【2021のヒーローになれ】昨年の自分を超えろ。松尾佑介は今季も自分自身を信じて突き進む ｜ 横浜FC

現時点でそれを保証する根拠はない。ただ、そう期待を抱かせてくれるだけの理由はしっかりとある。

プロ2年目を迎える男から漂う確かな自信と程よい余裕。色白で柔和な表情とは対照的に、心の内ではいまかいまかと開幕を待ちわびているようだ。2021シーズン、横浜FCのMF松尾佑介が“ヒーロー”になる気がしてならない。

今季を戦う上で必要となる平常心

初めてJ1を戦った2020シーズンの数字を松尾は“両面”から振り返る。20試合7ゴール。チームトップスコアラーに輝いたことはポジティブに捉えているが、特別指定選手ながらJ1昇格に貢献した2019シーズンよりも出場数が下回ったことについては満足した様子を見せない。

「（全試合に出られていれば）2けた取れた可能性もあるし、逆に取れない時期を過ごすことで学ぶことがあったかもしれない。両方の可能性があったからこそ試合数を伸ばしたかった」

フルシーズンを戦うことで見えてくる景色を目に焼き付けられなかった。そんな悔しい思いと昨季に得た経験を胸に臨む今季、松尾が大切にするのは平常心だ。

「昨年できたことが、今年もできるわけではない。逆に昨年できなかったことが、今年はできるかもしれない。だからこそ1日1日を積み重ねていくことを大事にしたい。良いときも悪いときもあるだろうけど、一喜一憂せずに、いつも自分がやるべきことは変わらないと意識して取り組むことが大事だと思っている」

「自分がやることは変わらない」

つい数年前まで無名の大学生だったこの男の変貌ぶりに驚く人も多いだろう。しかし、本人の中には確かな実感がある。この場所にたどり着くまでにたくさんの失敗を経験してきたからこそ、この思考にたどり着いた。

「小学生、中学生、高校生、大学生とプレーしてきてブレてしまうこともたくさんあったけど、その度に『どういうプレーをするべきなのか』、『どういうメンタルでいるべきなのか』と自分なりに精査しながらやってきた。そこで『こういうときはこうだ』と自分の中に落とし込めるようになったことが大きい」

また、ここまで歩んできたキャリアやそれに対する周囲の反応と本人の思いの“ギャップ”がいまの松尾を作り上げた。

「周りは期待していなくて、これまで何度も厳しい評価も受けてきた。でも、昔から自分は自分自身に期待していた。その結果、今まで想像していなかったことがいまの自分には起きているし、これからもそうなる期待がある。目に見えないことをずっと積み重ねてきたことが、いまの自分につながっていると遠回しながら感じているので、これからも自分がやることは変わらない」

これまで何度も何度も自分で自分を超え、周囲を納得させてきた。自分を信じてやり続けることで夢が目標に、目標が現実に変わることを誰よりも松尾は知っている。だから2021シーズンも誰に何と言われようと松尾はブレずにプレーする。「自分が誰よりも自分に期待しないといけない」と強く信じて。

文・須賀大輔

1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。これまで柏レイソルや横浜FCの番記者を担当し、現在、ELGOLAZOではFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務める。

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