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【コラム】もっと見たかった"攻撃オプション"や"中央での崩し"。答えが出なかったチュニジア戦での宿題 | キリンカップサッカー2022

【コラム】もっと見たかった"攻撃オプション"や"中央での崩し"。答えが出なかったチュニジア戦での宿題 | キリンカップサッカー2022(C)三浦彩乃
【日本代表・コラム】日本代表は14日、キリンカップサッカー2022でチュニジア代表と対戦し、0-3の敗戦を喫した。完敗に終わったチュニジア戦後、森保監督は「どう攻撃の形を作っていくのか」と課題を口にした。ワールドカップまで数少ない貴重な強化試合で、日本はしっかりと歩みを進めることはできたのか。
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コロナ禍のスタジアムでなければ、ブーイングが響き渡っていたのではないだろうか。

勝利を見に、タイトル獲得の瞬間を楽しみにスタジアムへ足を運んだ人たちは、試合後、落胆の表情を浮かべるしかなかった。むしろ、試合が終わる前からスタジアムを足早に去る人の姿も見られたほどだ。6月シリーズの集大成に期待感は高まっていたが、そこにあったのは厳しい現実だった。

試合だけを振り返れば、森保一監督の「決定機は我々の方に最初あったと思います。そこを決めきれず、相手の決定力で流れを持っていかれた」という言葉は的を得ている。スリッピーなピッチで難しかったとはいえ、前半の決定機をMF鎌田大地が決めていれば違った展開になっていたのは間違いない。

ただ、そこでゴールが奪えず、我慢強い試合を強いられた中で、DF吉田麻也のミスから失点を献上。盛り返さなければいけない状況下で、さらに失点と悪い流れが続いた。加えて、攻撃面では最後までなかなかチャンスを作り出すことができず。ブラジル戦に続き、枠内シュートゼロで敗れた事実は、チームとして受け止めなければならない。

6月シリーズの集大成という意味では、内容面に関しては疑問点の多い試合だった。このシリーズで積み上げたものを見せるのかと思いきや、どちらかと言えばベストメンバーを揃えたというよりも組み合わせを試すような選手起用。ピッチではMF遠藤航が封じられた際の解決策を見出すことができず、新たな攻撃のバリエーションが増える様子もない。もちろんチームコンセプトの積み上げはあったのかもしれないが、チーム強化が図られた雰囲気を感じさせない90分だった。

森保一監督は試合後、「アタッキングサードでどう攻撃の形を作っていくのか、シュートまで持っていくかはさらに上げていかなければいけない」と攻撃面の課題を口にした。

それならば、もう少し中央での崩しに変化をもたらす施策が見たかった。遠藤が封じられた際、MF原口元気と鎌田が積極的に降りてボールを受けてもよかったが、回数は決して多くなく、後半にMF田中碧を起用して普段の形に戻すだけ。交代に関しても人の入れ替えだけで、個の打開に賭ける攻撃がほとんど。パラグアイ戦やガーナ戦に関しては相手のコンディション不足もあり、最後まで崩し切ることができたが、しっかりと対策を図り、走り切れるパワーを持ったチーム相手にはネットを揺らすことができなかった。

また、守備面ではもったいないミスからの失点が響いた。吉田がPKを献上したプレーは、「シンプルに僕の個人的なミス」という不必要なスライディングが原因。2失点目はGKとの連携不足による失点で、3失点目は前がかりになったところを突かれた。W杯本大会ならば致命的な失点になっていた可能性が高く、我慢強さを見せられなかった点も課題として残った。

「W杯のような大きな大会は失点することが一番ダメ。やはり強豪国になればなるほど、僕たちは無失点で長い時間プレーしないといけないし、(そうすると)やはりカウンター(のスペース)が空いてくると思うので、どうやって失点をゼロで抑えられるか。どんなに良くなくても失点しないことと、うまくいってない時に耐えられる力が必要なのかなと思います」(鎌田)

現状の勝ち筋を考えると、無失点を続け、カウンターや素早いサイド攻撃で少ないチャンスを決め切る選択肢しかない。この選択肢をより増やすことが求められていた中で、最後のチュニジア戦でその答えを出せなかったことが残念でならない。

文・ 林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

日本代表 招集メンバー

ポジション名前生年月日所属クラブ
GK川島 永嗣1983.03.20RCストラスブール
GK権田 修一1989.03.03清水エスパルス
GKシュミット・ダニエル1992.02.03シントトロイデンVV
GK大迫 敬介1999.07.28サンフレッチェ広島
DF長友 佑都1986.09.12FC東京
DF吉田 麻也1988.08.24サンプドリア
DF谷口 彰悟1991.07.15川崎フロンターレ
DF山根 視来1993.12.22川崎フロンターレ
DF板倉 滉1997.01.27シャルケ04
DF中山 雄太1997.02.16PECズヴォレ
DF冨安 健洋1998.11.05アーセナル
DF伊藤 洋輝1999.05.12VfBシュツットガルト
DF菅原 由勢2000.06.28AZアルクマール
MF/FW原口 元気1991.05.091.FCウニオン・ベルリン
MF/FW柴崎 岳1992.05.28CDレガネス
MF/FW遠藤 航1993.02.09VfBシュツットガルト
MF/FW伊東 純也1993.03.09KRCヘンク
MF/FW浅野 拓磨1994.11.10VfLボーフム
MF/FW南野 拓実1995.01.16リヴァプールFC
MF/FW古橋 亨梧1995.01.20セルティック
MF/FW守田 英正1995.05.10CDサンタ・クララ
MF/FW鎌田 大地1996.08.05アイントラハト・フランクフルト
MF/FW三笘 薫1997.05.20ユニオン・サンジロワーズ
MF/FW前田 大然1997.10.20セルティック
MF/FW堂安 律1998.06.16PSVアイントホーフェン
MF/FW上田 綺世1998.08.28鹿島アントラーズ
MF/FW田中 碧1998.09.10フォルトゥナ・デュッセルドルフ 
MF/FW久保 建英2001.06.04RCDマジョルカ

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