昨シーズンは新進気鋭の若き指揮官ヴィンチェンツォ・イタリアーノの下、コッパ・イタリア準決勝に進出し、リーグ戦では7位につけてUEFAカンファレンスリーグ出場権を確保したフィオレンティーナ。5年ぶりにヨーロッパの大会に出場するフィレンツェのチームは、今月中旬に幕を切るセリエA2022-23シーズンへ向けて準備を進めている。
そんな中、指揮官のイタリアーノらが『ダゾーン・イタリア』のプレシーズン特番「インサイド」に出演。シーズン開幕へ向けて意気込みなどを語った。ドイツ生まれの44歳の指揮官は、イタリア北部のモエーナで行った合宿に手ごたえを感じている。
「昨シーズンは7位以内に入るために全力を尽くし、おかげでカンファレンスの予選に出場することができる。フィオレンティーナが長年の時を経てヨーロッパの舞台に戻ることができたことは、我々にとって誇りであり、最高のパフォーマンスを見せられるよう努力したい」
「暑いフィレンツェとは違い、ここでは良いトレーニングができ、最高の合宿になった。選手の一部は合宿が始まる前から準備をしていたようだが、個人練習はグループ練習とは違う。チームではインテンシティの高い練習を行っているので、筋肉系のトラブルについては、最大限の注意を払うようにしている」
「選手全員が毎年、前年を上回る成長を目指してシーズンをスタートするはずだが、個人としてだけでなく、チーム全体としても、すべてにおいて進化できるようにしたい。今回の合宿では、温泉などリラクゼーションの時間も確保したが、私自身も映画やドラマを見て仕事から離れる時間を作るようにしている。監督をしていると、選手たちを成長させるために必要なことを24時間考えてしまうからね」
さらにフィオレンティーナ指揮官は、今夏の移籍市場でレアル・マドリードから加入したセルビア代表FWヨヴィッチに言及。昨シーズンはマドリードで出場機会に恵まれなかった24歳FWの復活に期待を寄せた。
「我々はヨヴィッチに再び火を灯し、チームをけん引できる重要な選手へと戻してやらなければならない。彼は素晴らしいシュートを持っている偉大なカンピオーネ(王者)だ」
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世界最強選手との経験を糧に再起を図る新加入ヨヴィッチ
今年1月の移籍市場でユヴェントスへ移籍したセルビア代表FWドゥシャン・ヴラホヴィッチの後継者となることを求められているヨヴィッチ。元レアルFWはフィレンツェ行きを選択した理由を明かした。
「半年間、フランクフルトにレンタル移籍していた時期もあるが、レアル・マドリードに3シーズン所属し、世界最強の選手たちと一緒にプレーした。またレジェンドである2人の指揮官、ジネディーヌ・ジダンおよびカルロ・アンチェロッティと一緒に仕事をすることもできた。もちろん多くを学び、経験を積むことができたよ。これほど強い選手たちと毎日、練習することは、あらゆる面で成長するための刺激になる」
「フィオレンティーナを選択した理由はいくつかある。一番重要だったことは、クラブが非常に野心的であると同時に、監督が攻撃的なカルチョの哲学を持っていたことだ。これはFWの選手にとって根本的なことだよ。ただ、イタリアのほとんどのクラブが”攻撃的ではない”と言いたいわけではなく、フィオレンティーナは、攻撃的なカルチョを展開しつつ、ゴールを量産できるチームだということ。だからこそ、僕は最善の決断を下したと思っている」
「それにみんなも知っているように、フィレンツェでは、バルカン半島出身の多くの選手たちが偉大な勝利を収めてきた過去がある。現在のトップチームには、他に3人のセルビア人選手(ニコラ・ミレンコヴィッチ、エディン・テルジッチ、マティヤ・ナスタシッチ)がいる。僕も過去の栄光を再現できるよう願うだけだ」
「また、僕はキャリアのこのタイミングで、イタリアーノのような監督の元でプレーする必要があると考えた。常にハードな練習に取り組めるよう後押ししてくれる人が自分には必要だった。監督と一緒に偉業を達成できるよう願っている」
セリエAデビューへ向けて準備を続けているヨヴィッチ。24歳FWは新天地における自身の目標を明かした。
「最高の状態でシーズン開幕を迎えられるよう、ハードなトレーニングに打ち込んでいる。難しくはないかもしれないが、新選手が初めてのゲーム哲学に慣れるためには時間が必要になる。できる限り早くチームに溶け込めるように努力している」
「個人的にはフィオレンティーナでカンファレンスリーグ優勝を果たしたい。ヴィオラのサポーターはこうした勝利にふさわしいはず。フィオレンティーナは今年、ヨーロッパの舞台に復帰したが、このチームがヨーロッパの常連となるべき時がやって来たのだと思う」
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一度は離れた地で真価の発揮を目指すGKゴッリーニ
フィオレンティーナの下部組織出身のGKゴッリーニは、マンチェスター・ユナイテッドへ移籍した2012年以来、10年ぶりの古巣復帰となった。2度目のフィレンツェでの挑戦へ意気込みを見せた。
「フィオレンティーナは僕にとって特別な場所だ。まだ少年だった15歳の時、このチームに加入したが、キャリアで経験を積み、大人に成長して帰って来ることができた。あの時の別れは素晴らしいものではなかったが、純粋に自分の気持ちを優先した決断だった。UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)を観戦している16歳の少年が『マンチェスター・Uでプレーしないか?』なんて声を掛けられたら行きたくなるのが普通じゃないかな」
「まるで、ここ2~3年プレーしていなかったように感じることもある。だが実際のところ、トッテナムでは(ウーゴ)ロリスがいたので僕の出場は10試合だったが、1年前まではレギュラーだったんだよね。セリエAは1年ぶりだが、恋しかったよ。イタリアは僕の故郷だから、イタリアもセリエAも大好きだ。今年は、自分が(アタランタ時代に)UCLで決定的な仕事をしたGKであることを証明する年にしたい」
ゴッリーニはこれまで、ハードなトレーニングを課すアタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニやトッテナムのアントニオ・コンテから指導を受けてきた。
「ガスペリーニにコンテ、イタリアーノと厳しい監督が好きかって? 確かに慣れてはいるね。僕よりも、厳しい監督に慣れている選手を見つけるのは難しいかもしれない。だが高い目標に到達するためには、こうした人物が必要であることも事実だ」
GKとして毎日のようにボールに向き合うゴッリーニ。ボールは良き友人であると同時に、ゴール前で見せる予期せぬ動きは、女性のようであると例えた。
「サッカーボールは僕にとって偉大な友だちであり、ダメな友人でもある。愛したり、嫌ったり、気まぐれな女性のようなところがあると思う」
(C)Getty Images
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