微妙な判定が下されたのは、J1第7節浦和対鹿島の39分の場面だ。
下がって受けにきた鹿島の上田が中盤でボールを失うと、そこから相手のカウンターが発動。DFを一枚かわして完全に抜け出した武藤に対し、追いかけていった上田は、ゴール前で後ろからファウルを犯してイエローカードが提示されることになった。
ただ、この場面はよくよく見ると決定的な得点機会の阻止、いわゆる「DOGSO」だったようにも見える。そうなれば、上田はイエローカードではなく退場処分を受ける可能性があったと考えられるが、今回はこの場面について徹底的な議論が行われた。
DOGSOマスターで知られる平畠氏は「見れば見るほど悩む感じがあります」と語りつつ、二人のDFがカバーできる範囲にいたことで「DOGSOの4条件で言えば、距離と相手守備者の人数のところの兼ね合いかなと。僕はイエローでいいんじゃないかと思う」と見解を述べた。
この意見に原氏も同調。「もちろん武藤もそのままいけると思うが、一応、両方からきている。時間と距離を考えれば、どフリーで打てるかといえばクロスプレーになりそうな感じもある」と語り、DOGSOによるレッドカードにはならないと語った。
両者の意見が出る中、JFA審判S級インストラクターを務める廣嶋氏は、見る角度によって受け取り方が変わることと審判的視点での回答を主張。その上で、最終的な意見としてレッドカードであると見解を述べた。
「裏からの映像を見るとカバーにはいけないなと思う。でも、スタンドからの映像を見ると、副審に近い方のDFがカバーに行けるように見えると。主審からしたらファウルされた選手よりもカバーできるかもしれない選手が前にいることで、ゴールからの距離を見て追いつくかもという考えが浮かぶとも思った。そのためイエローにする判断も理解はできる。ただ、私の意見はレッドです」
この回答に対して原氏は、「少なくとも武藤はシュートまではいけたと思う。ただ、そんなフリーで打てる状況ではないと思う。そういう時はイエローでいいと思う。何でもかんでも退場にするのは賛成ではない」と見解を口にしている。
議論を行った上で、最後まで両方の意見が出る微妙なシーンだった今回の場面。それだけ難しい判定だったと言っていいだろう。
DOGSO(ドグソ)とは
DOGSOとは「Denying Obviously Goal Scoring Opportunity」の略称で、ファウルによる「決定的な得点機会の阻止」を指す。下記4条件がすべて揃った場合、得点ができる可能性とみなされる。
- プレーの方向:攻撃側の選手が相手ゴールに向かっている
- 守備側競技者の位置と数:守備側の選手が状況的に得点を防ぐことが困難だった
- 反則とゴールの距離:攻撃側の選手が得点可能な位置だった
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性:攻撃側の選手がファウルを受けなかった場合、シュートやドリブルが可能だった
Jリーグジャッジリプレイ
- 配信:DAZN
- 配信日:毎週火曜日
- MC:桑原学
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