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【連載】フィリッポ・インザーギが語るアタッカー最新事情「特に期待しているのはスカマッカだ」| カルチョS級講座 第27回 | セリエA

【連載】フィリッポ・インザーギが語るアタッカー最新事情「特に期待しているのはスカマッカだ」| カルチョS級講座 第27回 | セリエA(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー】カルチョの名だたる大物がセリエAを掘り下げるインタビュー連載。今回は元イタリア代表FWのフィリッポ・インザーギ(現ブレッシャ監督)がアタッカー最新事情を語り尽くす。

鋭い嗅覚でゴールを量産した往年の名ストライカーが当連載に初登壇。現在、セリエBのブレッシャで指揮を執るフィリッポ・インザーギだ。

“スーペル・ピッポ”の愛称で親しまれた現役時代の活躍は、誰もが知るところ。ユヴェントス、ミランで数々のタイトルを獲得し、2006年ドイツ・ワールドカップではアッズーリ(イタリア代表の愛称)の一員として世界の頂点に上り詰めた。

引退後は2014-15シーズンに古巣ミランで監督キャリアを開始。昨シーズンはセリエA昇格に導いたベネヴェントで指揮を執るも、力及ばずにB降格。今シーズンからはブレッシャで新たな挑戦をスタートさせている。

イタリアが世界に誇る偉大なレジェンドに、今のセリエAアタッカー陣はどう映っているのだろうか。

まさに今が旬のストライカー

テーマはセリエAのアタッカー最新事情だよね。それならまず、イタリアサッカー界が今夏に失った偉大な2人のストライカーについて触れないと。

ロメル・ルカク、クリスティアーノ・ロナウドのことだ。知っての通り、ルカクはインテルからチェルシーへ、クリスティアーノはユヴェントスから古巣マンチェスター・ユナイテッドに13シーズンぶりの復帰を果たした。

彼らのプレーがもうセリエAで観られないのは、正直、残念だ。2人はただのカンピオーネ(一流選手)ではない、超が付くカンピオーネだからね。

セリエAが失ったものは、決して小さくない。当然、世間もそういった認識だろう。ただ、自分は今回のケースを、また違ったベクトルから見ているよ。

クリスティアーノはたしか18-19シーズンにレアル・マドリードから、ルカクは1年遅れの19-20シーズンにマンチェスター・ユナイテッドからセリエAに参戦したね。

彼らは当時、セリエAという舞台を新天地に選んだ。まずそのこと自体が歓迎すべきこと。セリエAが魅力的なリーグである何よりの証拠だからさ。

今オフの流出にしても、前向きな視点で考えてみよう。プレミアリーグのビッグクラブがセリエAという価値あるマーケットから買い物をした。そうした見方ができる。

それに、セリエAにはまだまだ注目すべきストライカーはたくさんいる。

その代表格が、ラツィオのチーロ・インモービレだ。彼は決して期待を裏切ったりしない。もう何シーズン(5シーズン)も二桁ゴールを決め続けているんじゃないかな。

アッズーリが53年ぶりに欧州の頂点に立ったEURO2020でも、不動の1トップとして重要な役割を果たしていた。

31歳と年齢的にも脂が乗った、まさに今が旬のストライカー。今シーズンも開幕2試合で早くも4ゴールを量産しているし、間違いなく注目すべきアタッカーだ。

気に入っている若手が3人いる

2021-08-29-Giacomo Raspadori of US Sassuolo

若いストライカーも着々と育ってきているね。ロベルト・ピッコリ(アタランタ)、モイーズ・キーン(ユヴェントス)、ジャンルカ・スカマッカ(サッスオーロ)、フェデリコ・ボナッツォーリ(サンプドリア)、ジャコモ・ラスパドーリ(サッスオーロ | 上写真)、フェデリコ・キエーザ(ユヴェントス)――。

期待するヤングタレントを思い浮かべただけでも、これだけの名前がすらすらと出てくる。

他のリーグにどれだけの有望株が存在するかは分からないけど、数の多さで言えば、セリエAも決して劣っていないはずだ。

個人的に気に入っている若手はラスパドーリ、スカマッカ、キーン。イタリア代表でインモービレに次ぐ存在になっている3人だ。

なかでも特に期待しているのがレンタル先のジェノアからサッスオーロに復帰したスカマッカ。今シーズン、大ブレイクする予感を漂わせているよ。

彼とコンビを組むラスパドーリもしかりだ。22歳のスカマッカに、21歳のラスパドーリ。若手育成に力を注ぐサッスオーロならではのチョイスだね。

何しろサッスオーロは今夏、彼ら2人を鼓舞するために、フランチェスコ・カプートを移籍期限ギリギリのタイミングでサンプドリアに手放した。

34歳のそのベテランは過去2シーズン、点取り屋として攻撃陣を牽引し続けた、いわばチームの顔だった。そんな重要選手を放出してまで、クラブは若い2人の力に懸けたということ。期待の大きさがうかがえるね。

サッスオーロのこの決断はかなり好意的に受けとめているよ。かつてのセリエAと言えば、それこそ即戦力の外国人選手を獲得することが主流だったからだ。

当時より資金繰りが厳しい今は、若手を積極的に起用して育てることがより重要になっている。現役監督の一人として、私もその大切さを理解しているつもりだ。

ベテランの存在も決して見逃せない

2021-08-22-Filippo Inzaghi and Rodrigo Palacio during the Serie B Match between Ternana vs Brescia

そして今のセリエAでは、その若手と対極的なベテランの存在も決して見逃せないことも伝えたい。

ミランのズラタン・イブラヒモヴィッチは10月で40歳、サンプドリアのファビオ・クアリャレッラは来年1月に39歳。ローマからインテルに移籍したエディン・ジェコにしても、今シーズン中に36歳になる。チェルシーからミランに加わったオリヴィエ・ジルーも9月末で35歳だ。

私が指揮を執るブレッシャにも重要なベテランがいるよ。この夏、ボローニャからやってきたロドリゴ・パラシオ(上写真)だ。39歳のこのアルゼンチン人とは、私がボローニャで指揮を執った18-19シーズンからの付き合いでね。縁を感じているんだ。

年齢だけを見ればピークを超えた選手だと考えるだろう。そんな彼らが第一線で活躍し続けられるカルチョのレベルはどうなのか。そう首をかしげる人もいるだろう。

だが、レベルは決して低くない。たとえば私が指導しているパラシオは、フィジカル的な衰えを感じさせない。トレーニングも常に100%でこなせている。イブラ、クアリャレッラ、ジェコといったベテランたちも、きっと同じはずだ。

彼らは経験に裏打ちされた老練なプレーで、チームに大きなパワーを与えてくれるだろう。そんな信頼のおけるベテランを擁するチームは、決して無様な姿をさらすことはない。そう思うな。

ミランのスクデット獲得は夢じゃない

私の古巣であるミランだと、イブラとジルーが2トップを組む可能性もあるね。2人合わせて実に73歳。普通では考えられないような高齢コンビだ。

それこそ先に触れた若手の積極起用で言えば、時代の流れに反しているように見えるかもしれない。ただ、ミランはモナコからピエトロ・ペレッグリという若きタレントもきっちり獲得している。

最近はケガに泣かされている20歳のアタッカーだが、将来性溢れる有望株だ。ジルー、イブラヒモヴィッチという理想的なお手本の下、じっくりと育てたい。ミランのそういった戦略がうかがえるね。実に良い補強をしたよ。

それにペッレグリの他にも、ミランにはラファエウ・レオンやサンドロ・トナーリ、ブラヒム・ディアスといった若い才能がひしめいているんだ。ベテランと若い力がきっちりかみ合えば、それこそ10-11シーズン以来のスクデット獲得だって夢じゃないと思うよ。

特別な思い入れがあるミランの話となると、どうしてもヒートアップしてしまうね。

そんな個人的な期待が大きいミランのライバルとなりそうなチームを挙げるなら、やはりこちらも私の古巣であるユヴェントスかな。

もともと下馬評の高かった今シーズンのユヴェントスだが、ウディネーゼとの開幕戦で2-2の引き分け、ホームで迎えた2節のエンポリ戦では0-1とまさかの黒星を喫した。

それでもユーヴェはユーヴェだ。何より各ポジションに2人ずつ素晴らしい戦力を揃えている。それこそが、彼ら最大の強み。これからしっかり巻き返せるだろう。

今シーズンはミラン、ユヴェントスを含め、少なくとも6チームにスクデットの可能性があると見ているよ。白熱した戦いが期待できるのは確実だ。

これは日本向けのインタビューなんだろう? では最後に、私が考える理想の2トップを特別に教えよう。

イブラヒモヴィッチとインモービレの2人さ。おそらく完璧なコンビになると思うよ。実現の可能性は……まったくないと思うけどね(笑)。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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