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【プレビュー】好調のスパーズでも“アンフィールド攻略”は至難の業 | リヴァプール対トッテナム | プレミアリーグ

田島 大(フットメディア)
【プレビュー】好調のスパーズでも“アンフィールド攻略”は至難の業 | リヴァプール対トッテナム | プレミアリーグ(C)Getty Images
【プレビュー】日本時間17日5時のキックオフが迫るプレミアリーグ頂上決戦の直前展望だ。アンフィールドで絶対の強さを誇るリヴァプールか、ハリー・ケインとソン・フンミンの黄金コンビが牽引するトッテナムか。全世界が注目の天王山を制するのは――。

リヴァプールとトッテナムによるプレミアリーグ頂上決戦(日本時間17日5時キックオフ)を前に、予習を兼ねて1年半前のマドリードでの決戦を思い出すことにした。

2019年6月、ビッグイヤーをかけて英国の2チームが激突した。ヨーロッパのナンバー1を決める大会で、それぞれ58年、29年も国内リーグ優勝から遠ざかるトッテナムとリヴァプールが決勝を戦うのは少し皮肉に思えたが、同国対決とあって大いに注目を集めた。

結局、開始早々のPKで先制したリヴァプールが2-0でスパーズを下して6度目の欧州制覇を果たした。あの試合の前にはアメリカのロックバンド、イマジン・ドラゴンズが『On Top of the World』を演奏していたが、1年半の歳月を経て、今度は世界最高峰のリーグで「Top of the World」の座をかけて激突するのだ。

それにしても、この1年半は本当に色々なことがあった――。

リヴァプールはクラブワールドカップで世界一に輝くと、リーグ戦で30年ぶりに悲願の優勝を果たして真の意味でチャンピオンになった。一方トッテナムは、チャンピオンズリーグ決勝の5ヶ月後にマウリシオ・ポチェッティーノを解任し、一部のサポーターから「悪魔との契約」と非難されながらもジョゼ・モウリーニョを新監督に招聘した。

フットボール界だけでなく、私たちの日常もこの1年半で激変した。6万人以上が詰めかけた決勝戦ではピッチに乱入する者もいたが、今はそれさえ懐かしく思える。今週のミッドウィークに開催されるプレミアリーグ第13節で、観客動員(2000人)を許されるのはこの試合だけなのだ。

最近26試合で1勝という鬼門中の鬼門

両指揮官の評判も変わったように思う。

好調スパーズを率いるモウリーニョはマンチェスター・ユナイテッド時代の刺々しさが消え、初めてイングランドにやってきた頃の自信とユーモアを取り戻し、現地メディアの評判も良好。11月末のチェルシー戦(0-0)直後には「選手たちが不満を抱いている。それが私にとっては最高だ」と彼らしいコメントを残した。

一方、これまでメディア対応を絶賛されてきたユルゲン・クロップ監督は怪我人続出のチーム状況も相まって、最近は毎週のようにスケジュールへの愚痴をこぼして株を下げている。英紙『The Guardian』の記者が「モウリーニョは昔のモウリーニョに、クロップは少し前のモウリーニョになりつつある」と揶揄するほどだ。

そんな監督たちが率いる両クラブは、同じ勝ち点25で並んでいるとはいえ、チーム状態は対照的だ。リヴァプールはフィルジル・ファン・ダイクを筆頭に、ジョー・ゴメス、チアゴ・アルカンタラ、ジェイムズ・ミルナー、ディオゴ・ジョタら故障者が続出。戦力事情が芳しくない。

対するスパーズは、故障者と言えばエリック・ラメラくらいで、モウリーニョ監督も「全選手を満足させるのは無理」と嬉しい悩みを抱えている。チーム状況だけを見れば、今回の首位攻防戦はスパーズに分があるだろう。

ハリー・ケインとソン・フンミンの黄金コンビは、今季リーグ戦で互いのゴールを計12回アシストしており、プレミアリーグ記録まであと1回に迫っている。彼らを封じ込めるのは、手負いのリヴァプールDFラインでは荷が重いように感じる。

しかし、スパーズにも懸念材料がある。それはアンフィールドの「ピッチサイズ」だ。標準の「105m」より短い全長「101m」のこのピッチでは、トッテナム得意のカウンターが鳴りを潜めるかもしれない。

注目はソン・フンミンだ。この韓国代表FWの今季10ゴールは、どれも全長「105m」のピッチで生まれたもの。クリスタルパレスのセルハーストパークやチェルシーのスタンフォードブリッジといったピッチが短いスタジアムで、ソン・フンミンはまだネットを揺らせていない。

さらにアンフィールドは、トッテナムにとって鬼門中の鬼門だ。リーグ戦の戦績を見ると、スパーズは最近26試合で1勝(8分け17敗)しかできていないのだ! しかもモウリーニョはクロップを苦手としており、過去11回の対戦で2勝4分け5敗。勝率18%は、モウリーニョが3回以上対戦した120名の監督の中で2番目に低い(対ロナルド・クーマンの17%に次いで)。

そしてリヴァプールはホームで絶対の強さを誇る。2017年4月のクリスタルパレス戦を最後に、リーグ戦では実に65試合無敗(54勝11分け)で、ボブ・ペイズリー政権を抜いてクラブ記録を更新中だ。

だから、いくら好調のスパーズでも“アンフィールド攻略”は至難の業である。

モウリーニョが絶賛する「面倒な奴」

カギを握るのはスパーズが誇る“もう一人の監督”、今季サウサンプトンから加入したピエール=エミール・ホイビュアだ。

ここまで全試合にフル出場しているデンマーク代表の守備的MFは、モウリーニョにとってまさに理想の選手。今月6日のノースロンドン・ダービーを制した後の記者会見で、スパーズ指揮官はホイビュアに最大級の賛辞を送っていた。

「フィジカルが強くてテクニックもある。彼は何でもシンプルにこなすのさ。そしてとにかく頭が良くて、試合を読むのがうまい。彼はいつか監督になるだろう。私の指示について、いつも理由を聞いてくる面倒な奴だけどね」

「面倒」なのはアーセナルも痛感したはずだ。どこから攻め込んでも、まるで“金太郎飴”のように必ず目の前にホイビュアが現れたのだ。そして巧妙に体を寄せてボールを奪取するだけでなく、時にはファウルも辞さない激しいタックルで攻撃を食い止める。

何より凄いのは、そんなプレーを続けてもイエローカードを貰わないことだ。

今季のプレミアで3番目に多い23回のファウルを犯しながら、貰ったイエローカードは1枚だけ。エヴァートンのMFアランがファウル21回でイエロー4枚を貰っていることを考えると、ホイビュアの凄さが分かるはずだ。

警告を貰わないように気を付けてプレーしながら、ホイビュアは審判への根回しも忘れない。ことあるごとに主審に話しかけ、味方につけようとするのだ。アーセナル戦では主審が腰に付けているバニッシングスプレーを勝手に弄ってコミュニケーションを図ったほどだ(効果があったかは分からないが!)。

プレミアのレギュレーションは、19節までにイエローカード5枚で1試合停止となるが、今のホイビュアのペースならば出場停止の心配は不要。むしろ、今回のような大一番でイエローカード覚悟のファウルをする余裕さえあるのだ。もちろん、モハメド・サラーやサディオ・マネのスピードに追い付ければの話だが……。

いずれにせよ「最多得点(リヴァプール)vs最少失点(トッテナム)」の首位攻防戦は、リヴァプールが押し込んでスパーズが得意のカウンターを狙う展開が予想される。とはいえ、必ずしも予想通りに行かないのがフットボールの醍醐味だ。

そういえば1年半前の決戦も、開始24秒でトッテナムのMFムサ・シソコがハンドによるPKを取られる予想外の幕開けとなった。

果たして今回はどんなサプライズが待ち受けているのか。

最後に、念のため2年半前のCL決勝戦も見返すことにした。そういえば、華麗なバイシクルシュートを含む2ゴールでリヴァプールを葬り去ったレアル・マドリードのギャレス・ベイルって、今どうしているんだっけ……?

文・田島 大

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まった『フットメディア』所属。英国在住歴を持つプレミアリーグのエキスパート。

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