シティはヴィラに勝てば連覇が決まる
プレミアリーグもいよいよ最終節である。現時点で順位が決定しているのは3位チェルシーただひとつ。未曽有の大混戦だ。
さて、最終節の最重要事項が優勝争いであることは、改めていうまでもない。首位マンチェスター・シティはアストンヴィラに勝ちさえすれば、連覇が決まる。ただ、主力DFのルベン・ディアス、カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズが負傷のため出場できない。前節のウェストハム戦では急造CBのフェルナンジーニョが徹底的に狙われた。ジョゼップ・グアルディオラ監督も、DFの並びは熟考を要する。
また、シティがアストンヴィラに0-6の大敗を喫し、リヴァプールがウォルヴァーハンプトンに5-5で引き分けると、優勝を争う2チームの勝点、得点、失点がすべて並び、プレミアリーグ史上初のプレーオフに持ち込まれる。まぁ、確率的にはゼロに等しいが……。
2018-19シーズン開幕から今シーズンの37節にかけて、シティが積み重ねたポイントは355。リヴァプールは354。つねに激しく、美しく競い合ってきた両チームはどのようなエンディングを迎えるのか。全世界が注目している。
チャンピオンズリーグの出場権争いに関しては、ほぼ決着したといっていいだろう。アーセナルがエヴァートンに勝ったとしても、トッテナムはノリッジに負けなければ4位以内が確定する。ホーム最終戦とはいえ、すでに降格が決まっているノリッジは現在5連敗中。2022年は3勝3分15敗。ガナーズ・サポーターの願いは届きそうもない。
個人タイトル争いも興味津々だ
(C)Getty Images
むしろ、残留争いの方がスリリングだ。バーンリーは得失点差で20もリードしているが、リーズと肩を並べて35ポイント。アウェーのニューカッスル戦では絶対に勝利が必要だ。リーズも同様で、アウェーのブレントフォード戦はなにがなんでも3ポイントが欲しい。
先述した得失点差を踏まえれば、バーンリーがアドバンテージを握っているものの、最終節のアウェーゲームに残留がかかるシチュエーションはかなりしびれる。弱気は降格を意味するに違いない。
個人タイトル争いも興味津々だ。現在、リヴァプールのモハメド・サラーが22ゴール・13アシストで、両部門のトップに立っている。15日のFAカップ決勝で痛めた足首も大事に至らず、最終節は先発で起用される公算が大きい。
それにしても、サラーは凄い男だ。リヴァプール移籍後、5シーズンで4回も20ゴール以上を記録している。唯一届かなかった19-20シーズンも19ゴール。ここまで高次元を維持したストライカーは、おそらくティエリ・アンリ(アーセナル)とサラーだけだ。
もちろん、1ゴール差に迫るソン・フンミン(トッテナム)にはアジア人初の得点王、1アシスト差のトレント・アレクサンダー=アーノルド(リヴァプール)はサイドバックの概念を覆した名手だ。彼らも個人タイトルに値するとはいえ、やはりサラーの前ではかすんでしまう。1993-94シーズンのアンディ・コール、昨シーズンのハリー・ケイン(トッテナム)に続く、プレミアリーグ史上3人目の “個人ダブル” なるか。
「批判ばかりして申し訳なかった」
(C)Getty Images
なお、今シーズンを最後にアンソニー・テイラー、マイク・ディーン、ジョン・モスの3主審が引退する。残念だが、別れのときがやって来た。
♬もしもしモスよ、モッさんよ。世界のうちでお前ほど……ではなく、批判ばかりして申し訳なかった。だって、動けないんだもん。プレミアリーグの激しい動きについていけるフィジカルじゃなかったでしょ。しかも、どういうわけだか絶妙のダイアゴナルランでパスコースに入ってくる。いやはや……。
「今シーズン限りでモスが引退しますが……」というメディアの問いかけに、アストンヴィラのスティーヴン・ジェラード監督は巧みに切り返した。
「よかったんじゃないか」
モスに限らず、プレミアリーグの審判はレベルが高くない。いずれは世界のトップクラスに、ワールドカップ決勝を裁くような名士に、と期待されたマイケル・オリヴァーも、この1~2シーズンはミスが目立つようになってきた。
最終節は、よりデリケートなジャッジが望まれる。せめて、選手の邪魔だけはしないように……。
◆ ◆ ◆
最後に個人的な愉しみ方をちょっとだけ。
マンチェスター・ユナイテッドがクリスタルパレスに敗れ、ウェストハムにはブライトンに勝っていただき、ヨーロッパリーグ(EL)出場権を獲得するという構図である。
当コラムで何度も何度も指摘してきたように、ユナイテッドは瓦解している。ヨーロッパのコンペティションに出場しても恥をかくだけだ。
「ELの出場権など無用の長物だ。なんなら7位になってカンファレンスリーグでもいいじゃん。アレハンドロ・ガルナチョ、アルバロ・フェルナンデス、リース・ベネットなど、若手に実戦経験を積ませるには悪くない舞台だ」と、明るいはずの未来に思いを馳せながらエンジョイする予定だ。
酒も浴びるほど呑んでやろうじゃないか! ええーい、やけ酒ダァーッ!
文・ 粕谷秀樹
1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。
粕谷秀樹のNOT忖度
配信情報
プレミアリーグ第38節
マンチェスター・C対アストンヴィラ
- 配信: DAZN
- 配信開始:5月23日(月)0時00分
- 解説:戸田和幸 実況:下田恒幸
- 会場:エティハド
リヴァプール対ウォルヴァーハンプトン
- 配信: DAZN
- 配信開始:5月23日(月)0時00分
- 解説:水沼貴史 実況:野村明弘
- 会場:アンフィールド
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。