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【コラム】“久保対マドリー”は気になるが、久保は地に足つけて、成長曲線が上向いていることを示すだけでいい | ラ・リーガ

【コラム】“久保対マドリー”は気になるが、久保は地に足つけて、成長曲線が上向いていることを示すだけでいい | ラ・リーガ(C)Getty Images
【コラム】ビジャレアルは今節、レアル・マドリードと対戦する。“久保対マドリー”の構図に注目が集まる一方で、ビジャレアルにとっても勝利すれば首位が見えてくる重要な一戦だ。スペインの『マルカ』『オンダ・セロ』などでビジャレアルを担当するビクトール・フランク氏が解説する。

久保建英のフットボールにおける才能に疑いの余地はない。

ゆえにプロフットボールの世界は、その才能に比例して彼の感情を急き立てていく。たった19歳なのに、彼の両肩には途方もない責任がのしかかっている。

「さあ、ドリブル突破を見せろ」「アシストしろ」「ゴールを決めろ」「今すぐにでも結果を手にしなけりゃ、もう未来はないぞ」

そうした声は、彼にとってプラスにならない。

遠い昔、はるか彼方の銀河系でアナキン・スカイウォーカーがダークサイドに引きずりこまれてしまったように、久保の成功に包まれているはずの未来へ扉の閉ざしてしまうだろう。はち切れんばかりの才能も、扉の鍵穴にははまらない。その穴に差し込むべきは、経験であるはずだ。

“久保対マドリー”の構図は格好のテーマだが…

久保が所属するビジャレアルはラ・リーガ第10節でレアル・マドリード(以下マドリー)と対戦する。

今回の一戦をより特別なものにするのが、マドリーが久保の所属元ということだ。“久保対マドリー”の構図は、日本はおろかスペインのメディアにとっても注意を引くための格好のテーマとなる。

日本人はチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』よろしく、自分の未来と対面を果たすのだから。来季に自分をマドリーに引き戻すかのかどうか、その決定権を持つジネディーヌ・ジダンに直接そのプレーを示せる機会は、久保を見守る人々の心もそわそわさせる。(……もっとも、ジダンが来夏までマドリーを率いているためには、現状の結果やプレーでは不十分ではあるが)。

しかしながら冒頭でも記したように、久保も彼のことを見守る人々も、はやる気持ちを抑えなければならない。

現状、ラ・リーガで久保がスタメンを張ることは難しい。

ビジャレアルを率いるウナイ・エメリは、最近にシステムを4-4-2(4-2-3-1)から4-3-3に変更したが、そのために久保が先発する可能性は除外されている。彼は中盤の3枚には数えられておらず、前線3枚にしてもパコ・アルカセルジェラール・モレノがアンタッチャブルとして君臨し、サムエル・チュクウェゼ及びモイ・ゴメスと出場機会を争わなければならならない。そして現在、攻守両面で獅子奮迅の活躍を見せているモイ・ゴメスを、エメリがあえて外す理由は見当たらない状況だ。

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(ビジャレアルの好調を支えるモイ・ゴメス)

ビジャレアルにおいて、久保が最注目の選手であることは日本でもスペインでも変わらず、エメリの起用法に不満を抱える人は少なくない。が、久保はまだ成長途上の選手であり、スタメンを張る選手たちと比べると、やはり見劣りするところがある。個人技やセンスは見劣りするどころか群を抜いていても、エメリが繰り返し強調しているように守備、攻撃の構築における判断は、まだまだ磨きをかけなければならない。

久保はマドリー戦で、途中出場からピッチに立つはず。彼の才能はすでに熟知しているであろうジダンにとっても、彼のことを一番厄介に感じるのは、ビジャレアルの一員として堅実なプレーを見せつつ、ときに破壊的なアクションを見せることだろう。結果を残すために一か八かのリスクある判断をしてビジャレアルの穴になるならば、ただ御し易い存在になるだけである。

いずれにしろ、久保はこの試合だけで来季マドリーに戻れるかどうかが決まるわけではない。成長曲線の最終地点ではなく、その曲線が上向いていることを示すだけでいいのだ。たとえ破壊的なアクションがメディアによって大々的に取り上げられても、その後も地に足をつけて歩き続ければいい。

ビジャレアルは勝利すれば首位の可能性も

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この一戦は、久保だけにとって重要なわけではない。ビジャレアルにとっては、チームとしての真価を示すべき試合となるのだから。

今季、素晴らしいスタートを切った彼らは、この試合の勝利で首位に立つこともできる。今季全公式戦でラ・リーガ開幕節ウエスカ戦を除けば6戦全勝と要塞と化しているエル・マドリガルで、エメリ率いる集団はその勢いが本物であることを証明すべく、マドリー撃破を望んでいる。

ラ・リーガ前半戦の3強との対戦は、今回が最後となる。カンプ・ノウでのバルセロナ戦では0-4の大敗を喫し、ワンダ・メトロポリターノでのアトレティコ・マドリード戦では勝利に限りなく近づきながらもスコアレスで試合を終えた。今回のマドリー戦では、もう一歩先に踏み出したいところである。

文= ビクトール・フランク  /スペイン『オンダ・セロ』『マルカ』ビジャレアル番

翻訳= 江間慎一郎

1983年生まれ。東京出身。携帯サッカーサイトの編集職を務めた後にフリーのサッカージャーナリスト・翻訳家となり、スペインのマドリードを拠点に活動する。 寄稿する媒体は「GOAL」「フットボール批評」「フットボールチャンネル」「スポニチ」「Number」など。文学的アプローチを特徴とする独創性が際立つ記事を執筆、翻訳している。

放送・配信予定

  • 配信:DAZN
  • キックオフ:2020年11月22日(日)日本時間0:15
  • 解説:小澤一郎 実況:桑原学
  • 会場:エスタディオ・デ・ラ・セラミカ

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