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【コラム】36歳のミルナーと37歳のチアゴ・シウヴァはなぜ第一線で闘い続けられるのか | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

【コラム】36歳のミルナーと37歳のチアゴ・シウヴァはなぜ第一線で闘い続けられるのか | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー コラム】リヴァプールのジェイムズ・ミルナーとチェルシーのチアゴ・シウヴァ。ともに30代後半の大ベテランはなぜ、フットボールシーンの第一線で闘い続けられるのか。

「ミリーは来シーズンもプレーするよ」

ヨーロッパのフットボールシーズンは、いよいよ大詰めを迎えた。

優勝、チャンピオンズリーグ(CL)出場権、残留など、各チームは目標に向かって全身全霊を注ぐ。監督はコンディションに細心の注意を払い、ローテーションで現状維持を図る。疲労が蓄積しているいま、体力の向上は難しい。

こうした重要局面では、経験値がモノをいうケースが少なくない。いくつもの修羅場を潜り抜けてきたベテランがチームを救う。

サー・アレックス・ファーガソン退任後、マンチェスター・ユナイテッドが獲得したタイトルは2016-17シーズンのヨーロッパリーグただひとつであり、当時36歳のズラタン・イブラヒモヴィッチ(現ミラン)が異彩を放っていた。37歳のクリスティアーノ・ロナウドは、ユナイテッドにCL出場権をもたらすだろうか。

さて、リヴァプールのジェイムズ・ミルナーは36歳になった。今シーズンも衰えを知らず、すでに公式戦32試合をこなした。ユルゲン・クロップ監督のヘヴィメタル・フットボールは体力的な消耗を強いるが、30代後半のミルナーは体調を維持している。

ここ数年、右サイドバック、あるいはインサイドハーフのバックアッパーとして、クロップ監督はつねにミルナーを信頼してきた。必ずと言っていいほど、「JAMES MILNER」の名を20人のメンバーリストに書き記している。

「今シーズンかぎりでミリー(ミルナーの愛称)が引退するって騒いでいるのは、一部のメディアだけだ。契約は6月までだけれど、間違いなく更新する。ミリーは来シーズンもリヴァプールでプレーするよ」

クロップ監督のコメントからも厚い信頼がうかがえる。

いや、来シーズンどころか、あと2~3シーズンは現役を続けるのではないだろうか。30代後半でもプレーは瑞々しく、トレント・アレクサンダー=アーノルドやカーティス・ジョーンズといった若手も、ミルナーのタフネスには舌を巻くほどだ。

また、経験則に基づく貴重なアドバイスには、ジョーダン・ヘンダーソンやフィルジル・ファン・ダイク、チアゴ・アルカンタラ、ジョエル・マティプなど、30代の選手も真剣に耳を傾ける。

近ごろ、プライベートな問題が次々に露見している。改心した者、悪行を繰り返す輩、メイソン・グリーンウッド(ユナイテッド)やバンジャマン・メンディ(マンチェスター・シティ)のように、おそらく二度とピッチに立てない愚か者。

彼らにもミルナーの説法が必要だ。01-02シーズンにリーズでプロデビューしてから20年、なぜつねに第一線で闘えたのか。36歳になったいまもリヴァプールという世界的なクラブで重要な位置を占めるのか。

「だれよりもフットボールに対して真剣だ。羽目を外さず、プライベートは静かに過ごす。この俺もミリーのような性格だったら、もう2~3年は現役でいられたかもしれないな」

若いころはバッドボーイとしても有名だったウェイン・ルーニー(現ダービー監督)でさえ、ミルナーのプロ意識に脱帽していた。

加齢というハンデを瞬時にかき消す

2021-1213-Thiago-Silva(C)Getty Images

「37歳といえば若手じゃないけれど、まだまだ中堅だよ。パオロ・マルディーニは40歳、いや、41歳までプレーしたじゃないか。しかもミランでね」

チアゴ・シウヴァ(チェルシー)の堂々たる現役続行宣言である。世界最高の左サイドバックとして一世を風靡したマルディーニを見習い、ピッチに立ち続ける覚悟だ。

昨シーズン、パリ・サンジェルマンからチェルシーにやって来たとき、無謀なチャレンジに思われた。チアゴ・シウヴァが世界水準のセンターバックとはいえ、30代後半の肉体にプレミアリーグ特有のプレー強度はエグすぎる。リーグアンとはレベルそのものが違う。

さまざまな環境の変化に戸惑い、せっかくの名声に傷をつけて失意の帰国……。筆者は最悪のパターンまで想定していた。

「desclupe,Thiago」(ポルトガル語で『ごめんね、チアゴ』)

筆者は完全に見誤っていた。プレー強度とスピードを逆手に取る絶妙のポジショニング、ブラジル代表でキャプテンも務めた統率力、プロキャリア600戦以上の経験値などで、加齢というハンデを瞬時にかき消していた。

人心掌握に失敗したフランク・ランパードが解任されたり、ウラジーミル・プーチンとの近しい関係が発覚したロマン・アブラモヴィッチがオーナーの職を追われたり、昨シーズンからチェルシーは大混乱が生じている。感受性の強い年ごろの選手は、プレーに集中できていない。

こうした非常時でも、平常心を維持できるのがベテランの強みでもある。表立って訴えはしない。つねに控えめだ。しかし、チアゴ・シウヴァがチェルシーの中軸であることは、トーマス・トゥヘル監督のコメントからも窺い知れる。

「チアゴの集中力、毎試合の準備、プロフェッショナルとしての振る舞いなど、まさしくリーダーだ。ハードワークを怠らず、面倒見もいい。若手が、いや、チーム全体が見習うべき選手のひとりだ」

9月で38歳になる人格者は先頭に立ち、チェルシーにCL出場権をもたらすに違いない。

文・ 粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

粕谷秀樹のNOT忖度

配信情報

プレミアリーグ第32節
マンチェスター・C対リヴァプール

  • 配信: DAZN
  • 配信開始:4月11日(月)0時30分
  • 解説:戸田和幸 実況:下田恒幸
  • 会場:エティハド・スタジアム

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