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サッカー

【コラム】アーセナルとチェルシーが激闘を繰り広げた2016-17シーズンの名勝負をプレーバック | FAカップ決勝直前企画

【コラム】アーセナルとチェルシーが激闘を繰り広げた2016-17シーズンの名勝負をプレーバック | FAカップ決勝直前企画(C)Getty Images
日本時間8月2日1時半キックオフのFAカップ決勝を前に、DAZN解説でお馴染みの粕谷秀樹氏が名勝負をプレーバック。今年と同じ顔合わせであるアーセナルとチェルシーによる2017年のファイナルを追想する。

ネガティブな声を封じる決勝進出

「多くの批判に対するわれわれの答だ」

2017年4月23日、FAカップ準決勝でマンチェスター・シティを破ったアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督(当時)は、胸を張って答えた。

「一日も早く辞めた方がいい」

「時代後れの方法論に固執している」

「監督ではなくゼネラルマネジャーに」

などなど、各方面から飛び交っていたネガティブな声を封じる決勝進出だ。気分爽快だったに違いない。

16-17シーズンのアーセナルは、優勝したチェルシーに18ポイントもの大差をつけられた屈辱の5位。チャンピオンズリーグ(CL)出場権を取り逃がしていた。リベンジのチャンスはFAカップ以外に残されていない。

また、ヴェンゲル自身も勝てば史上最多となる7度目の戴冠だ。モチベーションは十分であり、決勝で相まみえるチェルシーの2冠だけは阻止し、我慢し続けたサポーターに素敵なフィナーレをプレゼントすることが、せめてものつぐないだった。

ヴェンゲル采配に勝利の女神が微笑んだ

現地時間17年5月27日15時、FAカップ決勝が始まった。

3分、試合がいきなり動く。アレクシス・サンチェスが巧みなロブでチェルシーDF陣の頭上を抜き、右足アウトで先制した。アーロン・ラムジーのポジションはオフサイドともいえたが、アンソニー・テイラー主審はアシスタントレフェリーに確認した後、サンチェスのゴールを認めている。

その後もアーセナルのペースが続く。しかし、ダニー・ウェルベックが、グラニト・ジャカが、エクトル・ベジェリンが決定的なチャンスを逸したり、チェルシーGKティボー・クルトワの好守に阻まれたり、2点目を奪えずに時間が過ぎていった。

そして68分、ジャカが2枚目のイエローカードで退場になった。77分、ジエゴ・コスタのゴールで追いつかれた。勝利の女神は、アーセナルに背中を向けようとしているのか。

主導権を握られたとき、ヴェンゲルはテクニカルエリアで頻繁に “フリーズ” する傾向にあった。動かないのか、それとも動けないのか。ゲームプランよりも選手個々のタレントを尊重し、なおかつ攻撃を重視するタイプだけに、受けにまわると脆い。

そのときだった……。

2017-05-28-fa-cup-final-wenger-arsenal

78分、ヴェンゲルはウェルベックに代えてオリヴィエ・ジルーを投入。ピッチに入った瞬間、このフランス代表FWは期待に応えた。サンチェスのパスに反応して左サイドからパーフェクトなクロス。走り込んできたラムジーは、ヘディングで合わせるだけでよかった。ヴェンゲルがフリーズせず、試合の流れを引き戻すと、勝利の女神が微笑み返した。

ふたたび1点のアドバンテージを握った後も、アーセナルは高い位置でチェルシーの反撃を食い止めた。ナチョ・モンレアルとペア・メルテザッカーは的確なポジショニングでピンチの芽を未然に摘み取り、ラムジー、サンチェス、メスト・エジルが絶妙のパス回しで時間を使いつつ、チェルシーの焦りを誘う。

アーセナルのプランが効を奏したのか、チェルシーから気力が削がれていく。リーグ優勝だけですっかり満足していたのかもしれない。あるいは、この一戦を最後に退団するジョン・テリーのメモリアルゲームのような感覚に陥ったのかもしれない。カップファイナル特有の緊張感が希薄で、逆転の可能性が微塵も感じられなかった。

チェルシーの事情があったにせよ、試合の大半で主導権を握りつづけたアーセナルが地力を証明した一戦でもある。ヴェンゲルが信じて疑わなかったテクニカルなフットボールにより、FAカップを制した。

FAカップは「CLをしのぐ権威」とも

リーグの優勝争いに一度も加われなかった悔しさが、100%払拭されたとは言い難い。それでも、イングランド・フットボールの掉尾を飾るFAカップを、オールドファンが依然として「CLをしのぐ権威」といってはばからない世界最古のカップ戦を制したのだから、ヴェンゲルも選手たちも、そして世界中のサポーターも、ホッと胸を撫でおろしたのではないだろうか。

あれから3年、アーセナルとチェルシーは、奇しくも今シーズンの決勝で相まみえる。前者はヴェンゲルが去り、ウナイ・エメリが解雇され、いまはミケル・アルテタが率いている。後者もアントニオ・コンテとマウリツィオ・サッリが監督の座を追われ、今シーズン開幕前にフランク・ランパード体制が発足した。

ともに40代の青年将校だ。どちらが新時代の幕開けを高らかに告げるのか。来シーズン以降のイングランド・フットボールを占う意味でも、見逃せない一戦である。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

DAZN配信予定

開催日キックオフ
(日本時間)
試合スコア
8/1(土)17:30
(翌1:30)
アーセナル vs チェルシー 

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