【コラム】 序列を変える存在となるか？ブラジル相手に板倉滉が存在感発揮 ｜ キリンチャレンジカップ2022

これほどまでに力の差があるのかと感じさせられた一方で、日本がギリギリまで勝利への可能性を繋ぎ止めていた事実にも目を向けなくてはならない。

ブラジルの攻撃は凄まじかった。個人技でもパスワークでも日本を凌駕し、ゴール前のスピード感は異なるスポーツをしているかのような違いを見せてきた。それでも日本は耐えていた。球際へ厳しく寄せ、相手に自由を与えない。シュートに対しては体を張ったディフェンスで対抗し、簡単に枠内へと飛ばさせなかった。

そんな戦いの中で、相手に最後まで立ちはだかっていたのがDF板倉滉だ。この試合に向け、「世界のトッププレーヤーが集まっている。そういう相手に組織で戦うのはもちろん、局面で負けない、球際で負けないことが大事になる」とイメージを膨らませていた板倉は、スタートからエンジン全開。「ネイマールクラスの選手たちは実際に対峙しないとわからないところはあるけど、常に先手を意識したい」と語っていた通り、ファーストプレーからネイマールに厳しいタックルをかまし、簡単にはやらせないという強気な姿勢を前面に出していった。

この日、最大のハイライトとなったのは64分のシーンだ。背後に出たボールをネイマールが胸トラップからボレーで狙おうとしたが、並走した板倉が寄せるのではなく、シュートコースに対して体を投げ出す判断に切り替え、見事シュートブロックに成功。完全に裏を取られかけた場面だったが、最善の選択をしたことで失点を防ぐことができた。

試合としてはPKによる1つの失点に泣き、勝利することができなかったが、シャルケ退団が決まったばかりの板倉にとっては世界にアピールするパフォーマンスになったことは間違いない。それは試合後の森保一監督からの評価にも現れている。

「流れや1つの判断が遅れていれば、もっと失点していてもおかしくない中、彼は危険な場面を察知して相手の攻撃を未然に防いだ。そして、ゴール前で相手の決定的なチャンス、我々に取ってのピンチを防いでくれていたと思います。攻撃の部分で起点になりつつ、まだまだ彼の能力からすれば、前にいいボールをつけられるところはあると思いますが、守備の部分でチームが崩れることなく戦えたのは、彼の貢献が大きかったなと思います」

現在、日本代表CBの序列を考えると、吉田麻也と冨安健洋が一番手と言える。ただ、今回のブラジル戦だけでなく、アジア最終予選を含め、板倉が日に日に価値を高めているのも確か。冨安が復帰した時にどんな形になるかは気になるポイントで、板倉の成長により冨安をサイドバックで起用できるオプションが出てきたことは、チームにとってポジティブな要素だ。

このパフォーマンスを継続していけるかどうかで、今後、序列が変わってくることが考えられる。6月シリーズは残り2試合。CBとして成長を続ける板倉がどこまでの存在となれるか。ピッチで進化を遂げる瞬間を楽しみにしたい。

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

日本代表 招集メンバー

●  男子FIFAランキング
●  サッカー日本代表・U24・女子 ｜ 試合日程・結果・放送予定
●  W杯カタール2022アジア最終予選 | 日程・順位・組み合わせ

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信！今すぐ下の記事をチェックしよう。

●  【番組表】直近の注目コンテンツは？
●  【お得】DAZNの料金・割引プランは？