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【コラム】「アトレティコにとって彼以上の監督はいない」逆境中の逆境でそう証明するシメオネ…ダービーでも活路を見出せるか| ラ・リーガ

【コラム】「アトレティコにとって彼以上の監督はいない」逆境中の逆境でそう証明するシメオネ…ダービーでも活路を見出せるか| ラ・リーガDAZN
【海外サッカー コラム】マドリーダービーに臨むアトレティコ・デ・マドリー。ポルト戦がそうだったように、たとえ圧倒的に不利とみなされても、シメオネ率いる集団は信じることを決して止めないのだ。

アトレティコ・デ・マドリーは、崖っぷちに立たされたときに真価を発揮する。今季チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージで、そのことが再び証明された。

最終節ポルト戦は、まさに逆境中の逆境だった。前節ミランとの一戦に敗れてグループ最下位となり、直前のマジョルカ戦では終了間際に久保建英の逆転ゴールを決められて気持ちもどん底。かてて加えて、起用できる本職センターバックの選手はたった一人で、試合が始まってみれば13分にルイス・スアレスが負傷。ポルトは言葉通り満身創痍だったアトレティコから、ひたすらにゴールを求め続けた。

だがしかし、である。56分にアントワーヌ・グリーズマンのゴールが決まり、ディエゴ・シメオネはエスタディオ・ド・ドラゴンまでやって来た2500人のサポーターに投げキッスを送った。そしてアディショナルタイムにはアンヘル・コレア、ロドリゴ・デ・ポールも追加点を決めて、シメオネ、選手たち、すべてのサポーターが極限のエクスタシーを感じることになった。彼らは、またもやってのけたのである。だからこそアトレティコを、シメオネのアトレティコを愛することは止められない。信じることを決して止めてはならないのだ。

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■終わらせてはいけないサイクル

「シメオネのサイクルは終わった」。アトレティコの不調に漬け込んで、ここ最近はそんな世論が盛り上がっていた。「フットボールのエリート界では、いつだって次の試合だけが評価基準だ」と、シメオネ本人が語っていた通りに。フットボールは、今、この時だけしか存在しない。そのことに間違いないはないが、しかしシメオネを今、この時だけで裁くことには、1000回でもノーと叫ばなければならない。なぜなら私たちには、忘れ難い過去の喜びがあるのだから。シメオネには、決して変わらない情熱があるのだから。

シメオネの批判は、シメオネが成功する度に簡単になっていく……。アトレティコの予算はラ・リーガではレアル・マドリーとバルセロナに大差をつけられての3位だが、財政面でなくスポーツ面の成績では2位以上になることや優勝が義務付けられている。その理由は、シメオネが2014年と2021年に優勝してしまったから。またアトレティコはCLベスト16に入ることが当たり前になっているだけでなく、すぐにでも優勝する必要に迫られている。その理由は、シメオネが2014年と2016年に決勝までチームを導いてしまったから。そしてプレースタイルについても、堅守速攻だけでなくポジショナルな攻撃も今すぐ完璧にこなせと求められているが、その理由はシメオネが強力な陣容を持てるようにしてしまったからだ。

■毎試合が初めての試合となるパルティード・ア・パルティード

そして、これだけの功績があろうとも、シメオネは決して傲慢にならない。むしろ今季は、どんどんと純化しているようだ。例えば敵地メスタージャでのバレンシア戦、後半アディショナルタイムに2失点を許してドローゲームを演じると、試合終了後一人スタンドに座って物思いに耽っていた。オサスナ戦で試合終了間際のフェリペ弾で勝利すると、涙をこぼすほどの感動を覚えていた。4-1で勝利したカディス戦では後半の先制点が決まった場面では、一人席に座ったまま目を閉じて、心の底から安堵していた。

ここ最近のシメオネは、そうやってあらゆる人間的な感情を放出している。まるで一度として勝ったことがないように。一度として負けたことがないように。毎日が、アトレティコ監督としての初日であるかのように。一戦必勝の哲学パルティード・ア・パルティード(1試合ずつ、試合から試合へ)は、決して安っぽい売り文句ではない。彼の全身全霊を注ぐ姿と表情を見て、私たちは心底グッとくるのだ。アトレティコにとって、彼以上の監督など存在しない。

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ミッドウィークのポルト戦勝利は、13日に行われるラ・リーガ第17節、敵地サンティアゴ・ベルナベウでのマドリーダービーを前に、一つの転換点となるべきだ。マドリーは公式戦9連勝を果たすなど好調そのもので、ラ・リーガでも首位を快走。理想的な状況で今回のダービーを迎えるわけだが、それはアトレティコにとっても同じことだ。アトレティコは逆境にあればあるほど奮起する。それはクラブの歴史とシメオネのDNAに深く刻まれている。

アトレティコは月曜にCL敗退が既定路線と言われ、その24時間後にベスト16に進出を果たした。そして現在、ダービーはレアル・マドリーが絶対的有利と話されている。それは間違いないのだろうが、しかしアトレティコを死んでいるとみなすことは絶対にしてはならない。なぜならばシメオネ、選手たち、サポーターは信じることを決してやめないからだ。崖っぷちに立たされて、崖をつかむ指がたった一本になり、最後に落とされることになっても、彼らはまだ生き残る道を、勝利の方法を模索しているのである。

文=ハビ・ゴマラ(Javi Gomara)/ スペイン紙『ムンド・デポルティボ』アトレティコ・デ・マドリー番 

翻訳= 江間慎一郎 

1983年生まれ。東京出身。携帯サッカーサイトの編集職を務めた後にフリーのサッカージャーナリスト・翻訳家となり、スペインのマドリードを拠点に活動する。文学的アプローチを特徴とする独創性が際立つ記事を執筆、翻訳している。

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