ロープ外にいる観客。オフのイベントには老若男女ファンがたくさん来た。「海外の選手なのに日本のファンはいつも応援してくれる」。イ・ボミは、いつも首を傾げながら不思議がった。
個人スポーツでこれまで海外選手が単独で応援されたことはあっただろうか。タイガー・ウッズなど超スーパースターのプレーを見たいと言う感覚とは違う。日本の女子ツアーを牽引する優しいヒロインを純粋にみんな大好きだった。
ある大会に応援に来ていたファンクラブの会員に話を聞いたことがある。「ボミさんは名前まで覚えてくれる。ファンミーティングと言って食事会にも来てくれた」。参戦当初から日本のファンをとても大切にした。賞金女王になった後もファンと直接の交流を深めた。新たに応援にきたファンにも親しみを持って接していた。
分け隔てなく誰に対しても優しい。人懐っこくて気遣いの人。報道陣からの人気も別格だった。
2018年のオフシーズンのこと。都内の室内練習場の来店イベントにイ・ボミが呼ばれ、囲み取材が行われた。同年11月に現在の夫イワンさんとの熱愛が韓国メディアで報道された。オフ期間の練習や合宿予定などゴルフの情報以上に「熱愛は本当なのか?」、「交際は順調なのか?」がホットトピックになっていた。
アスリートのプライベートにどこまで踏み込んで良いものか。イベント運営者からは「囲み取材での質問は本イベントの件に限る」という条件がついた。
試合期間ではないイ・ボミはリラックスした表情で質問に受け答えをしていた。「オフはどこどこで合宿をする」、「同年のシーズンの結果は物足りなかった」。ほとんど顔見知りの記者のため、ざっくばらんなトークだった。イ・ボミ自身も韓国で室内練習場を経営しており、「オフはそこで練習をします」という発言も出ていた。
囲み取材開始から数分経つと室内練習場にかけて「クリスマスも室内練習場で練習するんですか?」と質問が出た。すると「きっとシュミレーションゴルフでたくさん練習しますよ」と言ったイ・ボミはニコッと笑いながら「彼とね」と付け加えた。その場が笑いに包まれる。その後はルール通りプライベートの質問は出ず、最後にリップサービスに報道陣でお礼を言うと「全然これくらいは大丈夫。今日はこれが聞きたかったんでしょ?」とイタズラに笑い、会場を後にした。
日本ツアーからの引退試合となった「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」2日目には多くのファンが駆けつけたという。さらに、ともに戦った多くの選手たちがお揃いのピンクのTシャツを着用してイ・ボミへの感謝を伝えた。”スマイルキャンディ”の笑顔は、やっぱり国境を超えて愛された。
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