ミランの下部組織出身で、現役引退後も古巣でプリマヴェーラやトップチームの指揮官を務めて、元日本代表MF本田圭佑に指導した経験も持つブロッキ氏。「カルチョは私の情熱」と話す46歳の元ミラン指揮官が『ダゾーン・イタリア』の特番「1 vs 1」に出演し、ステファノ・ピオリの下、11年ぶり19回目のリーグ優勝を果たした古巣について見解を示した。
「まずステファノのことは以前から尊敬していた。人間としても素敵な人物で、困難に直面した時期もあったが、努力で切り開き、重要なキャリアを築いた。そんな彼がミランでスクデットを獲得したことは素晴らしい。ミランは私の“家”であり、応援しているチームだ」
財政難に悩まされ、長年にわたって低迷期が続いたミラン。だがOBのパオロ・マルディーニTD(テクニカルディレクター)とその右腕のフレデリック・マッサーラSD(スポーツディレクター)が中心となり、DFテオ・エルナンデスやFWラファエウ・レオンら若き才能を発掘してチームを作り上げ、名門クラブを復活へ導いた。
「若手の発掘を中心とした補強は、どのチームも目指すべき道だと考える。優勝するためには、まずクラブが必要だ。それからどんな監督を選択するかをディレクターが考え、それから監督に合う選手を選択していくことになる。このすべてが揃えば、重要な目標も達成できるはずだ。ミランもまずディレクターを選択し、それから監督を決め、監督が必要とする特徴を持つ選手を選択したんだ」
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昨季のミランのサプライズはトナーリ
セリエA2021-22シーズンのミランでは、テオやレオンにとどまらず、DFフィカヨ・トモリやDFピエール・カルルら守備陣、さらには新加入のGKマイク・メニャンも躍動を見せた。ブロッキ氏は中でも、22歳のトナーリが大きなサプライズだったと話す。
「私はトナーリが好きだ。彼は若く、ミランでの1年目は苦しんだが、今年は力強く、決意をもってシーズンを戦った。ミランへの忠誠心は素晴らしかったし、パーソナリティにおける成長も目を見張るものがあった。その褒美としてシーズン終盤に重要なゴールで試合を決め、表紙を飾る人物となった」
「素晴らしいパフォーマンスは、ゴールを挙げることでより引き立てられる。あの終盤のゴールにより、彼のこれまでの努力がより際立ったように感じる」
幼少の頃からのミラニスタとして知られ、ジェンナーロ・ガットゥーゾに憧れるトナーリには、将来的にクラブのバンディエラや主将としての活躍を期待する声も上がる。だがブロッキ氏は、“主将トナーリ”に異論を唱えた。
「トナーリには偉大なキャリアが待っているはずだ。だが個人的にキャプテンマークは(ダヴィデ)カラブリアが似合っているように思う。私がミランの下部組織で直接指導した選手であり、彼のことは大切に思っている。私も彼のように下部組織からトップチームに昇格し、多くの若者の模範となった。我々は下部組織においても、ミランのカルチョを再建していかなければならない。カラブリアのような模範を強調していくべきだと考える」
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ミランのセリエA2連覇に必要なこと
セリエA2022-23シーズンは、現地時間8月13日に開幕を迎えるが、ブロッキ氏は、ピオリ率いるミランが2連覇を達成する上で必要とされる要素について、持論を展開した。
「リーグ優勝の基礎となったあの謙虚な姿勢を忘れないことだ。自分たちの努力や特徴、若手選手たちの可能性を信じることは重要なことだ。それに必ずしも資金を投じることが重要なのではない。資金を上手く、正しい形で使うことが大切だ」
スター軍団を管理できるのはアンチェロッティだけ
近年、衰退が続いたセリエAだが、イタリア人指揮官のカルロ・アンチェロッティがレアル・マドリードでUEFAチャンピオンズリーグを制したほか、リーグ優勝を飾り、欧州5大リーグを制した初めての指揮官となった。ブロッキ氏は、自身のミラン時代の恩師について見解を示した。
「先ほども言ったことだが、選んだ監督に合う選手たちがチームにいなければならない。それが重要なことだ。アンチェロッティは、極めて強力な選手たちがいる重要なチームへ行き、唯一、彼だけがパーソナリティの強い選手たちを管理できることを証明した。監督それぞれが自身の哲学やDNAを持つべきであり、他人のアイディアに流されることなく、決意をもって推し進めていくべきなんだ」
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最後にブロッキ氏は、現役時代の最強の同僚を問われると、「圧倒的に(元ブラジル代表)ロナウドだよ」と話したほか、現役選手で対戦したい選手を問われると、「レオンみたいな選手と対決してみたかった」と明かした。
ミランの指揮官を退任した後、ブレシアやモンツァ、ヴィチェンツァの指揮を執ったブロッキ氏。現在はフリーとなっているが、「カルチョは私の情熱なんだ。したがってカルチョ界にとどまることが私にとって重要だ。選手にも監督にも、良い時もあれば悪い時もある」と語った。
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