アトレティコ・デ・マドリード復帰後、サポーターから憎しみの感情をぶつけられてきたFWアントワーヌ・グリーズマンだが、状況を逆転させることに成功したようだ。
今夏の移籍市場でバルセロナから古巣アトレティコに復帰を果たしたグリーズマン。しかしながら復帰直後、バルセロナ移籍を裏切り行為であると感じていたアトレティコのサポーターたちは、グリーズマンに憎しみの感情をぶつけている。本拠地ワンダ・メトロポリターノでは試合前のチーム紹介アナウンス、そして実際にフランス代表FWがピッチに立った際に、耳をつんざく指笛がスタジアム中に響き渡ることになった。
だが憎悪と愛情はやはり表裏一体なのか、それも含めてディエゴ・シメオネ監督の思惑通りということなのか、グリーズマンは結果を出すことで状況は逆転させることに成功。かつてアトレティコのエースだった男は、ここ1カ月半で5得点を記録するなど、その面影を思い出させている。
ラ・リーガではここ4試合で先発出場を果たしているグリーズマンは、前線の選手たちと巧みな連係を見せ、さらに守備面でも精力的に貢献。特にラ・リーガ第13節、敵地メスタージャでのバレンシア戦で決めたゴールは圧巻だった。自陣で自らボールを奪って相手ペナルティーエリア手前まで到達すると、狙い澄ました左足のミドルシュートを枠に突き刺している。メトロポリターノではいつの間やら、彼に対する指笛は聞こえなくなり、指笛より目立ちづらい喝采の拍手の方が大きくなった。
スペイン『マルカ』はアトレティコの背番号8について『グリーズマン、フェーズ1をクリア』と報道。なぜフェーズ1なのかというと、彼個人の好調ぶりをチーム全体に反映させる必要があるためだ。アトレティコの今季ここまでの成績は、ラ・リーガでは6勝5分け1敗で4位に位置しており、チャンピオンズ・グループステージでは2位ポルトと勝ち点1差で3位に甘んじているなど決して芳しくはない。グリーズマン個人とチーム全体の働きをシンクロさせて勝ち点を獲得していく……それがフェーズ2ということになりそうだ。