18歳の高卒新人の姿を見せたのはたった一度、キックオフ直後のファーストプレーだけだった。ボールが足につかずロスト。あの場面だけは「緊張はなかったけど予想外だった」。
しかし、そこからのMF松木玖生は、堂々の言葉しか思いつかないようなプレーを披露した。正確にパスをつなぎ、力強くドリブルで運び、相手には果敢にチャージ。ファウルを受けて倒されればゆっくりとソックスを直し立ち上がり、遅れて後ろからタックルに行ってしまいプロ初のイエローカードを提示されても、相手が起き上がるのを待ちサラッと謝る。その立ち振る舞いや仕草には18歳、高卒ルーキー、プロデビュー戦ということは微塵も感じなかった。
そしてこの試合、松木が最も感情を露わにしたのは絶好機を逃したときだ。前半、ゴール前で左足のミドルシュートを放つがGK正面を突いたシーンでは大きく吠え、後半、ゴール前に走り込み、届けば1点の場面でFW永井謙佑からのパスが目の前でクリアされると両手を広げ天を仰いだ。この試合、最もゴールへの意欲を示したのも松木であった。
「決め切らないといけない部分で決め切れなかったり、ボールを失う機会が一番多かったり最後の質はまだまだ」と反省や課題の言葉を残した松木であったが、開幕スタメンに抜擢したアルベル監督は「彼のプレーには満足していますし称えたいと思います。もっともっと成長しないといけないですけど、遠くない将来に日本サッカーに大きな喜びを与えてくれると期待しています」と賛辞を惜しまなかった。
改革元年、青と赤の首都クラブを変えていくのは、初々しさと落ち着きの両方を併せ持つ、44番かもしれない。
文・須賀大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。ELGOLAZOでは柏レイソルと横浜FCの担当記者を経て、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。
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