「ガンバの顔」、「いなくてはならない存在」。チームメイトからもそう称される宇佐美だが、今年は苦悩の1年を過ごした。開幕前のキャンプでは膝を負傷。シーズン開幕前には復帰できたが、なかなかコンディションが上がらず、それに伴なうようにチームの成績も上がってこなかった。
加えて、今年は新型コロナによる活動停止、AFCチャンピオンズリーグによる過密日程。フォームを完全に崩し、コンディションの上がりきらない中で試合をこなすことしかできなかった。
チームとしても苦しい戦いが続く中、7月27日に開催された明治安田生命J1リーグ第3節・大分トリニータ戦で、宇佐美は途中出場ながら後半アディショナルタイムに決勝弾を奪取。チームを勝利に導くゴールを奪った。この試合後、ピッチには涙を流す宇佐美の姿があった。
「今年1年の漢字ってあるじゃないですか。それが今年なら"苦”。苦しいなんすよ。(そういう中で)あの試合は本当に大事だった。展開的にも劇的だったし、気付いたらほっとした感じもなかったけど、気付いていたらそうなっていた。もちろん久々に勝たせられたことに安堵している感じはあったし、嬉しかったのもそう。サッカーをやっててよかったなと思ったし、それくらい思い出深いゴールでした」
大きな悩みを抱えていたからこその涙だった。その後も調子を戻すことができず、9月に入る前くらいまでは「サッカーをしたくない」と思うほどだったと言う。ただ、ある1日を機に自身の気持ちは大きく変わった。
「悩みのピークまでいって、パフォーマンスも落ちきった時に、どっちに振り切れるかやった。下に振り切れたらもう練習もできんくなるかなというくらいだった。ただ、現状この状況を経験できていることってすごくありがたいことやし、サッカーで悩めることすらありがたい。自分にはそこまで沈み切る勇気もなかった。ここまで下に落ちたんやったら良くしていく作業は絶対に楽しいやろと思った」
9月の天皇杯・湘南ベルマーレ戦では得点こそなかったがパフォーマンスに手応えが戻ってきていた。そこを機にチームも右肩上がりに向上し、なんとか残留を勝ち取るところまで行くことができた。
今年、宇佐美は6得点を記録した。そのうちの5得点は全て勝利につながった。宇佐美はこの5得点に対する思いを口にした。
「今年取った5点は、今までのキャリアのゴールの中で一番嬉しい5点ですね。その都度、自分に与えているプレッシャーや危機感から解放されるゴールだったし、チームも救えるゴールだった。(これまでの自身歴代)1位、2位、3位、4位、5位、独占じゃないですか。クオリティーうんぬんではなく、そう思います」
そして、宇佐美はG大阪に対する思いも明かしている。
「人生のパートナーにみたいになっている。常に一緒に生きてきた。強いチームになりたいですし、強くていいサッカーをするチームでやりたい。背負っているというより、背負いたいとずっと思っていたいですね」
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