長らくクラブのバンディエラとして活躍した主将のFWロレンツォ・インシーニェが昨シーズン限りでチームを去り、守備の要であったDFカリドゥ・クリバリもチェルシーへと移籍したナポリ。さらにはFWドリース・メルテンスやDFファウジ・グラム、GKダビド・オスピナなど、ロッカールームにおいて重要な役割を担ってきたメンバーが次々とルチアーノ・スパレッティの元を離れ、物議を醸す移籍市場の幕開けとなった。
失望から始まったメルカート
ナポリの熱狂的なサポーターは当然、将来への希望を失い、クラブに対する信頼は大きく揺らいだ。長年にわたってナポリの主力として活躍してきたインシーニェらが相次いで退団したことで、もはや優勝はおろか、スクデット争いを期待することも難しくなっていた。
今夏、MFフヴィチャ・クヴァラツヘリアやDFキム・ミンジェ、DFマティアス・オリベラやDFレオ・ウスティガールら新たな顔ぶれがチームに加わったものの、再びナポリファンの心をつかむには至らなかった。
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ナポリを再び灯した熱狂
だが信じられないことに、ナポリのコアなファンは、わずか数日で心変わりしたのだった。ナポリは、日本時間16日に行われたセリエA開幕節でヴェローナと敵地で対戦。若く野心を抱いたスパレッティの選手たちは5-2の逆転勝利をもぎ取り、チームの潜在能力を示した。
さらにメルカートにおいても朗報が届いた。アトレティコ・マドリードの闘将ディエゴ・シメオネの長男であるFWジョヴァンニ・シメオネがヴェローナから加入。さらにはイタリア代表の新星FWジャコモ・ラスパドーリおよびトッテナムMFタンギ・エンドンベレの両獲りが報じられたことで、ナポリファンの心に火が灯った。
すると、日本時間22日にスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナで予定されているモンツァとのホーム開幕戦のチケットは、わずかな時間でほぼ完売となる熱狂ぶりだった。
だがナポリの補強はまだ終わったわけではない。パリ・サンジェルマン（PSG）に所属するGKケイラー・ナバスの加入が強く囁かれており、MFファビアン・ルイスのPSG移籍の条件に加えられる可能性がある。コスタリカ代表GKは、まさにルチアーノ・スパレッティが求める勝者のメンタリティを持ったベテランGKであり、ナバスの移籍が実現すれば、ナポリとサポーターは自信を持って大きな夢を志すことができるはずだ。
ポリバレントな2人とナポリのアルゼンチン人
新戦力の加入により、ファンの熱狂が高まる一方、スパレッティの選択肢も必然的に増えることになる。トスカーナ人指揮官は中盤において、タンギ・エンドンベレの経験値だけでなく、テクニックや戦術力に頼ることが可能となる。25歳の元トッテナムMFは、攻守両面において持ち味を発揮できるユーティリティプレーヤー。ナポリ指揮官が求めている質と量を兼ね備えた選手だ。
ユーティリティ性と言えば、サッスオーロで頭角を現したジャコモ・ラスパドーリの存在も忘れてはならない。22歳の若きイタリア代表FWは、トップ下やセカンドトップにウィング、さらにはセンターフォワードと攻撃のすべてのポジションをカバーできる現代的な選手で、まさにスパレッティのジョーカーとなり得る。すでにセリエAでのプレー経験も豊富だが、ナポリはさらなる成長と飛躍の場になるだろう。
27歳のジョヴァンニ・シメオネに至っては、イタリアで6年目のシーズンを迎え、あり余るほどの経験を積んできた。セリエAや対戦相手を知り尽くしており、いかにしてゴールを奪えるのかも熟知している。スパレッティにとって、FWヴィクター・オシムヘンの代役として、彼以上の選択肢は他にない。
ナイジェリア代表FWと身体能力や技術面で違いは見られるものの、戦術的特徴は似通っていると言えるからだ。その上、“ナポリのアルゼンチン人選手”と言えば、常に大きな意味を成す。シメオネ自身も、アルゼンチンの英雄の名を冠したスタジアムでプレーすることの意味を、十分に理解しているはずだ。
SSC Napoli
文・ジュゼッペ・アンナルンマ
放送・配信予定
- ナポリ vs モンツァ
- 配信：DAZN
- キックオフ：2022年8月22日（月）日本時間1:30
- 会場：スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ
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