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【プレビュー】試合をこなす毎に愛されていく久保建英。初めて臨むベルナベウでの一戦で目に見える結果を残せるか | ラ・リーガ

【プレビュー】試合をこなす毎に愛されていく久保建英。初めて臨むベルナベウでの一戦で目に見える結果を残せるか | ラ・リーガDAZN
【海外サッカー プレビューコラム】日本時間23日5:00に行われるレアル・マドリー対マジョルカ。久保建英にとって、初のベルナベウでの公式戦だ。マジョルカの地元紙『ディアリオ・デ・マジョルカ』で記者を務めるセバスティア・アドロベル氏が試合を展望する。

今週の水曜、サンティアゴ・ベルナベウで行われるラ・リーガの一戦はそんじょそこらの試合ではない。レアル・マドリーにとっては、もしかしたらそうなのかもしれないが、マジョルカと久保建英にとってはカレンダーに赤い丸を記していたり、頭の片隅でずっと意識していたりする類の試合だ。

「タケのモチベーションはとても高い。すべての視線が自分に向いていることを知っているんだよ。チームメートは彼をからかったり、カリム・ベンゼマやルカ・モドリッチ、カゼミーロと練習した感想を聞いたりしている。まあ練習していたのはけっこう前のことだがね。しかし、タケのこの試合に懸ける気持ち、良いプレーを見せて勝ちたい、という意欲はすごいね。2年前に自分を獲得したマドリー会長フロレンティーノ・ペレスが貴賓席から見ていること、それとカルロ・アンチェロッティにも注目されていることを意識しているんだろう」

マジョルカのあるスタッフが語ってくれた。その通り、なのだろう。久保がレアル・マドリーに戻れるかどうか、短期スパンではアンチェロッティがそれを決めるのだから。EU圏外枠の問題などもありスポーツ面の結果だけに左右されるわけではないが、それでも直接対決でアンチェロッティやマドリーのサポーターに良い印象を与えることは大切だ。

2021-09-19-Real Madrid-Ancelotti

久保が所属元のホームでプレーするのは今回が3回目。ベルナベウでの一戦に臨むのは、初のこととなる。マジョルカ、ビジャレアルの選手として戦った過去2回はベルナベウが改装工事中で、レアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)の本拠地アルフレド・ディ・ステファノでしかプレーしたことがなかった。

久保がベルナベウを舞台にして、ダヴィド・アラバやティボ・クルトワら守備陣を相手にして、そのリーダーシップや意思の強さを示すことは、マドリーで成功をつかむ意欲を示すこととイコールになる。この一戦は物怖じせず、騒ぎ起こすためにあるのだ。「タケは日本でも、このマドリー戦が特別扱いされると分かっているんだ。繰り返すが、モチベーションは相当に高いよ」、前述のスタッフがそう付け加える。

久保の目標は来季マドリーに復帰することで、今季レンタル先としてマジョルカを選択したのもそこに理由がある。彼は勝手を知っていて、コンスタントに出場できるクラブの方が目標に近づけると見込んだ。実際、現在までは4試合連続でスタメン出場とその読みは当たっている。あとは目に見える結果を残していくだけで、ベルナベウからそうできるなら最高なのだが。

過密日程の中で迎える大一番

マジョルカは余裕を持ってこのマドリー戦に臨めるわけではない。というのも、日曜のビジャレアル戦から中2日で行われる試合だからだ。久保はこの大事な一戦を前に、州都パルマまで9キロの距離にある高級住宅地、プエルト・ポルタルスにある自宅に閉じこもった。再びレアル・マドリーと戦えることに沸くマジョルカサポーターたちとは距離を取り、落ち着き払い、集中できる環境にその身を置きたかったようだ。練習場で汗を流す以外はゲームをしたりテレビを見たりする程度で、気が削がれるようなことは一切望まなかったという。

もちろん、このマドリー戦はミッドウィークに行われるわけであり、次のオサスナ戦との間隔も中3日と短い。そのためにマジョルカ監督ルイス・ガルシア・プラサがローテーションを採用する可能性は十分にある。しかし、その中で誰よりも先発を希望しているのが久保であるのは間違いなく、ガルシア・プラサはきっとその気持ちを汲んでくれるだろう。モチベーションが高い選手をあえて使わない理由などどこにもないし、そのあふれんばかりの意欲をしっかりと生かすべきだ。

アウェイのベルナベウで愛情を獲得できるか

前節のビジャレアル戦(0-0)、前半の久保は精彩を欠いてそこまでプレーに関与できず。それでもソン・モッシュの観客は彼を応援し続けた。ある年間チケット購入者はその理由を「タケのことは、ただ落ち着きをもって見守るだけでいい。脅威的な才能の持ち主だからな」と説明したが、確かにそうだった。後半になると昨季前半戦に所属した古巣相手にチャンスを何度となく生み出し、観客を興奮させた。ゴールこそ決められなかったものの、連係プレーの起点になったりスピードあるドリブルを見せたりと、久保は最たる才能を示した選手だったのだ。

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この若き日本人はマジョルカで愛されている。チーム一の高給取り(200万ユーロ)であることに異論を差し挟む者だっていない。「あいつは試合をこなす毎に、もっと、もっと愛されていくんだ」、別のマジョルカ・サポーターが言った。さて、初めて臨むベルナベウでの一戦で、レアル・マドリーのサポーターに似たような気持ちを植え付けられるだろうか。

文/セバスティア・アドロベル(Sebastia Adrover)、マジョルカ地方紙『ディアリオ・デ・マジョルカ』

翻訳/ 江間慎一郎

1983年生まれ。東京出身。携帯サッカーサイトの編集職を務めた後にフリーのサッカージャーナリスト・翻訳家となり、スペインのマドリードを拠点に活動する。 寄稿する媒体は「GOAL」「フットボール批評」「フットボールチャンネル」「スポニチ」「Number」など。文学的アプローチを特徴とする独創性が際立つ記事を執筆、翻訳している。

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