エラーコード %{errorCode}

サッカー

【コラム】冬の移籍市場で派手な動きはなし「ユナイテッドは現状維持を貫くしかなかった」| 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

【コラム】冬の移籍市場で派手な動きはなし「ユナイテッドは現状維持を貫くしかなかった」| 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー コラム】メガクラブの補強が必要最小限になり、2022年1月の移籍市場で派手な動きは見られなかった。中堅を含むプレミアリーグ勢の動向を振り返る。

チェルシーには継続性が必要だ

大方の予想どおり、冬の移籍市場に派手な動きはなかった。パンデミックでは補強にも制限がかかる。大物エージェントのミーノ・ライオラが肺疾患で病院に担ぎ込まれた(すでに回復)ことも、各クラブのプランに少なからぬ影響を及ぼした。

シーズン終了後の大筋が今冬に決定する見込みだったアーリング・ハーランド(ドルトムント)の去就も見えないままだ。ライオラが不在のため、クラブと細部を煮詰められなかったという。

プレミアリーグのメガクラブも最小限の補強に留まった。マンチェスター・シティがリーベルプレートからフリアン・アルバレス(契約は22年8月から)を、リヴァプールがポルトからルイス・ディアスを獲得しただけだ。

もっとも、両チームは完成度が高く、緊急の補強を必要としていない。フェルナンジーニョとケヴィン・デ・ブライネ、ラヒーム・スターリングを除くシティの主力は、すべてジョゼップ・グアルディオラ監督就任後に獲得している。

リヴァプールのスタメン級を見ても、ユルゲン・クロップ監督が着任する前に契約を交わしたのはジョーダン・ヘンダーソンだけだ(※準主力では他にロベルト・フィルミーノ、ジェイムズ・ミルナー、ジョー・ゴメス、ディヴォック・オリギもクロップ着任前の加入)。

グアルディオラは6年目、クロップは7年目。監督の在任期間は、強さの証明である。

一方、監督を軽視しながらつねに上位に顔を出すチェルシーも、ビッグネームは移動しなかった。

それにしても、昨年1月にトーマス・トゥヘル監督が着任するまで、このクラブの現場はやたらとせわしなかった。2015年12月にジョゼ・モウリーニョを解任した後、暫定体制のスティーヴ・ホランドとフース・ヒディンクを挟み、アントニオ・コンテ→マウリツィオ・サッリ→フランク・ランパード。12-13シーズンから所属するセサル・アスピリクエタは、実に9人もの監督に仕えてきた。

前回のコラムでもお伝えしたように、チェルシー・ブランドの若手は宝の山だ。オーナーのロマン・アブラモヴィッチがトップチームに辛抱強く接してさえいれば、今ごろシティとリヴァプールをしのぐ一大勢力になっていたに違いない。夏冬を問わず、チェルシーには継続性が必要だ。

なお、マンチェスター・ユナイテッドは構想外のアントニー・マルシャルをセビージャへ、ドニー・ファン・デ・ベークをエヴァートンに放出(どちらもローン)し、有望株のアマド・ディアロをレンジャーズでの武者修行に出した。新シーズンの監督が未定であるため、基本方針の現状維持を貫くしかなかった。

大成功を収めたアストンヴィラ

20220111_Phillippe Coutinho_Aston Villa

冬の市場で大成功を収めたのがアストンヴィラだ。バルセロナからフィリペ・コウチーニョ、エヴァートンからリュカ・ディニュを獲得。ともに即戦力であり、0-2から追いついたユナイテッド戦(1月15日)でも、彼らのパフォーマンスにサポーターは酔いしれた。

コウチーニョの加入に伴い、技巧派エミリアーノ・ブエンディーアとの2シャドー、ハードワーカーのジョン・マッギン、オールマイティーなドゥグラス・ルイス、リーグ屈指のドリブラーであるジェイコブ・ラムジーとともにダイヤモンド、もしくはボックス型の中盤を構成することも可能になった。

さらに中盤3センターがコウチーニョ、マッギン、D・ルイス、両ウイングにブエンディーアとラムジーを配置する超攻撃的プランも考えられる。

好不調の波は激しいものの、コウチーニョはだれもが認める “マジシャン” で、ディニュは世界水準の左サイドバックだ。両選手の加入でヴィラはパワーアップした。上位陣にとって、厄介な存在になるだろう。

そしてニューカッスルもうまくやった。アトレティコ・マドリードからキーラン・トリッピアー、ブライトンからダン・バーン、アストンヴィラからマット・ターゲット、さらにバーンリーからクリス・ウッドといった即戦力を加えただけではなく、中盤の質を向上するために、リヨンからブルーノ・ギマランイスまで手に入れている。

今冬の補強総額は9000万ポンド(約135億円)。予算の8割増とも伝えられるが、降格を回避するための戦力は整ったといって差し支えない。

最も明るいニュースはエリクセン

20210612_Christian Eriksen_Denmark

さて、今冬の移籍市場で最も明るいニュースは、クリスティアン・エリクセンとブレントフォードの契約である。

デンマーク代表としてEURO2020に出場したエリクセンは、初戦のフィンランド戦で心停止により昏倒。その後の迅速、かつ賢明な処置の結果、一命は取り留めたものの、心臓に除細動器を設置した選手のプレーをセリエAは認めなかった(当時エリクセンはインテル所属)。

こうした状況をフォローしたのが、若手の育成などでデンマーク・フットボールと密接な関係を維持するブレントフォードだった。今後、より適切な医療体制の整備が望まれるが、現役続行を望むエリクセンと、司令塔を欲していたブレントフォードの思惑が一致。高度なパスセンスを誇るデンマークの大スターが、ふたたびピッチに戻ってくる。

エリクセンの体調を踏まえると、フル稼働は難しい。しかし、3年前にトッテナムをチャンピオンズリーグ決勝まで導いたハイパフォーマンスの一端さえ感じられれば、フットボールを愛する者にとっては “胸アツ” である。

文・ 粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

粕谷秀樹のNOT忖度

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。

●  【番組表】直近の注目コンテンツは?
●  【お得】DAZNの料金・割引プランは?