セリエAにおいて、ユヴェントスやインテルに次ぐ18個のスクデットを獲得してきた1899年創設の名門ミラン。現在、セリエAに所属するチームの中で、ウディネーゼやトリノのケースを例外とすれば、ジェノアやユヴェントスに続いて3番目に歴史の長いクラブであり、16日にはクラブ創設122周年を迎えた。
だが下部リーグも含めれば、イタリアには、世紀をまたいで現在も活動を続けているクラブはいくつも存在する。
現存するイタリア最古参のクラブは?
イタリアのカルチョ界において、100年以上の歴史を誇るクラブは非常に多い。しかしながら、すべてのクラブがイタリア最高峰のリーグで活躍を続けているわけではなく、セリエAやセリエBで主役を演じているクラブはごくわずかだ。
ジェノア(1893年創設)
正式名称のジェノアCFCは、「ジェノア・クリケット・フットボール・クラブ」を意味する。ミランよりも6年早い1893年に創設し、イタリアカルチョ界のパイオニア的存在と言える。現在もセリエAの常連であり、リーグ内最長寿のジェノア。しかしイタリア最古のクラブではなく、創設はイタリア国内で4番目だった。
ジェノアのルーツは、クラブの名称からも分かるように、イギリスと関わりがある。かつてジェノアで活躍したジェームズ・スペンスリー氏は、イタリアにおけるフットボールの普及に貢献した人物の1人であるとされている。創設時のジェノアのチームカラーは、現在のようにロッソブルー(赤青)ではなく、白いユニフォームを着用していた。
ユヴェントス(1897年創設)
イタリアで2番目に歴史の長いクラブは、老貴婦人ことユヴェントスだ。ユーヴェの創設は1897年11月1日に遡る。トリノ市内のダゼリオ高等学校の生徒たちが集まり、フットボールチームを結成することを決めた。
一方、チームカラーのビアンコネーロ(白黒)が採用されたのは1903年のこと。2011年のユヴェントススタジアムのこけら落としに対戦相手として招待された世界最古のクラブ、ノッツ・カウンティのユニフォームを手本としたものだった。
アスコリ(1898年創設)
イタリアで3番目に長い歴史を誇るのは、意外にもアスコリだ。同じくマルケ州のヴィス・ペーザロとともに、1898年に創設された。アスコリはこれまで、セリエAに通算16シーズンにわたって在籍。100年以上の歴史を誇るクラブの最高位は、1979-80シーズンの4位だった。
チームは、アスコリ出身の12人の若者によって創設され、創成期はガリバルディ義勇軍(赤シャツ隊)の大佐を務めたアスコリ・ピチェーノ市民にちなんで、カンディド・アウグスト・ヴェッキと呼ばれていた。
ミラン(1899年創設)
ミラノの名門クラブは、1899年にイギリス人ハーバート・キルピンによって創設され、キルピン自身がクラブ最初の指揮官を務めた。
ミランは1900年、イタリアサッカー連盟に登録されると、すぐさま翌年に国内リーグの初タイトルを獲得し、ジェノアの覇権に終止符を打った。
ラツィオ(1900年創設)
ミラン創設の約1ヶ月後となる1900年1月9日、ラツィオが誕生した。ローマ市内のプラーティ地区の若者15人が集まり、チームを結成したが、イタリアサッカー連盟への加入は1908年。セリエAへの参戦は1912年に実現した。
ラツィオはこれまでに、スクデットを2回獲得(1973-74シーズンおよび1999-2000シーズン)している。
合併の末に消滅したイタリア最古のクラブ、トリノFCC
現在のウルバーノ・カイロ会長率いるトリノは、イタリア最古のフットボールチーム、トリノ・フットボール&クリケットクラブ(トリノFCC)の信念を継承している。
イタリアにフットボールを輸入したのは、トリノ出身の実業家エドアルド・ボジオ氏。1887年、旅先のイギリスでこの新たなスポーツと出会った。これをきっかけに、トリノでは、貴族(ノービリ)たちにより創設されたノービリ・トリノなど、新たなクラブが次々に誕生した。
トリノのクラブはその後、合併を繰り返す。1891年にトリノFCCとノービリ・トリノが合併し、インテルナツィオナーレ・トリノが創設。しかし1900年には市内の別のクラブ、FCトリネーゼに吸収された。続いて1906年、ユヴェントスを離脱したメンバーがチームに合流し、現在まで続くトリノ・フットボール・クラブが誕生した。
ウディネーゼの幻のスクデット
ウディネーゼは1896年に創設され、ミランやユヴェントスよりも長い歴史を持つ、イタリア最古参のクラブの1つとされる。だが、フリウーリ州のクラブは、創成期において、主にフェンシングなどに力を入れており、カルチョ部門が結成されたのは1911年のことだった。
イタリア史上初となるリーグ戦で優勝を飾ったのは、まさにウディネーゼだったとの伝説も語り継がれている。しかし当時の大会は、イタリアサッカー連盟の公式認定を受けておらず、幻の記録となった。
文・マックス・クリスティーナ
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