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サッカー

【コラム】セリエA前半戦のベストイレブン | 2020-2021 | 細江克弥セレクト

【コラム】セリエA前半戦のベストイレブン | 2020-2021 | 細江克弥セレクト(C)Getty images
【コラム】セリエAのほぼ全クラブが全日程の半分となる19試合を消化。シーズンの折り返しとなるこのタイミングで、ジャーナリストの細江克弥氏が前半戦ベストイレブンを選出する。

今季もまた「過去イチ面白いセリエA」は、シーズンの折返しとなる第19節を消化して前半戦を終えた。“冬の王者”に輝いたのは、第4節終了時から首位を快走する ミラン 。スクデットを獲得した2010-11シーズン以来、実に10年ぶりのことだ。

快進撃の牽引車である ズラタン・イブラヒモヴィッチ は「冬の王者なんて」とボヤいたが、「何の意味もない」なんてことはもちろんない。

2010-11シーズン以降の10年で“冬の王者”がスクデットを獲得すること、実に8度。9連覇中の ユヴェントス が冬の王者になり損ねたのは3年ぶり3度目のことであるから、この10年におけるユヴェントスの覇権がいかに強大だったかがよくわかる。

それを考慮すれば、1位ミラン、3ポイント差で2位 インテル 、さらに ローマ 、ユヴェントス、 アタランタ ナポリ と続くその順位表は、近年セリエAの勢力図としては明らかに異質だ。王者ユヴェントスにとっては10連覇を目指すビッグシーズン。しかしそのタイミングで、セリエAは大きな変化の渦に片足を突っ込みつつある。

やはり「過去イチ面白い」2020-21シーズンのセリエAは、最後まで目の離せない戦いが続くだろう。

さて、前半戦を振り返る意味を込めて「ベストイレブン」を選定してみたのだが、カルチョファンの皆さんはどのような感想を持つだろうか。

唯一の設定条件は「前半戦のほとんどの試合に出ていること」。“ほとんど”の曖昧さはそれぞれの感覚に委ねるとして、皆さんもぜひ自分が思うベストイレブンを選出してみてほしい。

“チームプレーヤー”としてひと皮剥けた

GK: ジャンルイジ・ドンナルンマ (ミラン)

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インテルのサミル・ハンダノヴィッチ、ユヴェントスの ヴォイチェフ・シュチェスニー 、ナポリのダビド・オスピナと例年どおり各チームの守護神が好プレーを見せているが、なかでも2月で22歳になるドンナルンマのパフォーマンスが群を抜いている。

際立つのは身体能力を駆使したビッグセーブではなくプレーの安定感や安心感で、足下の技術も明らかに向上してチーム全体に落ち着きをもたらしている。ベンチにいながら抗議によって退場処分となる失態はあったものの、ミランの守護神であり1人の“チームプレーヤー”としてひと皮剥けた印象だ。

ケアは“スピードのないCB”の手本に

DF:シモン・ケア(ミラン)

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イブラヒモヴィッチばかりがクローズアップされがちだが、彼もまたこの1年のミランの快進撃における主役の1人だ。

2020年1月のミラン加入当初は長く実戦から離れていたことによるフィジカルコンディションの不安から低調だったものの、万全の状態で臨んだ今季は開幕当初から出色の出来。常にアンテナを張ってボールの流れを読み、いち早く判断して正しいポジショニングを取り続ける。

“スピードのないCB”が要所で相手に身体をぶつけるためにはどうすればいいか。今季のパフォーマンスはまさにその手本だ。

DF: クリスティアン・ロメロ (アタランタ)

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ナポリの カリドゥ・クリバリ との2択で迷ったが、あれだけ特徴的なアタランタの守備を1年目にしてほぼ完璧にこなしている点からロメロを選出した。

第19節のミラン戦ではイブラヒモヴィッチをシャットアウト。自らもゴールを決めて勝利に導くなど、かねてから高く評価されてきた潜在能力の高さを示し続けている。対峙する相手に対する“激しさ”のコントロールと、一瞬の迷いが生むミスはこれからの課題として残るが、すでにリーグ屈指のCBであることは間違いない。

DF: マタイス・デ・リフト (ユヴェントス)

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「ほとんどの試合に出ていること」という唯一の選定ルールを無視しても選びたくなるほど、ここまでの彼のパフォーマンスには“凄み”がある。

肩の手術による出遅れから出場試合は「10」にとどまっているものの、持ち前のパワーとスピード、読みの鋭さと1対1の勝負に対する強気の姿勢でまずはDFとしての圧倒的な力を誇示。アンドレア・ピルロ新体制のユヴェントスでは最終ラインからのクリエイティブな“1本目のパス”が大きなカギとなるが、その点での成長も著しい。

10連覇を目指す絶対王者のキーマンは、もしかしたら彼かもしれない。

重要度は「イブラ以上」のチャルハノール

MF: アクラフ・ハキミ (インテル)

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スタメン出場が「13」、途中出場が「6」とここまで全試合に出場。加入1年目にしてすっかりインテルの中核を担う存在となった。

わかりやすい武器は爆発的なスピードだが、本当の良さはその生かし方を心得ているクレバーさと、質・量ともに落ちない無尽蔵のスタミナにある。

昨季までのインテルは両ワイドのスタートポジションが低く攻め手が限定されたが、それを改善して“腰高”の状態を作ろうとするアントニオ・コンテ監督の戦術との相性もいい。6得点という結果が、それを力強く物語っている。

MF: ニコロ・バレッラ (インテル)

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カリアリ 時代からセリエAにおける傑出したMFの1人だったが、インテル2年目の今季はさらにもう1段階のスケールアップを感じさせる。

最大の武器はリスクよりチャレンジを選択できるアグレッシブなメンタリティ。小さなスペースを見つけてそこに飛び込み、相手にとってわずかな隙を致命傷に変える能力はあまりにも貴重だ。

特に第11節の古巣カリアリ戦と第18節のユヴェントス戦のパフォーマンスには、「 ブロゾヴィッチ でも エリクセン でもビダルでもなくバレッラ」というインテルの理想形をイメージさせる迫力があった。

MF: フランク・ケシエ (ミラン)

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昨季途中に“右のセンターMF”から“左のセンターMF”にポジションを変更。攻撃的左SB テオ・エルナンデス を前に押し出すポジショニングとカバーリングでチームの長所を引き出し、守備面の弱点を消して完成度アップに貢献した。

「圧倒的なフィジカルを駆使した広範囲にわたるボール奪取能力」がクローズアップされがちだが、それはあくまで側面の1つ。バレッラに似た“飛び込む決断力”はもちろん、的確なタイミングで的確な場所にボールを運ぶ攻撃センスも要所で大きな効果を発揮している。

MF: レオナルド・スピナッツォーラ (ローマ)

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昨季後半戦に本調子を取り戻し、その勢いを落とすことなく今季も開幕当初から好調を維持。前半戦のチームを牽引したヘンリク・ムヒタリアンとともに左サイドから多彩な攻撃を仕掛け、速攻・遅攻とも数多くのチャンスを作り続けている。

パフォーマンスの安定感と攻守の総合力ではアタランタのロビン・ゴセンスに劣るが、一瞬の加速で局面を打開する能力は圧倒的。いまだ発揮し切れていない特大の潜在能力を感じて、思わず目で追いかけてしまう。

MF: ハカン・チャルハノール (ミラン)

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ミラン加入4年目。「最初の2年半は何だったんだ」と言いたくなるほど、イブラヒモヴィッチ加入後の彼は“自分の活かし方”を最も明確に理解・体現している。

ピッチ内における重要度は、今や「イブラヒモヴィッチ以上」と言っていい。トップ下のポジションを起点として自由に動き回る彼のプレーがなければ、最終的にイブラヒモヴィッチのゴールへとつながる理想的なボールの流れを作ることは難しい。

それがミランの強みであり課題であることが、チャルハノール不在の第19節アタランタ戦でよくわかった。

ロナウドではなくインモービレの理由は…

FW: チーロ・インモービレ ラツィオ  

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開幕後4試合は1勝1分2敗とまったく振るわず、6年目に突入したシモーネ・インザーギ体制はついにピークを過ぎたかに思われた。

ところが、直後のチャンピオンズリーグ第1節ドルトムント戦からインモービレが9試合連続ゴール。自らのゴールで結果を手繰り寄せ、チームの雰囲気を一気に変えてしまった大エースのパフォーマンスはまさに圧巻だった。

ゴールパターンは相変わらず多彩で、身体を張ったポストワークやファーストDFとしての守備面での貢献などこなすべきタスクは多い。 クリスティアーノ・ロナウド ではなくインモービレを選出した理由もそこにある。

FW: ロメル・ルカク (インテル)

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昨季はカウンターの起点となるポストワークや“相棒” ラウタロ・マルティネス へのラストパスの供給、スペースを突くランニングなどで持ち前のクレバーさを印象づけたが、今季は序盤からゴールを量産し、ストライカーとしての価値を誇示している。

第18節ユヴェントス戦ではレオナルド・ボヌッチとジョルジョ・キエッリーニのイタリア代表コンビをフィジカルで圧倒して最前線に起点を作り、守備面では正確なポジショニングで相手のビルドアップを潰した。

ルカクがピッチに安定して立ち続けることは、インテル優勝の重要な必要条件だ。

文・細江克弥

1979年生まれ、神奈川県藤沢市出身。『CALCIO2002』『ワールドサッカーキング』『Jリーグサッカーキング』編集部などを経てフリーランスに。サッカーを軸とするスポーツライター・編集者として活動している。DAZNセリエA解説者。ジェフユナイテッド市原・千葉オフィシャルライター。

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