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【月間表彰】「チームを勝たせることがFWの価値」鹿島FW上田綺世が語る『FWの本質』と『進化する思考』|Jリーグ

須賀 大輔
【月間表彰】「チームを勝たせることがFWの価値」鹿島FW上田綺世が語る『FWの本質』と『進化する思考』|Jリーグ(C)J.LEAGUE
【月間表彰】Jリーグを配信している「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」による月間ベストプレーヤー企画。今回、同企画の11月度に選出された鹿島アントラーズの上田綺世にインタビューを実施した。
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FWの本質は「チームを勝たせること」

ーー11月のDAZN月間ベストプレーヤーに選ばれました。11月は全5試合に先発出場して4ゴール。この数字をご自身ではどう捉えていますか?

FWの責務は点を取ってチームを勝たせることなので、勝つために必要な数のゴールを取る必要があると思っています。その本質から言うと、5試合で4得点が多い、少ないという考え方はしていないです。

ーー第31節の横浜F・マリノス戦、第28節・ベガルタ仙台戦、第30節・浦和レッズ戦と上田選手がゴールを決めた3試合はすべてで勝利しています。

僕1人で勝つことはできないと思っています。たまたま僕が取った試合で負けた試合がないだけかなと思います。

ーー11月の5ゴールの中でベストゴールを挙げるとすればどのゴールになりますか?

どのゴールも良かったと思いますけど、その中でも浦和戦の1点目か横浜FM戦のゴールですね。横浜FM戦のゴールはキレイだったと思います。

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浦和戦の1点目に関してはいろいろと考えていたことが噛み合いました。エヴェ(エヴェラウド)が持ったタイミングで、クロスを上げてくれることを予測しながら自分で作ったスペースを上手く使えました。自分なりに上手く組み立てられたゴールでした。

ーー上田選手がFWとして大事にしていることはどんなことでしょうか?

チームを勝たせることにFWの価値が出ると思っています。毎試合、点を取ることはすごく難しいことです。ただ、勝った試合では点を取ったこと、取った1点をすごくフォーカスされがちで、負けた試合では失点やDFの選手がフォーカスされてしまう。でも、例え2失点しても前線の選手が3点取れば勝てる。理論上はそういうことですよね。失点は(FWの)僕らでは防ぎ切れないところがあるからこそ、やはり負けた試合で点を取れなかったことに責任を感じるべきだと思います。

ーー自分のゴールではなくチームの勝利が大事だと。

自分が点を取って勝たせたい思いは常にあります。ただ、それはあくまでチームの勝利が前提にあるわけです。やはりFWが点を取りにいく本質はチームが勝つためだと思います。僕だけが点を取って勝ちたいわけでも、試合に勝つのは点を取った選手だけのおかげでもない。失点せずにゴールを守ってくれる選手など、勝利の影に必ず裏方がいます。

負けた試合は、相手のゴールが目立つイコール負けたチームのDFが目立ってしまう。自分たちが勝ったときは(点を取った選手が)日の目を浴びている分、負けたときに僕らが点を取れなかったことを悔しがるのが当たり前だと思います。だからこそ、自分が点を取った試合よりも負けた試合で点を取れなかったことの方が悔しい。もちろん、僕が2点取って2-0で勝ちたいわけではありません。自分が点を取れなくてもチームが勝てればいい。

自分が点を取って勝たせられればいいと思いますし、それを目指していますけど、自分がゴールを決めて勝つことが理想ではないです。

ーーあくまでも勝つためにゴールを取る。

ゴールを目指すことに責任があると思います。なぜなら、それは僕がFWだからです。

得点は「取れれば何でもいい」

ーーゴールを取るために最も大事にしていることはなんですか?

最後は感覚になってしまいます。特にエリアの中は、おそらく意識も考えもなくなる領域だと思っています。本当に感覚だけというか、それはGKもDFも同じだと思いますけど、やはりゴール際はすごく感覚的なところなので僕がずっと積み重ねてきたことが出るところだと思います。そこでゴールを取るために、それ以外のところで良い形に持っていくためにということを考えながらやっています。

ーー良い形に持っていくために考えていることを具体的に教えてもらえませんか。

相手を観察することです。DFラインの癖やラインの上げ下げのタイミング、どこにスペースができるのか。もっと言えば、DFの足が遅い、ヘディングが弱い、ボールウォッチャーかどうか。そうことを考えながら常にやっています。全部が全部、突けるわけではないけど、結局、最後の感覚のところでそういうものが生きてくる。ゴールに近づくための情報を得ることは常にしています。

ーー理想のゴールの形はありますか?

もちろん、ゴールへのこだわりはあります。どんな形でもその1点をもぎ取るためにプレーしています。それが無いと、FWとしての本質は全うできないと思います。でも、理想のゴールの形はないです。取れれば何でもいいと思います。相手GKのパントキックが顔面に当って入っても良いと思っています。

勝つために何が必要なのか考える

2020-11-21-J1-Kashima-Ueda

ーー「自分がゴールを決めなくてもチームが勝てばいい」という考えを持ったきっかけはあったのでしょうか?

もともとは自分が目立てないとプロになれないとはわかっていたので、高校のときは目立つことを意識していました。だけど、それが本質ではない、大事なのはそこではないと気が付きました。やはり評価されるのは勝つチームにいるチームを勝たせられる選手です。例えば、3試合全て1-2で負けたけど3試合連続で点を取っている選手よりも、何回も1-0で勝たせているような選手の方が圧倒的に評価されます。

結局、チームを勝たせるゴールの数、勝たせるゴールを取れる選手が注目されるし、評価されると思ったんです。それはチーム内でも同じです。チームを勝たせられる選手が試合に出る。どこかでそのギャップに気が付きました。高校生のときは『年間何点取りたい』と思うこともありましたけど、そうすると1-2で負けても自分がゴールを決めていれば満足してしまっていましたね。

ーーそういう意識が芽生えた時期はいつ頃ですか?

高校の頃は得点のみにこだわっていました。自分の結果にだけこだわっていましたし、全国的にも決して強豪ではない高校だったので、一人で目立ってやるという感覚がありました。

でも、それはあくまで井の中の蛙という自覚もありました。その後、法政大学に行って、関東や全国のユースからトップ中のトップの選手がいる環境に入って、自分が小さい存在であったことは知っていたけど、改めて気が付きましたね。そこにいるのは自分よりも圧倒的に秀でているものがある選手たちばかりだったので、やはり自分のしたいことだけでは上手くいかなかったです。

ーーそこでどう変化していったのでしょうか?

勝つために何が必要なのかと考えました。自分にはどういうことを求められているのかをもっと具体的に考えるようになりましたね。

自分の通用する部分がどこで、自分にいらないものは何か。例えば、高校の頃は50mくらいドリブルしてシュートを打つこともありましたけど、大学ではそれは必要なかった。そういう風に自分を精査していったというか、自分の武器をより伸ばしつつ、自分が何をするべきで何を省くべきなのかをはっきりできたと思います。そこからは『自分は勝つために試合に出ているんだ。自分にはこういう役割があるんだ』と、自分の中で整理ができたと思います。

ーーそういう考えに辿りついたことでゴール数が増えたりしましたか?

ゴールの数は高校のときの方が取っていました。エゴイストと言えばエゴイストでしたし、強引に自分の結果ばかりにこだわっていたので。ただ、大学に入ってからは点を取る方法が自力ではなくなった。自分の武器は動き出しなのでパスを出してもらわないと生きない。だから、より味方に要求したり、相手を観察したりと、サッカー観は大きく変わったと思います。でも、もともと僕がしたかったのはそういうサッカーでした。

ーー今季、上田選手にとってはプロとして初めて年間を通して戦ったシーズンです。ここまでの結果をどう振り返っていますか?

いろいろと波はありましたし、自分なりに上手くいったと思うことがそんなに多くなく、上手くいかないことの方が圧倒的に多かったです。いまも順調ではなく、常に危機感を感じています。それでもシーズンの終盤にいろんな縁もあってスタメンに出ることができて、そこでたまたま点を決めただけのことです。でも、それが自分のいまの環境を作るきっかけになっていると思っています。それを逃さないように毎日やっているので、ここからさらに自分なりにステップアップしながら良い存在になっていきたいと思っています。

文・インタビュー 須賀大輔

1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。現在、ELGOLAZOでは柏レイソルと横浜FCの担当記者を務めている。

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