開幕から8試合を終えて20ポイントのナポリとアタランタが首位を走るセリエA。3位にはダークホースのウディネーゼ、その背後からはラツィオやミラン、ローマ、ユヴェントスが追いかける。そんな中で迎えるセリエA第9節では、ミラン対ユヴェントスのビッグマッチも組まれた。
ピオリvsアッレグリ
ミラン指揮官ステファノ・ピオリにとって、マッシミリアーノ・アッレグリはキャリアにおける最大の敵。過去19回の対戦で5分14敗と大きく負け越しており、一度も勝利を挙げたことがない。さらに直近の9試合で挙げたゴールは昨年10月のFWアンテ・レビッチの得点のみ、その上、セリエAで9年以上にわたって常に先制点を奪われている。
指揮官同士のこれまでの対決は、アッレグリに軍配が上がるが、日本時間9日にサンシーロで行われるクラッシコでは、どちらがより有利な条件で臨めるのだろうか。『ダゾーン・イタリア』の「Kickoff」では、解説陣が意見を交わした。まずは、かつてミランやユヴェントスでプレーした経験を持つアレッサンドロ・マトリ氏が見解を示した。
「これまでの成績やパフォーマンスの継続性の点では、ミランの方が良い状態で臨めるだろう。ただ、ユヴェントスは直近で2連勝しており、再び脅威となり得るかもしれない」
続いてローマやインテルで活躍した経験を持つルイジ・ディ・ビアージョ氏も、ミランの優勢を指摘。「どちらかと言えば、ミランの方が様々な観点において優位に立っている。だがユーヴェも明らかに復調し始めた。まだ回復期であるとはいえ、強いメッセージを発信している」と述べた。
一方、元ラツィオMFでチェゼーナ時代の長友佑都の同僚マルコ・パローロ氏は、マッシミリアーノ・アッレグリのチームを推した。
「ユヴェントスの方が良い状態だ。直近で2連勝しており、勢いがある。次戦でチームの成長を証明しなければならないはずだ。対するミランの状況は異なる。リーグ戦で良い成績を残していたが、ナポリに敗れ、チェルシーにもひどい敗戦を喫したばかりだ」
(C)Getty Images
ミランOBのマッシモ・アンブロジーニ氏は、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)におけるピオリのチームの0-3での敗戦を振り返りつつ、敗北に過剰に反応する必要はないと説いた。
「チェルシーとの敗戦を重視し過ぎるべきではない。ひどい敗北ではあったが、重要な選手たちを欠いていた背景もあり、たった1試合で評価をひっくり返す必要はない。同様にユーヴェが不振から脱出したと考えるのも時期尚早だ。確かにユーヴェは自信を取り戻したように見えるが、対するミランも自信を大きく失ったわけではない」
さらにユヴェントスOBのチーロ・フェラーラ氏も、ビッグマッチに挑む両チームの状態について分析した。
「0-3での敗戦は、何らかの影響を残すはずだが、ミランが対戦するユヴェントスは、チェルシーのようなリズムでプレーするチームではない。リズムという点からまったく異なる試合になるはずだ。したがってミランのパフォーマンスも本来のレベルに戻ってくる可能性もある」
「だが対戦相手となるユーヴェは直近で2連勝しており、より良い精神状態で臨んでくることが考えられる。とはいえ、勝った相手が格下であったことも事実だ。いずれにせよ、負けた方はつらい夜を過ごすことになるだろう」
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放送・配信予定
- ミラン vs ユヴェントス
- 配信:DAZN
- キックオフ:2022年10月9日(日)日本時間1:00
- 解説:細江克弥 実況:北川義隆
- 会場:サンシーロ
ナポリの悲願のスクデットは?
ここまで6勝2分の成績で20ポイントを獲得し、アタランタとともに首位を走るナポリ。ルチアーノ・スパレッティのチームは、今シーズンこそ、ディエゴ・マラドーナ氏を擁した1989-90シーズンから遠ざかるスクデットを手にすることができるのだろうか。
マトリ氏は、「タイトルを目指せるチームであることを毎週のように証明している」と指摘。「チャンピオンズリーグ(UCL)においても偉大なパフォーマンスを見せており、スクデットを懸けて戦う準備はできているはずだ」と太鼓判を押した。
またパローロ氏も同様に「ナポリは最高の時期を過ごしている。選手たちの試合へのアプローチを見ても、成熟したチームであることがうかがえる。今シーズンはナポリにとって重要な1年になるだろう」との見解を示した。
ディ・ビアージョ氏は、王者ミランがユヴェントスと対戦し、首位で並ぶアタランタが3位ウディネーゼと対決する今節が正念場になると指摘。「まさにライバルとのポイント差を大きく広げるチャンスこそ、ナポリにとって大きな試練となるだろう。だがきっと準備を整えて臨んでくるはずだ」と述べ、クレモネーゼとの対戦に注目した。
かつてナポリで10シーズンにわたってプレーしたOBのクリスティアン・マッジョ氏も、スパレッティの下で躍動する古巣に期待を寄せつつ、次戦へ警戒を強めた。
「現時点では、スクデットを目指せるはずだと考えている。直近の試合では、ミランやユーヴェ、インテルを上回る気持ちの強さを見せていた上、パフォーマンスや成績において継続性も示している。スクデット争いに挑む準備はできていると言える。ただ、次戦はクレモネーゼ戦。なかなか手強いチームである上、UCLの直後はメンタル面で難しいかもしれない。重要なテストになるだろう」
そんな今シーズンのナポリについて、同じくOBのフェラーラ氏も見解を示した。スパレッティのチームの強みとして中盤のスロバキア代表MFスタニスラフ・ロボトカや新戦力の若手を挙げ、賛辞を贈った。
「ロボトカは凄まじい。今シーズンの序盤戦だけでなく、昨シーズンから絶対的な中盤の主となっている。現時点で、ヨーロッパ最強MFの1人であると考える。それに技術面だけでなく、ロッカールームのリーダーであった偉大なカンピオーネ(王者)たちを忘れさせる活躍を見せている若手選手たちは素晴らしい。ナポリのような環境は簡単ではなかったはずだが、セリエAで実力を示せることを証明した」
(C)Getty images
放送・配信予定
- クレモネーゼ vs ナポリ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2022年10月10日(月)日本時間1:00
- 会場:スタディオ・ジョヴァンニ・ジーニ
今季のサプライズ2チームの行方は?
セリエA第8節終了時点で、ナポリとともに上位3位以内に名を連ねるアタランタとウディネーゼ。今シーズンの序盤戦でサプライズを巻き起こす2チームは、どこまでたどり着けるのだろうか。
元ミランFWは、「2チームは今シーズンのセリエAのサプライズだ。おそらくアタランタは、ヨーロッパの大会への出場権を手に入れることができるだろう」と指摘。「一方、ウディネーゼは最終的に上位7位以内に入ることはできないかもしれない」との見方を示した。
インテルOBも「UCLはアタランタにとってスクデット獲得と同等の価値があるはずだが、ベルガモのチームはUEFAの大会に出場できるだろう」と予想。だが「正直、ウディネーゼについては、(アンドレア)ソッティルやファンのことを思うと、現在の順位をキープして欲しいが、上位6位以内を目指すのは難しいように思う」と述べた。さらにラツィオOBも「アタランタはかなり上位を目指せるだろう。ウディネーゼは上位8位以内といったところだろうか」と続いた。
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その両チームは今節、スタディオ・フリウーリにおいて直接対決を迎える。アタランタOBのセルジョ・フロッカリ氏が見解を示した。
「ウディネーゼは素晴らしいサプライズだが、フィジカルやスピードがある完成されたチームだ。守備ラインを下げて上手く耐えながら、カウンターを仕掛けるための選手が揃っている。ベトや(ジェラール)デウロフェウ、(ロベルト)ペレイラ、(デスティニー)ウドジェらは全員、現代的なプレーヤーと言える」
「一方のアタランタは昨シーズン、疑問を残すパフォーマンスだったが、今シーズンは良いスタートを切り、セリエA最強の守備陣を誇る。(ジャン・ピエロ)ガスペリーニは、1点でも多くゴールを挙げたいと思っているはずだがね。攻撃面においても成長は見えるが、最強の守備があったからこそ、フィオレンティーナの攻撃にも耐えられたのだと考える」
GETTY
放送・配信予定
- ウディネーゼ vs アタランタ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2022年10月9日(日)日本時間22:00
- 会場:スタディオ・フリウーリ
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