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猛虎ファルカオ、いよいよベルナベウに放たれる…最後にプレーした2013年にはアトレティコの国王杯優勝に貢献 | ラ・リーガ

猛虎ファルカオ、いよいよベルナベウに放たれる…最後にプレーした2013年にはアトレティコの国王杯優勝に貢献 | ラ・リーガDAZN
【欧州・海外サッカー ニュース】ラージョ・バジェカーノFWラダメル・ファルカオが、久しぶりにベルナベウでプレーする。

今季ラージョ・バジェカーノに加わりラ・リーガに戻ってきたコロンビア代表FWラダメル・ファルカオが、いよいよレアル・マドリードの本拠地サンティアゴ・ベルナベウに乗り込む。

スペイン語で虎を意味する“エル・ティグレ”の愛称で知られるファルカオは、ラ・リーガでは過去アトレティコ・デ・マドリードに2シーズン(2011-12、12-13)在籍。90試合で77得点を記録してヨーロッパリーグ優勝などに貢献した彼のことを、クラブ、ひいてはラ・リーガ史上最高のストライカーに挙げるアトレティコサポーターは決して少なくない。そんな彼が今夏の移籍市場でラ・リーガ再挑戦を選んだことは、多くのスペイン人にとって驚きの出来事だった。そのきっかけをつくったのは、アトレティコの元チームメートMFマリオ・スアレスである。

現在ラージョに所属するM・スアレスは、今年の8月中旬、同クラブのマルティン・プレサ会長に対して「会長、僕たちはファルカオを獲得できますよ」と進言した。ファルカオと頻繁に連絡を取っていた元アトレティコMFは、彼が背中の負傷の影響もあってガラタサライでの日々を終えようとしていたことを知っていたのだった。

プレサ会長はM・スアレスの進言を受けて、すぐさまファルカオ獲得の可能性探り始めた。一番の問題は、やはり年俸だった。ファルカオはトルコで年俸として1000万ユーロ(グロス)を受け取っていたとされるが、ラージョが提示できるのは120万ユーロ+インセンティブのみ。だがコロンビアの虎は妻と4人の子供たちと話し合い、生活する環境を変えること、スペイン首都で再び暮らすことを決断し、ラージョからの申し込みに対して首を縦に振ったのである。

こうしてファルカオはラ・リーガに帰還した。彼が選んだ背番号は「3」。それは数年前に亡くなった父親が、コロンビアでDFの選手としてプレーしていた頃に背負っていた数字だった。

しかしエル・ティグレも、もう35歳である。体は満身創痍で、かつてアトレティコに在籍した頃のようにゴールを決めらない可能性も指摘されていた。が、蓋を開けてみれば虎は虎のまま。彼は永遠の猛虎だった。フィジカルの問題によって常時先発はかなわないが、ピッチに立ってしまえばそのストライカーとしての迫力、力量に一切衰えは見られない。

脅威的な体と頭の捻りから放たれるヘディングシュート、抜群のポジショニングと走り出しから相手DFを振り切って猛然とボールを枠内に押し込むフィニッシュ、そしてバルセロナ戦のようにDFジェラール・ピケすら翻弄する抜群の切り返しや利き足とは逆の左足でゴールを決められる技術の高さ……。今や絶滅危惧種となっている純粋なストライカーのロマンが詰まっているファルカオは、今季ラ・リーガで7試合、わずか322分間の出場で4得点を記録。80分毎に1点を決めている計算となり、たとえ出場時間が短くてもお釣りは十分返ってくる。M・スアレスがファルカオと再会した直後、コロンビア『RCN』に対して語った言葉の通りである。

「自分はクン・アグエロ、フォルラン、ダビド・ビジャ、フェルナンド・トーレス、マリオ・マンジュキッチ、グリーズマン、ジエゴ・コスタらとプレーする幸運に恵まれた。でも僕にとって、ペナルティーエリア内のファルカオは誰よりも凄まじい。彼みたいな選手は見たことがなかった。頭でも左足でも右足でも、ね。実際、アトレティック・ビルバオとのヨーロッパリーグ決勝では、素晴らしい切り返しから左足のシュートを決めてみせた。彼はとても完璧なストライカーなんだ」

「ペナルティーエリア内で、彼みたいにプレーする選手は長いこと目にできなかった。自分のプロキャリアの中では、誰一人として見たことがない。僕は何人もの素晴らしいストライカーとプレーしてきたけど、ファルカオの決定力はクリスティアーノ・ロナウドやメッシと同じレベルにある。そのことに疑いの余地はない」

さて、そんなファルカオは6日のラ・リーガ第13節で、いよいよベルナベウでのレアル戦に臨むことになる。彼がベルナベウでプレーするのは2013年5月17日に行われたコパ・デル・レイ決勝レアル対アトレティコ以来のことだ。あの試合、ファルカオ自身はゴールを決めることができなかったが、アトレティコはジエゴ・コスタとミランダの得点に2-1の勝利を果たして優勝を達成。ディエゴ・シメオネ監督率いるチームが、14年間ダービーに勝てていなかったアトレティコの呪いを解き放った試合でもあった。ちなみに、その当時からレアルに所属していた選手はDFマルセロ、DFナチョ、MFルカ・モドリッチ、そしてFWカリム・ベンゼマの4選手のみとなっている。

ファルカオはそのコパ決勝を含めてレアルとは合計で4回対戦。その成績は1勝3敗で、アトレティコの旧本拠地ビセンテ・カルデロンでは2試合で2ゴールを決めたが、ベルナベウでは一度もネットを揺らしたことがない。果たして今回の一戦でその衰えぬ鉤爪の威力を示し、咆哮をあげられるのだろうか。今、“エル・ティグレ”がマドリディスタの神殿に解き放たれる。

文/江間慎一郎

1983年生まれ。東京出身。携帯サッカーサイトの編集職を務めた後にフリーのサッカージャーナリスト・翻訳家となり、スペインのマドリードを拠点に活動する。 寄稿する媒体は「GOAL」「フットボール批評」「フットボールチャンネル」「スポニチ」「Number」など。文学的アプローチを特徴とする独創性が際立つ記事を執筆、翻訳している。

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