月14日の母の日も今大会と同じメンバーで優勝争いをしていた。プレーオフで相対したのは岩井姉妹だった。2ホール目でバーディーを奪った岩井千怜に軍配が上がる。勝負どころで直ドラを披露する岩井姉妹の派手なプレースタイルも光った。一方、精密機械のようなショートゲームでスコアメークする山下は、負けて泣いた。
リベンジの意味も込められた18ホール。4打リードからスタートした山下は2番でグリーン脇の深いラフからアプローチ。強く出たボールはカップ淵に当たり勢いがしずまりパーセーブするなど運も味方した。追いかける岩井姉妹のペースになりかけた5番でセカンドショットをピンに絡めてバーディーを先行。自らの方に流れを傾ける強さが女王の貫禄だ。
着実に3打目を絡めて10番（パー5）でバーディーを奪取。派手なゴルフではなくても高い確実性と再現性を誇るショットメーカー、それこそが父と作り上げた自らのスタイルだった。13番でダメ押しとなるバーディーを奪うと、ガードバンカーからの3打目をうまく寄せた16番のパーセーブで事実上、勝敗は決した。3バーディー、ボギーなしの「69」。通算17アンダーで逃げ切り、完全Vを果たした。
21歳230日でツアー通算10勝目は、宮里藍さんの20歳105日に続く年少記録となった。「まだまだ試合が続くのですが、自分らしいゴルフで皆さんに楽しんでもらえるように頑張っていきたいです」。父へ、母へ、そしてファンへ。勝ち続けることを笑顔で誓った。
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