最高峰の舞台とは縁のないスモールクラブが、新年早々に欧州王者と激突する。チャリティやフレンドリーの冠がつく試合に臨むのではない。世界最古の歴史を持つFAカップの3回戦で、ナショナル・リーグ(5部)首位のチェスターフィールドがチェルシーに真剣勝負を挑むのだ。
チェスターフィールドがプレミア勢と戦うのは、1996-97シーズンのFAカップ準決勝以来となる。その25年前はファブリツィオ・ラヴァネッリらスター擁するミドルスブラを相手に善戦。延長戦の末に3-3で引き分ける驚きを提供した(9日後のリマッチで完敗)。
今回もかませ犬になるつもりはない。チームを率いるジェイムズ・ロウ監督は前日会見で、ビッグマッチへの決意を口にした。
「この試合はクラブにかかわるすべての人にとって素晴らしいものだ。最大限のパフォーマンスを発揮した場合にかぎり、この日を楽しむことができる。勝つために、そこ(敵地)に行くつもりだ」
叩き上げのトーマス・トゥヘルにはシンパシーを感じているようで、その敵将との対峙も「楽しみ」という38歳は続ける。
「夢を見なければならない。夢がなかったら、私は今はここに座っていない。明日は多くの選手が夢を叶えることになる」
その選手に目を向ければ、奇跡を起こすためのキーマンは最後尾にいる。ジョー・ハート(現セルティック)のバックアッパーとして参戦した09年のU-21欧州選手権で決勝の舞台に立ち、翌年にはファビオ・カペッロ率いるイングランド代表に招集された経験を持つスコット・ローチだ。
これまで優に「20」を超えるクラブを渡り歩いたベテランGKは、トップレベルを肌で知る貴重な存在だ。雨あられのように飛んできそうなシュートを防ぎ、チームメイトを奮い立たせると同時に相手の焦りを誘えるようだと面白い。
また、5部で18ゴールを量産しているカボンゴ・ツィマンガへの期待も大きい。生まれはDRコンゴ、育ちはイングランドの点取り屋だ。所詮5部のプレーヤーとは侮れない。なにしろジェイミー・ヴァーディ(現レスター)も、24歳の時は5部でプレーしていたのだ。
チェルシー戦での活躍を機に、ツィマンガが一気にスターダムにのし上がる。それこそロウ監督が強調する「夢」のある話だろう。
そして、もうひとり話題性のある選手も。昨年10月に負ったふくらはぎの怪我が癒え、今週からトレーニングに復帰しているローレンス・マグァイアだ。
マンチェスター・ユナイテッド所属の実兄ハリーに通ずるヘディングが武器のDFは「キャリア最大の試合になる」と闘志を燃やしている。スタンフォード・ブリッジに駆け付ける予定のサポーター6000人に夢を見せたいところだ。
試合情報
FAカップ3回戦
チェルシー対チェスターフィールド
- 配信: DAZN
- 配信開始:1月9日(日)2:30
- 実況:若月弘一郎
- 会場:スタンフォード・ブリッジ
関連記事
● 【コラム】やたらと強いシティ。チェルシーやリヴァプールに逆転優勝の芽は?
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。