いよいよ五輪イヤーが幕を開けた。今夏に控えるパリ五輪。2016年のリオ五輪で五輪種目に復活したゴルフは、男子が8月1日、女子が8月7日に開幕する。会場はパリ郊外にあるル・ゴルフナショナルのアルバトロスコース。2018年に男子の米欧対抗戦「ライダーカップ」で大盛り上がりを見せたフランスの名門コースだ。
五輪代表は世界ランキングを基にした五輪ランクで決まる。男子は6月17日、女子は6月24日時点。出場枠は男女とも60人。基本的には1つの国・地域で五輪ランク上位2人まで代表になる。ただ世界ランク15位以内に複数選手がいる国・地域は、最大4人までが五輪出場権を得る。
日米の新シーズン序盤のメイントピックは各国の五輪代表が誰になるのか、だろう。過去2回の五輪イヤーを見ても、特に女子は熾烈な代表争いを繰り広げている。1月15日時点の世界ランキングから考えると日本は代表2人か。現在のトップ2は、世界ランク17位の畑岡奈紗と20位の山下美夢有だ。
日本の第一人者として先頭を走る畑岡にとって、是が非でもメダルが欲しいだろう。金メダル候補として挑んだ東京五輪は9位。同じく日の丸を背負った稲見萌寧が銀メダルを獲得し、大会前に期待された主役の座を奪われた。
悔しい思いは、海外メジャーでも重ねている。渋野日向子や笹生優花がトロフィーを掲げる中で惜敗が続く。昨季の最終戦では年間女王に手をかけながら逆転負け。トップランカーとして走り続けながら惜敗の悔しさを誰よりも味わっている。
入れ替わりの激しい女子ゴルフ界で、25歳は何年も日本のトップに立つ。昨年末には五輪出場とメダル獲得に意欲を見せ、「東京五輪の時よりスコアをまとめる自信がある」と言っていた。
2季連続で年間女王に輝くなど期待値が高い2番手の山下。歴代スタッツの新記録を更新するなど総合力の高さを見ても国内ツアー最強女王の称号にふさわしい。五輪争いという意味では、1月に開幕する米ツアーに参戦している日本人選手の方が世界ランクポイント加算のある試合数を多くこなすが、3月に開幕する国内ツアーで安定して上位に入っていければ、現在の世界ランクはキープできるだろう。
この2人を僅差で追いかける3,4番手が、世界ランク25位の古江彩佳と同27位の笹生。ともにポイント加算の多い米ツアーに参戦しており、十分に代表入りする可能性はある。特に古江の場合は、前回の東京五輪代表争いで3番手となり、惜しくも代表入りを逃した。代表決定直前の国内ツアーで優勝を逃し「五輪のことを考えすぎて自分のプレーができなかった」と涙を流した。今年リベンジをしたい気持ちはあるだろう。
笹生は爆発力がある選手のため海外メジャーなどで結果を残して一気にジャンプアップする可能性がある。5番手(世界34位)につける岩井明愛は昨季に大ブレーク、6番手(世界44位)の西郷真央は今季から米ツアーに参戦するため大幅なポイント加算も期待でき、櫻井心那が世界50位で日本勢の7番手につける。
世界100位以内には98位の渋野まで21人の日本選手がいるなど、日本の女子ゴルフ界は過去にないほど選手層が厚くなっている。2016年のリオ五輪では野村敏京、前回の東京では稲見が、五輪イヤーの大幅なジャンプアップを見せて代表入りをつかんでいる。野村の場合は米ツアー2勝、稲見は国内ツアー5勝を代表決定までのシーズン序盤でマークした。
そして五輪決定の大きなカギを握るのが、ポイント加算の大きい海外メジャーだろう。代表決定より前に行われる海外メジャーは3つだ。4月の「シェブロン選手権」、6月の「全米女子オープン」、代表決定直前に行われる「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」だ。
ここで優勝や優勝争いを繰り広げた選手はポイントを大きく加算できる。一方で予選落ちを喫すればポイント加算はないため、国内組は国内ツアーで上位に入りポイントを狙う方が得策か、など戦略が必要だろう。
2番手につける山下は、海外メジャー参戦を表明しており、米ツアー組と直接対決となるが、”国内組”か”米ツアー”か、という点も代表争いを左右するだろう。
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