史上最多の9人。これは今シーズン、米女子ツアーを主戦場にしている選手の数だ。昨年末の予選会(Qシリーズ)を突破した西郷真央と吉田優利、さらに昨年の日米共催「TOTOジャパンクラシック」を制した稲見萌寧が今年から海を渡った。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)発足後で史上最多の人数。さらに原英莉花は海外志向を隠さず、昨季ブレークした神谷そらや櫻井心那も将来的な米ツアー挑戦に意欲を見せる。2022年に「全米女子アマ」を制した馬場咲希は、畑岡奈紗と同じく、プロキャリアを米国からスタートさせた。スマートフォンで世界のトップ選手のスイングを見て育った若い世代。世界との距離は、昔と比べものにならないくらい近い。これからも主力の流出は、避けられないだろう。
しかしJLPGAがツアーの空洞化を懸念しているかと言えば、そうではない。小林浩美会長は昨年末、協会の育成力に胸を張った。新陳代謝の激しい女子ゴルフ界だからこそ、新たな魅力を持った選手が出現する期待感があるのだろう。
米ツアー参戦経験のある小林会長が押し進めた4日間大会の増加は、確実に世界との距離を縮めた。JLPGAの実績だけではない。日本ゴルフ協会(JGA)が、ナショナルチームに招聘したガレス・ジョーンズ(オーストラリア)コーチの実績も大きいとの見方もある。ゴルフ界が一丸となり、日本ゴルフ界のレベルを高めたと言っても過言ではない。
しかし人気・実力ともに世界のトップとして君臨する米男子ツアー(LIVが出現したことで現在は世界を二分するが)と比べると、米女子ツアーは男子ほど確固たるブランド力はないように映る。世界ランキングなどを踏まえた実力の観点では、米女子ツアーが正真正銘の世界トップ。しかし観客動員という人気の観点では、日本に勝る女子ツアーは世界中どこを探してもない。もちろん海を渡る選手らの決断は尊重されるべきだが、男子とは違い、必ずしもプロゴルファーの最終ゴール地点が、米女子ツアーというわけではないだろう。
特にプロゴルファーはチームなどに所属しない個人事業主。自らの価値を高めて、スポンサーをつけることも安定した収入源の確保と言える。スポンサー側のメリットは、簡単に言えば、露出量と関わる。多くの雑誌社や新聞社が取材する国内女子ツアーは、プロにとっても賞金以外の収入を確保しやすくなるだろう。実際、将来的な米ツアー参戦に興味を示していた選手が、日本ツアーにとどまるケースなども多い。
韓国ツアーから日本の女子ツアーに参戦したある選手は「こんなに多くの観客の前でプレーする機会は日本に来るまでなかった。海外メジャーよりファンの数は多い」と話していた。米国ほど移動距離も長くなく、身体的な負担も少ないだろう。また日本ツアーを主戦場にしていた渋野日向子や笹生優花が海外メジャーを制覇するなど、主戦場に関係なく世界の大舞台で結果を出している。
国内女子ツアーの魅力ばかりに触れたが、米女子ツアーに主戦場を移した選手らは、厳しいコースコンディションで自らの技術や精神力を鍛えている。日本にはない広大な土地で、ゴルフに集中できる環境が米国にはある。特に海を渡るゴルファーは日本ですでに地位を築いた人気選手。それぞれの夢や目標を目指して、日本のゴルフファンに明るい話題を提供してくれる彼女たちの姿勢は、多くの若いゴルファーのリスペクトの対象になる。
一方で、黄金世代で一番早く国内ツアー通算10勝目に到達した小祝さくらや、米ツアーを主戦場にする選手らと”2枠”しかないパリ五輪代表の座を争っている山下美夢有や岩井ツインズら魅力的で強い選手は日本ツアーにもたくさんいる。もちろん日米で違った魅力が存分にある。主力選手の流出が相次ぐ女子ゴルフ界、海を渡る選手も渡らない選手も、どちらの決断も尊重されるべきである。
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