「自分の強みを磨いて日本の武器になっていきたい」。山根視来の進化は止まらない｜W杯アジア最終予選｜日本代表

自身にとって初めての大舞台。勝てばワールドカップ出場が決まる大一番を前にして、山根視来の脳裏には“最悪の事態”もよぎっていた。

「ウォーミングアップ中など、動いているときは大丈夫だったけど、正直、『もし負けたら』と考えると、想像できないくらいのプレッシャーは感じていたし、『ワールドカップに出られなかったらどうしよう』となったらということも考えてしまった。最後にロッカールームでミーティングをして、『行くぞ』となったときや整列しているときは早くボールに触りたいと思っていたけど、君が代を歌ったあとに隣にいた（長友）佑都くんが『俺らの方が強い。行くぞ』と何回も言ってくれていたので、それで『やってやろう』という思いになれた」

そして何よりも山根を奮い立たせたのは日の丸を背負うようになったからこそ味わった悔しさ。「代表に呼ばれないときよりも呼ばれたけど試合に出られないほうが悔しい。そのときの悔しさは自分の記憶に残していた」と明かし、「このプレッシャーを感じられる立場にいることに感謝して、このプレッシャーを楽しんでやろうと。そういう感情が何回もループしていた」と振り返る。

いざ、キックオフのホイッスルが鳴り、スイッチが入ってしまえば、試合前に感じていた緊張はどこへやら。自分のプレーをすることだけに集中し、見事、決勝点をアシストする。

「（原口）元気くんにボールが下がったときにもう1回欲しくて要求してボールを付けてもらった。そのときに（伊東）純也くんがどう動くかを感じ取りながら、横目で守田（英正）のことをずっと見ていて、がっぽりスペースが空いていたのは見えていたので、そこに入ってきて欲しいと思ったときに守田と目があった」と右サイドでボールを持ったときの景色と考えを語る。

そこからクロスを上げるまでの流れについては「守田なら入ってきてくれると信じてスペースに出して、相手の視野が後ろに行った瞬間に走り出した。あそこは守田がイメージどおりの動きをしてくれた。（守田からの）ボールが流れてしまったけど、そうなれば（三笘）薫がマイナスのスペースに入ってくると思ったのでクロスは中の状況は見ずに上げた」と説明。「あそこはちゃんと決める薫がすごい。（川崎Fで）一緒にやっていて同じ感覚を共有してきからこそのゴールだと思う」と“フロンターレイズム”で奪った値千金のゴールを振り返った。

ワールドカップ出場を決めてすぐ、息つく暇もなくやってくるのは本大会のメンバー入りをかけたし烈なサバイバル。世界最高峰の舞台に立つために山根の意識はすでに切り替わっている。

「ペナルティーエリア内に入って行く回数やシュートを打てるエリアかぎ分ける感覚はSBの中ではなかなかいないタイプだと思っているので、そういうところはさらに磨いて日本の武器になりたい」

プロ入りまでは無名の存在であった男の目の前に広がる大舞台。「一生に一回くらいの気持ちでワールドカップに出ることにすべての照準を合わせてやっていきたい」。まだまだ山根はその歩みを止めることなく、進化し続ける。

日本 対 ベトナム｜試合日程・配信・放送予定

W杯アジア最終予選では、日本代表のホームは地上波（テレビ朝日）とDAZNが同時に中継・配信を行うが、アウェイではDAZNが独占配信する。

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