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今すぐDAZNを視聴する【ノースロンドン・ダービー展望】“最大の敵は自分自身”のアーセナルと戦力充実のトッテナムが負けられない一戦へ | プレミアリーグ

田島大
今すぐDAZNを視聴する【ノースロンドン・ダービー展望】“最大の敵は自分自身”のアーセナルと戦力充実のトッテナムが負けられない一戦へ | プレミアリーグ(C)Getty Images
【コラム】3月15日1時30分キックオフ予定のプレミアリーグ第28節、ノースロンドン・ダービーの展望だ。ミスが多く"最大の敵は自分自身"状態のアーセナルと、ケインからベイルまで戦力充実のトッテナムが負けられない一戦に臨む。

202回目のノースロンドン・ダービーは、両クラブの今シーズンの行方を占う大一番となりそうだ。

熾烈なトップ4争いにおいて重要な一戦だが、それ以上に両チームにとってようやく育ち始めた“火種”を絶やさない意味で絶対に負けられない試合となる。両者とも現体制のチーム方針が定着し始めた中で迎えるダービーなのだ。

ホームのアーセナルは最大の敵を本拠地に迎えるわけだが、その“敵”とは何色のユニフォームを着ているのだろう? この不可思議な問いかけが成立するのが今のアーセナルだ。

対戦相手は地元の宿敵であり、彼らを率いるのは何度も苦汁をなめさせられてきた憎きジョゼ・モウリーニョである。素直に「最大の敵は白いチーム」と言いたいところだが、サポーターの中には「赤いユニフォームでしょ」と答える者も少なくないだろう。

今のアーセナルにとって「最大の敵」とは自分たち自身なのだ。

前節のバーンリー戦、アーセナルは何本もチャンスを作りながら1-1で引き分けた。チームは一時の不振を乗り越え、間違いなくミケル・アルテタ監督が目指すチームの形が見えてきたのだが、それでも勝ち切れなかったのは致命的なミスがあったからだ。

アーセナルはGKからのビルドアップ中に、プレスをかけられたMFグラニト・ジャカが苦手な右足でパスを試みるも敵FWに当たってそのまま自陣ゴールに吸い込まれて不用意な失点を喫した。

メッセージ性を込めたパスを出せれば…

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ミッドウィークに開催されたヨーロッパリーグ(EL)ラウンド16のオリンピアコス戦の前日オンライン会見では、記者から「今季のアーセナルほど自滅するチームを他に知っていますか?」という棘のある質問が飛んだ。

そして「同じ選手が同じミスを繰り返さないことだ。他の選手に起こることもあるがね…」と答えた指揮官の不安は現実のものとなった。

全く怖さを感じさせないオリンピアコスを相手に、アーセナルは自らのミスで3本も決定機を与えてしまったのだ。

やはり最終ラインからのビルドアップで、試合前半はゴール前でダヴィ・ルイスが目の前の敵にパスをカットされてあわや失点のピンチを招いた。そして後半には、途中出場のMFダニ・セバージョスがGKベルント・レノからのパスを貰った際に2人に囲まれ、ボールを奪われてそのまま失点した。

3-1で勝利した後の会見で「アーセナルの“最大の敵は自分自身”と指摘する人にはどう答えますか?」と質問されると、アルテタ監督は「的外れではない」と認めたうえで、「とても楽しみなことだと思う」と切り返した。「ミスをなくせば、必ず強くなれるということだからね」と前向きに語ったのだ。

パスをつなぐ上では「いつ」「距離」「使う足」が重要で、「リスクとリワード(見返り)」を理解する必要があると説明しながらも、アルテタ監督はスタイルを変えるつもりはないと強調した。

リワードの方が大きいからリスクを取るというのだ。たしかにバーンリー戦では、GKからのビルドアップで失点したが、自分たちの得点もGKからMFトーマスへとパスをつなぎ、それが起点となってFWピエール=エメリク・オーバメヤンの先制点が生まれた。

だから「リスクとリワード」は理解できるのだが、気になるのは「同じ選手が同じミスを繰り返さないこと」だ。

バーンリー戦とオリンピアコス戦でボールを失ったのは違う選手だが、ボールの出どころは同じである。出し手であるGKレノが、次の一手を考えた上でメッセージ性を込めたパスを出せれば改善できるはずなのだ。

そう思うと「サッカーはミスの少ないチームが勝つ」と自説を唱えていた若かりし頃のモウリーニョの言葉が思い出される。

ダービーで12戦11発のケインが好調

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今回のノースロンドン・ダービーで、もしアーセナルがオリンピアコス戦のように敵に3つも決定機をプレゼントすれば、それは3失点を意味する。なぜならスパーズには、ノースロンドン・ダービーで歴代最多ゴールを誇るFWハリー・ケインがいるからだ。

ケインはカップ戦を含めてアーセナルを相手に14試合で11ゴール。プレミアリーグの対戦に限ると、12試合で11ゴールの決定力を誇るのだ。今シーズンも好調で、最近はクリスタルパレス戦、ELディナモ・ザグレブ戦と2試合連続で2ゴールを挙げている。

特に前節のパレス戦では、1人で2得点2アシストの獅子奮迅の活躍を見せた。最初のアシストは右足でボールをさらして縦を突く、往年のマイケル・オーウェンのようなプレーでギャレス・ベイルの先制点をアシスト。後半にはレズ・ファーディナンドのようなヘディングの折り返しで再びベイルの得点をお膳立てした。

さらにボックス外からスティーヴン・ジェラードやデイヴィッド・ベッカムを彷彿させる巻いたシュートで自らネットを揺らすと、最後は点取り屋らしくボックス内でフリーとなってソン・フンミンのクロスに頭で合わせてアラン・シアラーばりの決定力を披露した。

パレス戦は、ケインを見ているだけでイングランド代表の“アルバム”をめくっている気分になれた。

ミッドウィークのディナモ・ザグレブ戦でも2ゴールを決めたケインは、しかし試合終盤に膝をスパイクされて途中交代。ベンチでアイシングする姿が映し出されて心配されたが、どうやらアーセナル戦には無事に出場できるようだ。

無論、今のスパーズはケインの“ワンマンチーム”ではない。復活を遂げたベイルやデリ・アリもいるし、切り札的に使えるルーカス・モウラやエリク・ラメラもいる。もちろんチームの主軸であるFWソン・フンミンも健在だ。

昨年12月のELリンツ戦で3-3のドローに終わったあと、モウリーニョ監督は「ELグループステージではモチベーションが上がらない選手がいる。(ピエール=エミール)ホイビュアとソニー(ソン・フンミン)がいなければ結果を残せない。それは分かっていた」と語ったが、ディナモ・ザグレブ戦ではホイビュアをベンチスタートさせても危なげなく2-0で勝利できた。それほど今は戦力が充実している。

アルテタが「不公平だ」と愚痴を…

最後に、今回のノースロンドン・ダービーに向けて少し話題になったのが「ホームとアウェイ」の問題だ。

本来、11日開催のELは両チームともアウェイゲームを戦うはずだった。しかし、それでは第2戦で両者ともホームゲームになり、UEFAが禁じている同じ都市での同日開催となってしまうため、トッテナムのファーストレグがホームゲームに変更になった。

これで移動の心配をせずにノースロンドン・ダービーを迎えることになったスパーズについて、アルテタ監督は「不公平だ」と軽く愚痴をこぼしていたのだ。

実は、直近3試合がアウェイゲームのアーセナルに対し、トッテナムはホーム2連戦のあとエミレーツ・スタジアムに乗り込む。それどころかスパーズは、最近2試合のアウェイゲームもウェストハム戦とフラム戦のため、2月18日のELヴォルフスベルガー戦(ハンガリー開催)以降、6試合連続でロンドンから出ていないのだ!

過密日程だからこそ、移動の疲労といった些細なことが違いを生む可能性は大いにある。

アルテタ監督はこの試合に敗れると、クラブ史上初めて「就任からノースロンドン・ダービー3連敗」という屈辱を味わうことになる。一方でモウリーニョは、勝てばスパーズ史上初の就任後ダービー3連勝になるわけで、この試合にかける思いは強いはずだ。

いずれにせよ、今季のノースロンドン・ダービーはこの一戦で終わらないかもしれない。互いにELで勝ち上がれば、準々決勝以降でぶつかる可能性がある。そうなれば史上初の「欧州カップ戦でのノースロンドン・ダービー」だ。

合言葉は「グダニスクで会いましょう」か……。

文・田島 大

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まった『フットメディア』所属。英国在住歴を持つプレミアリーグのエキスパート。

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