インパクトや貢献度を加味しての選出
フットメディア選出「プレミアリーグ ベスト11」
新型コロナウイルスの影響による“過去最長”のシーズンは、リヴァプールの30年ぶりのリーグ制覇で幕を閉じた。その激動の1年を振り返りながらベストイレブンを選出。最強の11人ならば「リヴァプールの10人+ケヴィン・デ・ブライネ」で決まる。それゆえ実力や成績だけでなく、インパクトやチームへの貢献度も加味して、『フットメディア』が独断と偏見でベストイレブン(4-3-3)を選考した。
プロの鑑だったリヴァプールの左SB
GKは今後の活躍への期待を込めて、クリーンシート3回を記録したアーセナルのエミリアーノ・マルティネスを選びたい。アリソン(リヴァプール)やニック・ポープ(バーンリー)ではなく、出場9試合の選手を選んだのはそれほどのインパクトを残したということだ。終盤戦に守護神ベルント・レノの離脱でチャンスを得ると、27歳まで一度も定位置を掴めなかったキャリアが嘘に思えるほどの堂々たるプレーぶり。ビルドアップに参加すると、落ち着いたパス回しで不安定な最終ラインを立て直し、FAカップ制覇にも貢献した。
激戦区の右SBはレスターのリカルド・ペレイラ(28試合・3ゴール2アシスト)が最も印象に残る。最近はゲームメーカー要素も求められるポジションだが、彼の場合は攻守の1対1が専門の古き良きタイプ。敵アタッカーに急接近して突破はおろか、クロスさえも上げさせない。サイドバックとして、1試合平均ドリブル突破数(2.1回)とタックル数(4.2回)はリーグ最多(※出場15試合以上が対象)。このポルトガル代表が膝の故障で離脱したシーズン終盤に、レスターが不振に喘いでトップ4を逃したのは偶然ではない。
左SBはリヴァプールのアンディー・ロバートソン(36試合・2ゴール12アシスト)一択だろう。スコットランド人らしい勤勉さで左サイドを上下動し、正確なクロスで好機を演出した。セットプレーのキッカーを務める同僚の右SBトレント・アレクサンダー=アーノルドに1つ及ばなかったが、2シーズン連続でアシストの数を2桁(12)に乗せた。31節の優勝決定後もパフォーマンスを落とさず、ラスト5試合で1得点4アシスト。まさにプロの鑑だった。
CBの1人目はリヴァプールのフィルジル・ファン・ダイク(38試合・5ゴール1アシスト)だ。言わずと知れた世界最高のDFは、フィールドプレーヤーとして史上5人目となる全試合フル出場でのプレミアリーグ制覇を達成した。パス本数(リーグ1位)、ボールタッチ数(同2位)、空中戦勝利数(同5位)など驚異的なスタッツも残している。
2人目に関してはウォルヴァーハンプトンのコナー・コーディも捨て難いが、大躍進を遂げた昇格組シェフィールド・ユナイテッドからクリス・バシャム(38試合・1アシスト)を選んだ。名リベロのフランツ・ベッケンバウアーが由来の“バッシャムバウアー”という愛称通りの攻撃参加を見せ、「オーバーラッピング・センターバック」を世に知らしめた32歳のベテランだ。攻撃面だけでなく、トップ3に次いで4番目に少ない39失点というチームの堅守にも貢献した。
B・フェルナンデスは「カントナ以来の衝撃」
中盤の3枚は、リヴァプールのジョーダン・ヘンダーソン(30試合・4ゴール5アシスト)、マンチェスター・Cのデ・ブルイネ(35試合・13ゴール20アシスト)、マンチェスター・Uのブルーノ・フェルナンデス(14試合・8ゴール7アシスト)で異論はないはず。
絶滅危惧種となった“真のリーダー”を地で行くヘンダーソンは、クラブワールドカップで不慣れなCBを任されても主将として堂々と立ち振る舞った。無駄に終わることが多いチェイスバックも決してサボらずに仲間を鼓舞。チームを1つにまとめ上げ、優勝に導いた。
デ・ブライネは最終節にティエリ・アンリが持つアシスト記録(20本)に並んだだけでなく、圧巻の2ゴールまで披露した。1点目は普段はあまり見せない(必要ない!)細かい切り返しから右足一閃。ヘンダーソンを年間最優秀選手に選んだ記者協会への当てつけのように、芸術的なシュートをサイドネットに突き刺した。
一方で、わずか半年でユナイテッドを完全に蘇らせたブルーノ・フェルナンデスは、1992年に途中加入ながらプレミア制覇に導いた英雄エリック・カントナの衝撃に近いものがあった。インパクトという面では彼がナンバー1だったかもしれない。
最年長得点王や“期待以上”の点取り屋を
次は3トップ。外せないのは33歳でプレミア最年長得点王に輝いたジェイミー・ヴァーディ(35試合・23ゴール5アシスト)。レスターのブレンダン・ロジャーズ監督いわく30歳を超えても進化しているそうで、来シーズンはさらなるゴール量産を期待できるかもしれない。
2人目はウルヴズの攻撃を牽引したFWラウール・ヒメネス(38試合・17ゴール6アシスト)。柔らかいボールタッチでのキープからゴール前に飛び込んでのフィニッシュまで、何でも器用にこなすオールラウンダーで、チチャリートことハビエル・エルナンデスが保持していたメキシコ人のプレミア最多得点記録を更新した。
リヴァプールのトリオ(ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネ、モハメド・サラー)やトッテナムのソン・フンミンも選出に値するが、純粋な“貢献度”という観点からサウサンプトンのダニー・イングス(38試合・22ゴール2アシスト)を最後の1人に。チーム総得点の43%となる22ゴールを決め、独力でセインツを残留に導いた。イングスの「xG(ゴール期待値)」は実はリーグ12位に過ぎず、期待値より6.34ゴールも多く奪った計算。これはユナイテッドの新星メイソン・グリーンウッド(6.61)に次いでリーグ2位で、まさに“期待以上”の活躍だった!
文・フットメディア
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。
2019-2020 プレミアリーグ最終順位
順位 | 点 | 勝 | 分 | 敗 | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 リヴァプール | 99 | 32 | 3 | 3 | +52 |
2 マンチェスター・C | 81 | 26 | 3 | 9 | +67 |
3 マンチェスター・U | 66 | 18 | 12 | 8 | +30 |
4 チェルシー | 66 | 20 | 6 | 12 | +15 |
5 レスター | 62 | 18 | 8 | 12 | +26 |
6 トッテナム | 59 | 16 | 11 | 11 | +14 |
7 ウォルヴァーハンプトン | 59 | 15 | 14 | 9 | +11 |
8 アーセナル | 56 | 14 | 14 | 10 | +8 |
9 シェフィールド・U | 54 | 14 | 12 | 12 | 0 |
10 バーンリー | 54 | 15 | 9 | 14 | −7 |
11 サウサンプトン | 52 | 15 | 7 | 16 | −9 |
12 エヴァートン | 49 | 13 | 10 | 15 | −12 |
13 ニューカッスル | 44 | 11 | 11 | 16 | −19 |
14 クリスタルパレス | 43 | 11 | 10 | 17 | −19 |
15 ブライトン | 41 | 9 | 14 | 15 | −15 |
16 ウェストハム | 39 | 10 | 9 | 19 | −13 |
17 アストンヴィラ | 35 | 9 | 8 | 21 | −26 |
18 ボーンマス | 34 | 9 | 7 | 22 | −25 |
18 ワトフォード | 34 | 8 | 10 | 20 | −28 |
20 ノリッジ | 21 | 5 | 6 | 27 | −49 |
※1~4位がチャンピオンズリーグ出場権、5位がヨーロッパリーグ出場権を獲得。18~20位は自動降格。
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