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【9月 月間ベストヒーロー賞インタビュー】記憶に残る足をつりながらの劇的決勝点。知念慶は変わらず結果を求めてピッチに立つ | Jリーグ

【9月 月間ベストヒーロー賞インタビュー】記憶に残る足をつりながらの劇的決勝点。知念慶は変わらず結果を求めてピッチに立つ | JリーグDAZN
【国内サッカー・インタビュー】DAZNとパートナーメディアによる『DAZN Jリーグ推進委員会』では、今シーズンも「Jリーグ月間表彰」を実施する。スポーツ・サッカー専門メディアが独自の視点で賞を設けて、その月に相応しい活躍を見せた選手やチームを表彰。DAZN NEWSでは、「月間ベストヒーロー賞」と題して毎月ヒーローとして活躍した選手を選出していく。
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9月のベストヒーロー賞は、4試合で3得点の活躍で連勝の立役者となった川崎フロンターレFW知念慶を選出。J1第30節の湘南ベルマーレ戦では、足をつりながらも劇的な決勝点でチームを救った沖縄出身の好調なストライカーに話を聞いた。

「自分らしくやれた1カ月」

ーーJリーグYBCルヴァンカップ、AFCチャンピオンズリーグ敗退後にリーグ4連勝。振り返ってもらえますか。

ACLとルヴァンカップの敗退は精神的なショックがあったと思いますが、その後の隔離期間で鬼さん(鬼木達監督)が、「この後のリーグ戦は『優勝する上で勝負の5連戦になる』」と強く言っていました。ACLでは蔚山が手強いなか、良い試合ができていた中での敗退だったので、みんなも多少落ち込んでいたと思います。そのショックをチームの雰囲気からも感じましたが、1~2日ですぐに立ち直ることができたと思います。鬼さんが全体のミーティングで優勝に向けて「この5連戦を全部勝つぞ!」と言っていたことで、みんなの気持ちも切り替えられました。

ーー個人としても9月は4試合で3得点でした。

9月までの数ヶ月間はすごく、くすぶっていました。ただACL(蔚山戦)をきっかけに少しずつ自信を取り戻して、自分らしくやれた1カ月になったと思います。

ーー蔚山戦ではどのような自信をつかめましたか?

外から見ていてもすごく強い相手だと感じていましたが、アジアの強豪チームを相手に自分の持ち味を出せたことは自信に繋がりました。PK戦も1番最初のキッカーを任されてプレッシャーはありましたけど、決めることができました。

ーーその後のリーグ戦(J1第29節徳島ヴォルティス戦)で5月以来の先発でした。スタメンと聞いたときの心境を教えて下さい。

久々のリーグ戦スタメンに加え、チームが勝てていない状況での抜擢だったので、正直めちゃくちゃプレッシャーと緊張がありましたね。

ーーその中で2得点。どのようなメンタリティーで活躍につなげたのでしょうか?

チームとしても個人としてもうまくいっていない時期だったので、もうマイナスなことを考えても仕方ないと思って“やり切るしかない”と割り切った気持ちでした。前半で潰れてもいいくらいの気持ちでプレーしていました。

ーーチームを勝利に導くことができて、自信はさらに深まりましたか?

本当に結果を出せたことは自分のなかでホッとしたし、自信になりました。久々にスタメンで出た選手が結果を出すのはチームにとってもプラスになったと思います。自分が得点を決められたことでチーム内にも良い風を吹かせることができたのかなと思います。

ーーチームにとっても徳島戦の勝利は大きかったですね。

大きかったと思います。そこから雰囲気も良くなったと思いますし、隔離期間の中での連戦ですごく疲れていましたけど、本当に良い勝ち方ができたので気持ちが少し楽になりました。

「あのダサい感じが慶らしい」

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ーーJ1第30節の湘南ベルマーレ戦のゴールは、サポーターにとってヒーローのような活躍だったと思います。あのゴールをまずは振り返ってもらえますか?

昭さん(家長昭博)があの位置でボールを持ったときは、結構な確率で対角のクロスが入ってくるというイメージがありました。上げそうになったタイミングで、この辺りに来るだろうなという思いで走りました。ヘティングもうまく逆サイドに叩くことができたので、本当に良いゴールになりました。

ーーあの場面はうまくフリーになっていました。

あの時間帯はDFも疲れていたり、集中力のところでも厳しい時間帯だったと思います。一瞬相手のDFがルーズになった瞬間でした。駆け引きというよりも自分の集中力が勝った印象です。

ーーあのゴールがなければ連勝も止まっていました。そのゴールを自分が決められた意味をどう感じていますか?

やはりFWとしては、得点をとってチームを勝たせることがやりがい。それがチームにとって1番の助けになると思っています。個人としては大きな意味を持つ1点で、チームにとっても大きな1勝になったと思います。

ーーちなみに足をつってしまったのはどのタイミングでしたか?

着地のときでした。自分はヘティングで競り合った着地のときに足をつることが多いんです。徳島戦は90分間出場しましたけど、ここまで90分間フル出場することがあまりなくて…。自分は結構足がつりやすい体質なので、70分過ぎると足をつってしまうことがあります。あの試合も70分過ぎた辺りからジャンプするたびに軽く足をついっていて、何とか伸ばしてという感じでやっていました。

ーー本当は喜びを爆発させたいシチュエーションだったと思いますが、決めた直後はどんな心境でしたか?

本当にめちゃくちゃ痛かったので、決めた瞬間は痛さが勝っていましたけど、少し時間が経ったあとにじわじわと喜びがこみ上げてくる感じでしたね。

ーー周囲から反響もありましたか?

めちゃくちゃありました。自分のことを昔から知っている人は、『あのダサい感じが慶らしくて、いいね』と言ってくれた人もいました。サポーターの人も家族もすごく喜んでくれていたので、本当に取れてよかったと思いました。

「結果を出さなければ『やばい』という危機感」

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ーー現在のチームの強さをどの辺りに感じていますか?

常にチーム内に競争があって、ACLが終わったあとのリーグ戦でもそうでしたけど、全員が良い準備をしていたことで結果が出せました。チーム内の競争が川崎の強さの要因だと思います。

ーー具体的にどんな雰囲気を感じていますか?

J1で川崎Fが1番強いチームだと思うので、試合に出る難しさを感じますし、練習から常に気を張っています。一日、一日がプロとして勝負だなというのを感じています。いざ練習に入ると、みんなもスイッチが入って厳しくいくところやその声掛け、練習の強度も非常に高いと感じます。ただ練習後は、逆に楽しく喋ったりしているので、そのメリハリがすごいなと。特に練習の強度は、ここ数年でさらに上がっている印象が強いですね。サッカーも(2017年に)入団したときと、今では全く違いますし、年々強度は上がっていると感じています。

ーー川崎Fでの激しい競争に打ち勝っていくためにどのようなことを心がけているのでしょうか。

自分はコンディションや心理状況で浮き沈みがあるんですが、その時にいかに自信を持ってサッカーと向き合えるかが、このチームでやっていると大切だとすごく感じます。出続けている選手はすごく芯もあってサッカーと向き合っているので、自分もその芯を持ってサッカーをやっていければ、良いときも悪いときも良い方向に向かってやっていけるのかなと思っています。

ーー現状は先発4試合です。出場機会を得る難しさを感じていますか?

今シーズンは、自分が成長することを含めて川崎でもまれることが自分の成長につながると思ってチームに帰ってきたので、すごく強い覚悟を持って帰ってきました。ただ(レアンドロ・)ダミアンや(小林)悠さんが結果を出していて、自分は同じポジションとして二人の力にまだまだ及んでいないと思っているので妥当な結果だと思っています。もっと出場機会を伸ばしたいと思いますし、力をつけて上の二人に追いつかなければいけないという思いはすごくありますね。

ーー与えられたチャンスを逃さないことが大事ですね。

使ってもらったときに結果を出さないといけないという感覚です。(結果を)出さなければ『やばい』という危機感もありますし、常に競争があるので、スタメンのときは気持ち的にすごくいっぱい、いっぱいでやっています。

ーー途中出場が多い分、感じている難しさもあるのではないでしょうか。

特に今シーズンは、やっているサッカーの強度が高い分、後半はなかなか押し込めなかったり、疲れが見えて前進できなかったりすることが結構あります。そういうときに守備に追われる時間が長くなってしまい、チームの役割的にもなかなかゴールを取れないという時間帯も多いですけど、そこが自分自身では課題だと思っています。苦しい時間帯に一発得点できるような選手になりたいですね。もちろんチームの守備や役割はありますけど、やはりフォワードは苦しいときにチームを楽にさせてあげられるような仕事を途中出場からでも見せなければいけないと思っています。

ーータイトルへの思いにも変化はありましたか?

正直、1,2年目のときは全然試合に絡めなかったので、チームがタイトルをとっても充実感や手応えは全くありませんでした。ただ今シーズンは年齢的にも中堅になってきましたし、試合数やチーム内の立ち位置を考えても、当時よりもチームに貢献できていると思うのでタイトルへの思いは強くなっています。タイトルを取るためにもっとやらなければという思いでいます。

「自分もこういう場所でやってみたい」

ーー今回はヒーロー賞ということですけど、知念選手にとってのヒーローはいますか?

子供の頃に沖縄に住んでいたということもあって、Jリーグの試合を見たことがなかったんです。初めてJリーグの試合を見たのが大学3年生か、4年生のときでした。それもあって小さい頃からサッカーをやっていましたけど、自分のなかではヒーローみたいな存在はいなかったですね。ただプロになってからは、1年目で逆転優勝してその時に同じポジションだった小林悠さんは、同業者から見てもすごくヒーロー感が強くて憧れます。チームメイトから見てもかっこいいので、悠さんみたいな選手が僕のヒーロー像かもしれません。

ーー初めてJリーグを見た時にどんな心境だったのか覚えていますか?

豊田スタジアムで初めて試合を観ましたけど、ピッチとの距離が近くて選手の声も聞こえてきて迫力がすごかった記憶があります。「プロってこんな迫力でやっているんだ」とその時に感じました。身近にプロを意識する環境がなかったので、初めてプロの試合を観たときに「自分もこういう場所でやってみたい」という思いが強くなったのを覚えていますね。就活するまでプロを意識していなかったですし、普通に就職して平凡に生きていくと思っていたので、その時期くらいからプロを意識し始めたと思います。

ーーここからシーズン終盤に入っていきます。今後に向けた抱負をお願いします。

キツイ連戦をこなしてきてみんな疲れていたので、少し休めるのはチームにとっても大きいと思います。ただ、ここからもう一度引き締め直してやらなければいけないと思いますし、またパワーアップした姿を見せられるように気を引き締めてやっていきたいです。個人としても結果にこだわって1試合、1試合を戦っていきたいと思っています。チャンスがあれば、ゴールを取れるように良い準備をしていきたいと思っています。

文・インタビュー 森亮太

1990年、静岡県出身。静岡県を拠点にフリーライターとして活動中。2018年からは、サッカー専門新聞「エルゴラッソ」にてジュビロ磐田、アスルクラロ沼津の番記者を担当している。

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