今回議論として取り上げたのは、J1第21節福岡対G大阪の67分の場面だ。
スコアレスで迎えた中で福岡に決定機が訪れる。ペナルティエリア内でボールを受けたFW山岸祐也がFWフアンマ・デルガドとのワンツーでG大阪のDFラインを突破し、フアンマからのリターンパスを右ももでコントロールし、右足でシュート。このシュートが決まって福岡が先制する。
しかし右ももでコントロールした際に右腕に当たったとVARから進言があり、主審はオンフィールドレビューを行わずにハンドの判定を下し、幻のゴールに。リプレイ映像を確認しても右腕に当たったかどうか極めてわかりづらい微妙なジャッジに波紋を呼んでいた。
まず議論の争点は、手に当たったかどうか。仮に手に触れていた場合は、ボールの軌道が変化してもおかしくないが、映像でボールの軌道を確認しても大きく変化しているようなことを確認できていない。その上で原博実氏は、「触れたか、触れていないかで言うとこれはゴールで良かった」と見解を述べる。
意見を求められた元国際副審の廣嶋禎数氏は、初見で見たときに「手に当たったかもしれない」と話すが、その後リプレイ映像を確認した際には、「確実なことを言えないので、疑わしきは罰せずという観点で私が主審なら得点を認めると思いました」とコメント。今回のケースは、映像を確認しても確実なことが言い切れない事象でもあった。
ではなぜ主審は、オンフィールドレビューを行わなかったのか。その点について廣嶋氏は、「VARが手に当たったと進言した場合には、オンリーレビューになると思います」と説明。一方で「主審も『当たったんじゃないかと思っていた』と思う。その後にVARから『手に当たっていた』と言われたので、(映像を)見ずに判断したと思いました。ただ当たったという確信はなかったので、(一度は)得点を認める判断をしたんだと思う」と主審の心情を憶測する。
今回の場合は、どのような措置を取るべきだったのか。「オンフィールドレビューをした方が納得感はあったのかな」と原氏が独自の見解を示す。廣嶋氏は、「エビデンスが100%ではないので得点にしようと考え方が1つ。もう1つは、最後は主審が決めることなので、主審が映像を確認して決める方法もある」と説明。ただ、VARの時間短縮が審判団として課題意識を持っている中で「VARの時間を短くすることと皆さんへの説得力という判断を審判団の中で考えていかなければいけない。(今回のケースは、)審判の判断面で難しさはあった」と見解を語った。
今回のような映像だけで確認できないケースの中で、同じジャッジを下すにしても主審の判断次第で”納得感”も変わってくる。今回は周囲を納得させるジャッジのためには、オンフィールドレビューを行う必要があったのかもしれない。次は、どのような議論を繰り広げてくれるか。今後もJリーグジャッジリプレイに注目だ。
Jリーグジャッジリプレイ
- 配信:DAZN
- 配信日:毎週火曜日
- MC:桑原学
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