EURO2020で最高のパフォーマンスを見せたMFの1人であり、イタリア代表やチェルシーにおいて、躍進のシーズンの主役となったジョルジーニョ。イタリアでは、バロンドールにふさわしいとの声も上がるが、受賞者のすべての要素を考慮すると、イタリア代表MFが頂点に立つことは、難しいとみられる。
チェルシーにおけるジョルジーニョの1年
ジョルジーニョはイングランドにおいて、プレミアリーグを制することはできなかったが、より輝かしいタイトルを手にした。ブルーズとともに、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)およびUEFAスーパーカップのトロフィーを天に掲げた。
イングランドのチームの中盤で、完璧なかじ取りを見せ、驚くべきシーズンを送ったジョルジーニョ。だが、ヨーロッパを代表する偉大なストライカーたちに肩を並べるには、何か物足りないように見えてしまう。なぜなら今も昔も、ゴールには特別な重みがあるからだ。
ジョルジーニョの昨シーズンの成績
大会 | 試合数 | 得点 | アシスト |
UEFAチャンピオンズリーグ | 12 | 1 | 1 |
プレミアリーグ | 28 | 7 | 1 |
FAカップ | 2 | - | - |
カラバオカップ | 1 | - | - |
決定的なPKの失敗
ジョルジーニョのような至宝を評価する上で、得点数を基準とするべきではない。だが最近の度重なるPK失敗により、FIFAカタール・ワールドカップ出場を目指すイタリアの目標達成が危うくなり、バロンドール候補者としての自身の名声も損なわれようとしている。
かつては11メートルの名手だったはずのジョルジーニョ。しかしここ1年、所属クラブのチェルシーではPK失敗が3回(リヴァプール戦、アーセナル戦、クラスノダール戦)。イタリア代表においても、同じく3度のミスを犯している。
イングランドとのEURO決勝においては、GKジャンルイジ・ドンナルンマがブカヨ・サカのシュートをブロックして、ジョルジーニョの埋め合わせをしたが、カタールW杯欧州予選のスイス戦での2度のPK失敗(1回目はヤン・ゾマーが阻止、2回目は枠外)は、カタール行きを夢見るロベルト・マンチーニ率いるイタリアに、巨石のように重くのしかかる。
あのゴールが1つでも決まってさえいれば、イタリアはすでに、W杯出場を決めていたはず。ところが現実、プレーオフへと回り、準決勝で北マケドニアと、決勝でポルトガルとトルコの勝者と対戦しなければならない。
バロンドール賞の選考基準
主催者のフランス・フットボールは、世界180の国と地域の180人の記者に対し、個人およびチームのパフォーマンスや、選手の才能およびフェアプレー精神、キャリアなどを基に投票するよう求めている。審査員は、30人のファイナリストの中から5人を指名し、それぞれ1位の選手から順番に6~1ポイントが割り当てられる。
ジョルジーニョは昨シーズン、EURO2020やUCL、UEFAスーパーカップで優勝し、ほとんどのタイトルを手にした。つまり大陸レベルにおいて、彼に匹敵する者は誰もいない。厳密にいえば、元同僚のエメルソン・パルミエリも当てはまるが、彼はチェルシーの決勝戦で主役としてピッチに立っていない。
いずれにせよ、獲得タイトルだけが、バロンドールの評価基準ではないことを、覚えておきたい。先に述べた他の基準において、ベスト30のライバルたちは多くのポイントを得ているはずだ。
レヴァンドフスキへの借りと他のビッグスターたち
最後に挙げる要素も少なからず、重みがあるはずだ。すなわち、新型コロナウイルスの影響により「受賞者なし」となった2020年のパフォーマンスについてだ。昨年、授賞式が行われていれば、間違いなくロベルト・レヴァンドフスキがバロンドールに輝いたはずだった。
昨シーズンも引き続き、ゴールを量産し、高いクオリティを披露したバイエルン・ミュンヘンのエースストライカー。まさに不可抗力により2020年に祝福を受けることができなかった分、今年の受賞が近づいているように見える。
それからリオネル・メッシやキリアン・エムバペ、アーリング・ハーランド、エンゴロ・カンテ、カリム・ベンゼマといったクラスの選手が並ぶ。彼らは世界レベルでより大きな印象を残したといえる。また、今年はメッシやクリスティアーノ・ロナウドの活躍が大きく目立たなかった反面、ジョルジーニョを含めて数多くの名前が囁かれた。なお、カンテやジャンルイジ・ドンナルンマは、それぞれUCLとEUROでMVPを受賞している。
結論として言えば、ジョルジーニョがバロンドールに輝くことは難しいとみられる。だがこの賞は、歴史的に振り返っても、常に誰かが苦い思いをすることになる。時には、正真正銘のフェノーメノ(怪物)でさえも除外されることがあった。ジョルジーニョはたとえ個人賞を受賞できなくても、並外れたMFとしてみんなの心に刻まれるだろう。
文・ルカ・フェオレ
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