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【連載】インテルとユヴェントスの監督人事を深掘り「ピルロとっては気の毒な結果」| 元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究

【連載】インテルとユヴェントスの監督人事を深掘り「ピルロとっては気の毒な結果」| 元日本代表監督アルベルト・ザッケローニのセリエA探究(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー インタビュー】インテルがシモーネ・インザーギ、ユヴェントスがマッシミリアーノ・アッレグリを新監督に招聘した。この人事をどう見るか。元日本代表指揮官アルベルト・ザッケローニが深掘りする。

2020-21シーズン終了から2週間ほどしか経っていませんが、来季に向け、早くも大きな監督人事がありましたね。

11シーズンぶりにスクデット(リーグ優勝)を獲得したインテルではアントニオ・コンテが去り、シモーネ・インザーギが後釜に収まりました。

そしてユヴェントスではアンドレア・ピルロが解任となり、マッシミリアーノ・アッレグリの2シーズンぶりとなる復帰が決まっています。

今回はその2クラブ、インテル、ユヴェントスで起こった監督交代劇について考察していきましょう。

まずはインテルから。コンテの退団には、私も驚きました。なにしろタイトルをもたらした監督ですから。続投が基本線と考えていました。

勝つためにチームを作り上げてきたコンテが退団する。これは異常事態と言えるでしょう。

コンテが辞任を決めた経緯については、詳しいことは語られていません。当人にしかわからないこともあるのでしょう。

ただ、バジェット(予算)の問題が大きかったという噂は聞きました。経営難にあえぐインテルは過去2年における補強費の一部を、数人の主力売却で取り戻したい意向があると。

つまり、コンテは来季のタイトルを争ううえで、不可欠な選手を失うリスクがあった。そういった状況に置かれてしまい、最終的にチームを去る決断を下した、ということだと想像します。

コンテはここ数年、常にタイトルを争えるチームを指揮してきました。従って、「勝てる可能性が高いチームを指揮し続けたい」という彼の心情は、分からなくもないです。

突然の辞任には、賛否両論あることでしょう。それは重々承知しつつも、同じ監督の立場としては、コンテの行動は理解できるものです。

シモーネの戦術はコンテのそれと対極

クラブの収支バランスの犠牲となる選手が誰なのかは、今のところ明らかになっていません。

ただ、それがロメル・ルカク、ラウタロ・マルティネスの強力2トップ、または司令塔のマルセロ・ブロゾヴィッチといった攻撃陣の核となる選手だったら? チーム戦術を大きく変えざるを得ませんね。

一部では、アクラフ・ハキミがパリ・サンジェルマンに放出される可能性が高いと報じられています。たしかに、ルカクやラウタロの代役を見つけるより、22歳のこの右ウイングバックの代役探しは難しくないでしょう。

いずれにせよ、主力の大量放出という大きなリスクを抱えるなかで、コンテは「はい、来シーズンもやります」と即答できなかったのでしょう。逆に残留を決断する方が、難しい選択だったのではないでしょうか。

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後任のシモーネ・インザーギは選手、そして監督として約22年間在籍したラツイオを離れることになりました。勝手知ったるクラブから新たなフィールドへ。こちらも「リスクのある選択では?」との声が聞かれます。しかし、シモーネがはたしてラツィオにこれ以上の「何か」をもたらすことができたでしょうか?

チームの弱体化が予想されるインテルですが、それでもラツィオより優勝に近いチームであることに変わりはありません。シモーネはラツィオに比べ、より魅力的で刺激的なクラブを選んだ。ただそれだけのことです。

キャリアアップを目指す指揮官としてはある意味、当然の選択だったのではないでしょうか。ただ、シモーネがインテルで結果を残せるかどうかは別問題です。

コンテは縦に速いサッカーを展開していました。一方、シモーネはよりボールを保持するスタイルを好みます。目指すサッカーはいわば対極にあります。

この指揮官交代でチームがどう変わるか。それについては今後、大いに議論する余地があるでしょう。

とにかく、インテルにとってコンテを失った代償は決して小さくないでしょうね。

シモーネには逆に大きなプレッシャーが襲いかかるはず。インテルの選手はシモーネがコンテ同様、自分たちをタイトル獲得へと導いていることを期待しているはずですから。

アッレグリの復帰はベストのタイミング

ユヴェントスに話題を移しましょう。アッレグリが2018-19シーズン以来、2年ぶりの復帰を果たしました。

2年前にユヴェントスがアッレグリを解任したのは、勝つ以上の、内容でも周囲を納得するサッカーを目指したからでした。そこで新たに招集した監督が、昨季(2019-20)のマウリツィオ・サッリであり、今季のアンドレア・ピルロだったわけです。

監督交代が毎年行われているこの状況で、アッレグリの再登板。これを見る限り、クラブが描いていた計画は残念ながら「失敗」と言わざるをえませんね。

ただ私には、このプロジェクトがなぜ未完に終わったのが正直、不思議です。結果と内容を両立させられる戦力が整っていたわけですから。

アッレグリはしごく聡明な監督。復帰も彼にとってはベストなタイミングだったと言えるでしょう。

なぜなら一度は解任されながら、再び頭を下げられて戻ることになったわけですから。その経緯を鑑みると、今回はクラブ側も彼の意見をしっかり聞くことでしょう。

ユヴェントスにとって、2シーズン連続の失敗はさすがに許されません。勝つことに徹する姿勢を見せるアッレグリには、全幅の信頼が寄せられるでしょうね。

それこそ補強もアッレグリのリクエストに沿って行われるはず。

この2シーズン、アッレグリは監督として指揮を執っていなかったので、休養は十分。そういった背景もあり、アッレグリがどういったチームを作り上げるのか。個人的には来シーズン、インテルよりユベントスの方がより興味を惹かれます。

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一方で、ピルロにとっては1年の退任となり、気の毒な結果になりました。ですが、私はピルロの評価が下がったとは決して思っていませんよ。

そもそも今回は彼にとって初めての監督経験でした。リーグ10連覇という偉業は逃しましたが、それでもコッパ・イタリア、スーペルコッパ・イタリアーナを制しました。

ユヴェンティーノ(ユーヴェファン)にとって、ピルロ体制下の思い出として、必ず2つのタイトルが残るわけですからね。

しかもリーグ戦ラスト3試合(インテル、アタランタ、ボローニャ)は、内容も決して悪くなかった。

ピルロは今回の監督初体験で、選手時代には感じ取れなかった多くのものを感じ、学んだことでしょう。

もともとインテリジェンスにあふれるピルロ。個人的には、今後のキャリアに大いに期待しています。今回のユーヴェでの経験を次の指導に最大限に生かして欲しいですね。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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