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【連載】数々の"福音"がもたらされた結果のインテル首位独走 | 元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究 | 欧州・海外サッカー

【連載】数々の"福音"がもたらされた結果のインテル首位独走 | 元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究 | 欧州・海外サッカー(C)Getty Images
【インタビュー】2020-21シーズンのセリエAもいよいよ終盤戦。残り8試合で2位ミランに11ポイント差をつけたインテルが11年ぶりの優勝に迫っている。アルベルト・ザッケローニ氏が語る独走理由「数々の"福音"」とは?

インテルが2009-2010シーズン以来、11年ぶりとなるスクデット獲得に近づいていますね。残り8試合で2位ミランとの勝ち点差は11。もはや独走状態と言えます。

なぜここまでインテルが強いのか、今回はその秘密を解き明かしていきましょう。

そもそもこの状況、私個人としてはまったくの予想外でした。少なくとも2ヶ月前までは。

時計の針をいったん2ヶ月前に戻します。2月21日、久々の首位攻防戦となり大きな注目を集めたミラノダービー開催の日です。

結果は3-0でインテルの勝利。2位ミランとの勝ち点差を4に広げました。

その結果自体にそれほど驚きはありませんでした。単純な戦力はインテルがはるかに上。それを試合前から誰もが感じていたからです。

ただスコアとは裏腹に、インテルの試合運びからそれほどの凄味を感じなかった。これが当時、私が抱いた率直な感想です。

守備に多くの人数をかける一方で、攻撃は前線の個人技に頼るスタイル。その戦いぶりは単調でした。

他の上位チームにもまだ優勝のチャンスはある。ダービーを観てそう予測しましたが、外れでしたね。

ではなぜか? それはこの約2ヶ月の間で、インテルに数々の"福音"がもたらされたから、と言わざるを得ません。

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年末年始の頃は不安要素が渦を

まずはユヴェントスの凋落です。誰もが考えていましたよね、必ずや優勝争いに食い込んでくると。

ところがシーズン終盤戦を迎えた今でもエンジンは一向にかからないまま。

過去10年を振り返っても、こんな状況を目撃したことはありません。何せ9連覇を達成した昨シーズンまでは、圧倒的な強さで王者の威厳を放っていましたから。

続いての幸運はミランの失速。ダービーの敗戦がチームのムードを悪化させました。

もともとミランの開幕前の目標は優勝ではなく、上位に食い込むという現実的なものでした。

そんな初心からスタートすると、現状を保とうという守りの意識が働くもの。若い選手が多いミランのようなチームだとなおさらです。

首位から陥落した後は、まさにそんなチームのメンタリティが前面に出てしまいました。

優勝候補に挙がっていたナポリ、ローマ、ラツィオがもたついたことも、インテルの好調を後押ししましたね。

3チームとも前評判は良かったものの、フタを開けたら揃って不安定さを露呈。結果、優勝争いにはまったく絡めませんでした。

こうして独走状態を築いたとはいえ、インテルもすべてが順風満帆だったわけではありません。

とくに年末年始の頃は不安要素が渦を巻いていました。

期待されたCL(チャンピオンズリーグ)では、グループステージ最下位で敗退。各組3位が得られるEL(ヨーロッパリーグ)の出場権も逃しました。

チーム状態はそれこそ最悪。当時ピリッとした嫌なムードが漂っていたことは、想像に難くないでしょう。

ライバルチームにとっては、まさにつけ込む絶好のタイミングだったはずです。しかし、勢いを持った対抗馬は現れませんでした。

インテルがここまでの独走体勢を築けた要因。それは、他チームの不甲斐なさ、不調に大きく支えられているとも言えます。

CL敗退後に類稀な指導力を発揮

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決してインテルの強さを否定しているわけではありませんよ。むしろ首位に値するだけの証拠はあります。

その筆頭と言えるべき存在が、監督であるアントニオ・コンテ。

コンテについてまず強調すべきは、CL敗退のショックから見事にチームを立て直したその手腕でしょう。

百戦錬磨のコンテとはいえ、決して簡単な作業ではなかったはず。ショックを引きずり、ガタガタとチームが崩れてしまっても決して不思議でない状況でしたから。

この男は屈しませんでしたね。コンテと言えば、その強いメンタリティが選手時代からの最大の強み。自分の意思を絶対に曲げない人間です。

CL敗退後、コンテはその類稀な指導力を発揮しました。敗戦のショックを引きずらせることなく、チームへのマイナス影響を取り払うことに成功したのです。

まさに強靱な精神を持ち得るコンテだから成せる技だったと言えるでしょう。

コンテの値打ちはもちろんそれだけに止まりません。チーム作りという点においても、その手腕を存分に発揮しています。

ユーヴェ、チェルシー、そしてインテル。コンテが指導してきたチームはコンパクトさ、そして守備面の強固さがなによりの特徴です。

基本フォーメーションは3-5-2。守備時には5-3-2へと変化させます。

例え相手が1トップだとしても、コンテは頑なに自分のスタイルを変えることはありません。どんな相手、状況であろうとも、守備でリスクを負うことを絶対に良しとしないのです。

潤沢な戦力を抱えているのに、もっと攻撃的なスタイルを、と個人的には思ったりもしますよ。5バックでは守備に比重が取られすぎ、相手に押し込まれるシーンが多々見られるからです。

2トップのロメウ・ルカクとラウタロ・マルティネスが、攻め残って帰陣できていない状況を想定してみましょう。中盤は3枚になり、数的不利な状況を作られてしまいます。

敵からボールを奪う位置は必然と自陣のかなり後ろのゾーンとなり、攻撃でも何か仕掛ける、相手の予測不能なプレーを見せる、といったことは困難になります。

V逸は自滅以外に考えられない

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もっとも、コンテの狙いはより堅実なサッカーなので、そこを問題にはしていないのかもしれません。

攻撃のスタイル、セリエA最強2トップとの呼び声高いルカク、マルティネスの高い能力を最大限に生かすこと。

ともに強靱なフィジカルを持ち、さらに抜群のスピードを誇っています。個人でフィニッシュまで持ち込める能力も一級品。

そんな素晴らしい2トップの存在を最大限に生かさない手はありませんよね。

裏を返せば、5バックを形成してまで守備を固められるのは、コンテが2トップの決定力に全幅の信頼を置いているから他なりません。

監督にとって最も重要な仕事とは、抱える戦力を100%フルに活用すること。その意味では、コンテはまさに理にかなったチームを作り上げたと言えますね。

インテルの総得点(69)は、アタランタの71に次ぐリーグ2位。27失点は、ユーヴェと並んで最少です。

この数字を見ても、攻守のバランスに優れたチームであることがうかがい知れます。

リーグも残すところあと8試合。もしインテルがスクデットを逸するとするなら、もはや自滅以外には考えられません。それくらい有利な状況です。

コンテの性格からすれば、ここからV逸なんて失態は考えにくいですが、リーグ終盤が盛り上がるためにも、他チームにはなんとか意地をみせてほしいものです。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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