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ボローニャ

【連載】智将フランチェスコ・グイドリンの冨安健洋評「ワールドカップ優勝メンバーに引けを取らない」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第11回

【連載】智将フランチェスコ・グイドリンの冨安健洋評「ワールドカップ優勝メンバーに引けを取らない」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第11回(C)Getty Images
【インタビュー】イタリアサッカー界の重鎮がカルチョの魅力や神髄に迫る当連載。第11回はセリエAで555試合を指揮した智将、フランチェスコ・グイドリンがボローニャDF冨安健洋の真価を探る。

フランチェスコ・グイドリン。セリエAのオールドファンなら馴染みある名前ではないだろうか。

かつてヴィチェンツァ、ウディネーゼ、ボローニャ、パレルモ、パルマなどを率いたイタリア人のベテラン監督だ。教え子の中には数多くのカンピオーネ(一流)がいる。

セリエAでの指揮は実に計555試合。イタリアきっての戦術家として知られ、国外ではリーグアン(モナコ)、プレミアリーグ(スウォンジー)で指揮を執った経験も持つ。

現在はDAZNイタリアで名解説を行う65歳。そんな智将の目に、セリエA参戦2年目のボローニャDF冨安建洋のプレーはどのように映っているのか。

セリエAでも希少な適応能力の高さ

冨安? 彼には注目しているよ。リップサービスなどではない。まだ22歳だったね。今シーズンもっともブレイクした若手の1人という認識だ。

セリエAに限らず、これまで欧州でプレーした日本人選手と言えば、ミッドフィルダーやサイドバックが大半を占めていたと記憶している。

センターバックはそれこそほんの一握りだったのでは? その歴史とは裏腹に、現在のセリエAでは2人の日本人センターバックがレギュラーとして活躍している。

1人がサンプドリアの吉田麻也。そしてもう1人が、ディフェンスのポジションならどこでもこなせる冨安だね。

昨シーズンの冨安は、右サイドバックでプレーしていた。2年目の今季は右サイドバックに加え、本職のセンターバックでも起用されている。

彼なら左サイドバックでもプレーできるだろう。それだけの能力があるよ。ユーティリティ性に優れたプレーヤーという印象だ。

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彼のような器用さを兼ね備える選手は、どの監督にも重宝されるはず。いくつもの選択肢を与えてくれるのだからね。

複数のポジションを高いレベルでこなせるし、システムへの適応力も高いと想像できる。3バックでも4バックでも、問題なく対応できるだろう。

面識はないが、プレーを観ていて「とても賢いプレーヤー」と感じている。教わったことはすぐに吸収する、高い学習能力の持ち主のはずだ。

任されたポジションで最大限の力を発揮する。その適応能力の高さはセリエAでも希少であり、最大の長所だ。

ビッグクラブの補強リストに入っている

もう1つの大きな武器は、進取の気性に富んだプレースタイル。ディフェンダーだからと言って、決して守備に専念するタイプではない。常に攻撃に転じる機会をうかがっているんだ。

それは右サイドバックでの起用時に限らず、センターバックでプレーしている場合もしかり。そういった攻撃意識は、3バックの一角でプレーするシーンなどではとくに重要になる。

現代サッカーではディフェンスラインから攻撃を組み立てようとするチームが大半だ。従ってモダンなディフェンダーには、高いビルドアップ能力も欠かせない要素になっている。

とくに3バックの場合、その重要性はさらに増す。ビルドアップ能力に加え、積極的に攻撃参加するプレーも欠かせない。

3バックを採用しているアタランタがその最たる例。アタランタのような戦術を実践するチームは、冨安にまさにベストマッチだ。

セリエAに参戦して約1年半。この間の彼の成長スピードは驚くべきものがある。その成長ぶりが高く評価され、ビッグクラブの補強リストにもすでに入っていることだろう。

いや、私はむしろ確信しているよ。この1年半で、冨安はそれほどの急成長を遂げたのだから。

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もちろん、ビッグクラブへの移籍実現は、ボローニャの移籍マーケットでの戦略次第。ただ、彼が今後も順調にレベルアップしたら、来シーズン、ビッグクラブのユニフォームに袖を通したとしても何ら驚きはない。

移籍先がセリエAのビッグクラブか、国外のクラブか。それを明言するのは難しい。移籍マーケットはグローバル化しているからね。

今後、冨安がどう成長するか。そう考えたとき、もちろん創造的なプレーを繰り出すファンタジスタにはなりえない。とはいえディフェンダーとして十分過ぎるほどの足元の技術を持っている。左右両足で遜色なく蹴られるのも大きい。

前への推進力も素晴らしい。優れたフィジカルの持ち主でもあるね。高い集中力を維持できる能力も見逃せない。

当然、改善すべき点はまだまだあるよ。それについては、ボローニャの監督であるシニシャ・ミハイロヴィッチ(写真・左)が一番よく分かっているはず。ほぼ毎日、練習で見ているわけのだから。

正確な評価を下すには、その選手を指導した経験を持つ人物に聞くことが先決だ。だから、ここで私が彼の課題について触れるのは避けておこう。

現代サッカーに適した新世代のDF

冨安と似たプレースタイルの選手は正直、思い当たらない。ただ、彼が現代サッカーに適した新世代のディフェンダーだというのは確かだ。

ディフェンスと攻撃の両面で力を発揮することのできる、まさにモダンな感覚のディフェンダーだ。

私は多くのカンピオーネを指導する幸運に恵まれた。いずれもビッグクラブにステップアップする前だがね。若かりし頃のカンピオーネをたくさん知っているんだ。

エディンソン・カバーニ(マンチェスター・ユナイテッド)、ルカ・トーニ、クリスティアン・ヴィエリ、ジュゼッペ・シニョーリ、アントニオ・ディ・ナターレ(写真)、アマウリ、ルイス・ムリエル(アタランタ)、マルシオ・アモローゾ、エマニュエル・アデバヨール…。

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フォワードだけでも蒼々たる顔ぶれだろう。まるでビッグクラブで指揮を執っていた。私自身がそんな錯覚を覚えるほどだ。

ディフェンダーで言えば、右サイドバックのクリスティアン・ザッカルド、センターバックのアンドレア・バルザーリ、左サイドバックのファビオ・グロッソの名前が挙がる。

彼ら3人はみな、マルチェロ・リッピに率いられ、2006年のドイツ・ワールドカップで母国に4度目の栄冠をもたらしたイタリア代表の優勝メンバーだ。

3人とも現役を引退してしまったが、冨安は彼らに決して引けを取らないと思っている。それこそ彼らと4バックを結成しても、違和感なくプレーできるはずだ。

いや、それどころか最高のディフェンスラインになる気がするよ。冗談などじゃない。それくらい私は冨安の実力を買っているんだ。

彼が今後どう成長して、どんな活躍を見せるのか。シーズン終了までしっかり見ていきたいと思う。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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