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【コラム】今、チャビ以上にバルセロナの監督にふさわしい人物など、この世のどこにもいない。ラポルタは、思い切るべきなのだ | ラ・リーガ

【コラム】今、チャビ以上にバルセロナの監督にふさわしい人物など、この世のどこにもいない。ラポルタは、思い切るべきなのだ | ラ・リーガDAZN
【海外サッカー コラム】開幕から苦しむバルセロナ。ロナルド・クーマンの解任は秒読みとされているが、その後任人事は、ラポルタ会長にとって絶対に勝たなくてはならない賭けである。地元紙『ムンド・デポルティボ』で記者を務めるフェラン・マルティネス氏は「後任にはチャビ以外ふさわしい人物はいない」と熱弁する。

またチャンピオンズリーグで負けた。またバルセロナがしでかした。しかも、これまでよりも与し易い相手に。

ユヴェントス、パリ・サンジェルマン、ローマ、リヴァプール、バイエルン・ミュンヘン……、そして今回はベンフィカ。もちろん彼らだって歴史的クラブであるが、しかしラ・リーガのビッグクラブであるならば勝つことを前提としなければならない。が、結局は負けたのだ。

今季のバルセロナは、欧州最高峰の大会に意識を傾けるべきではないのかもしれない。ここまでの2試合で3失点ずつ決められて、自分たちは1点も決めていないどころか、UEFAのスタッツによれば枠内シュートを1本も打っていないのだ。これでチャンピオンズリーグ優勝を希求するなどもってのほか、としか言いようがない。……オーケー、そのことは受け入れようじゃないか。しかし、せめてチャンピオンズのベスト16には残ってほしい。グループリーグ敗退でヨーロッパリーグに回って、そこで勝てないとなると……もう最低最悪の失敗だ。

だからこそバルサはラ・リーガに集中して、そこでチームを鍛え上げなくてはならない。今のバルサはメッシやルイス・スアレスのような並外れた個の選手がいないだけでなく、集団としても凡庸以下に成り下がってしまった。とはいえ、将来的にはトップレベルのクラック(名手)になり得る若手たちも擁しており、彼らがアコーディオンの蛇腹のように滑らかな動きを獲得できれば、今季もある程度の成功を見込める。そしてそのためには、現代フットボールに適応しており、それでいて確固たるアイデアを持った監督が必要となるわけだ。

昨季のチェルシーを思い出してほしい。彼らはシーズン途中、チームが下降線をたどっていることを受けて、クラブの偉大なレジェンドであるフランク・ランパードの監督解任を決断。ブンデスリーガで現代フットボールの潮流を生み出していた一人、トーマス・トゥヘルを招へいして、その賭けに見事勝利した。プレミアリーグで、ジョゼップ・グアルディオラのマンチェスター・シティに追いつくことは不可能だったが、チャンピオンズでは状況を逆転させてビッグイヤーを掲げたのだった。

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バルサの場合はチェルシーと違って、チャンピオンズ優勝はかなり厳しい(グループリーグ残り4節に全勝すれば決勝トーナメントには進出できるが……)。しかしラ・リーガについては、順位表を駆け上がっていく可能性が十分にあるはずだ。タイトルを争うライバルはいつもと同じで、レアル・マドリーとアトレティコ・デ・マドリーのスペイン首都二大チーム。ディエゴ・シメオネが率いるチームとは、2日に行われるラ・リーガ第8節で直接対決を迎える。

このアトレティコ戦でも、バルセロナは継続してロナルド・クーマンが指揮を執る……。リスボンでの失態、そしてこれほどの大一番を迎えるというのに、クラブ理事会が彼のクビを切らないというのは、一見して分かりかねる決断だ。会長のジョアン・ラポルタは、なぜ解任に踏み切らないのだろうか?

その理由はベンフィカ戦からアトレティコ戦まであまりに時間がなく、ワンダ・メトロポリターノでの試合が終わればインターナショナルウィークに突入することで、状況整理がより容易となるため。つまりクーマンの命はアトレティコ戦終了までで、以降はバルセロナの監督ではなくなる。バルセロナはチェルシーと同じように、クラブのレジェンドに別れを告げるのである。

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さて、そこからの決断が肝要だ。ラポルタはミスする余裕がないことを理解している。後任監督招へいの賭けには、絶対に勝たなくてはならない。

ラポルタは今夏、バイエルン監督のユリアン・ナーゲルスマンとサインを交わそうとしたものの、極度の財政難のために契約解除金である2500万ユーロを支払うことができず。クーマンとの契約解消に1300万ユーロの費用がかかることを含め、このオランダ人指揮官にチームを任せ続ける以外の選択肢を見つけられなかった。しかしながら現在、ラポルタには複数の候補者がいる。

まず挙げられる名前はアンドレア・ピルロで、バルセロナ会長は近しい人々から「彼は新たなフランク・ライカールトになれる」との文句で勧められている。また、自身の相談役を務めるジョルディ・クライフからは彼の友人ロベルト・マルティネスを推薦されており、ここ最近になってリーベル・プレートで成功をつかんだマルセロ・ガジャルドもピックアップされた。

そして、もちろんチャビ・エルナンデスも候補者の一人だが、ラポルタには彼を招へいすることに迷いがある様子。迷う理由は2つある。一つ目は、チャビにバルセロナを率いる力がすでにあるのかどうかが不透明なこと。そして二つ目は、先のバルサの会長選挙において対抗馬だったビクトール・フォントがチャビとつながり、当選の暁にはクラブに呼び戻すと公約していたことだ。

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だがしかし、である。ここから中長期のプロジェクトを進めていく上で、チャビ以上にふさわしい人物はいない。彼にとってバルセロナはホームそのものであり、このクラブの注目度の高さも重圧の大きさも分かっている。それにクレ(バルセロナ信奉者)たちはチャビを愛しており、若手選手たちの成長とチームパフォーマンスの改善を辛抱強く見守ることができるはずだ。

チャビはクライフィスタ(ヨハン・クライフ主義者)、バルセロナのプレースタイルの守護者だ。クレたちは彼らのバルサが勝たないことを許容することができる。が、彼らのバルサが再び美しいプレーを見せる、少なくともその片鱗を垣間見せることを水を飲むように必要としている。彼らはチャビが帰還を果たすことで、クライフが約30年前に教え込み、グアルディオラが約10年前に進化させた誇るべきプレースタイルを取り戻せると信じている。

チャビはバルセロナの下部組織ラ・マシアで、クライフの率いたドリーム・チームに憧れながら成長を果たしていき、グアルディオラの率いたペップ・チームで自らピッチ上でタクトを振るった。今、彼よりもバルセロナの監督にふさわしい人物など、この世のどこにもいない。ラポルタは、思い切るべきなのだ。

文=フェラン・マルティネス/Ferran Martinez(スペイン『ムンド・デポルティボ』紙)

翻訳/ 江間慎一郎

1983年生まれ。東京出身。携帯サッカーサイトの編集職を務めた後にフリーのサッカージャーナリスト・翻訳家となり、スペインのマドリードを拠点に活動する。 寄稿する媒体は「GOAL」「フットボール批評」「フットボールチャンネル」「スポニチ」「Number」など。文学的アプローチを特徴とする独創性が際立つ記事を執筆、翻訳している。

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