セリエA第11節では、無敗の首位ナポリが4位ローマとの上位対決を制したほか、3位ミランがシルヴィオ・ベルルスコーニ元名誉会長のモンツァを退けて2位へ、5位ラツィオが2位アタランタに勝って3位へ浮上するなど、順位表では変動が見られた。また7位インテルは3連勝、8位ユヴェントスは2連勝を収めている。
伊解説陣が見たローマ対ナポリ
そんな中、ユヴェントスOBのアンドレア・バルザーリ氏ら『ダゾーン・イタリア』の解説陣が「Sunday Night Square」に出演。まずは1-0でナポリの勝利に終わった、スタディオ・オリンピコのビッグマッチについて見解を示した。
現役時代にナポリやラツィオなどでプレーした経験を持つダリオ・マルコリン氏は、敗れたローマに消極的な姿勢が見られたと指摘する。
「どちらかと言うと、ローマがナポリのプレーに合わせて戦っていたように見えた。ナポリの力を考慮し、特に前半なら脅威になれると判断したのだろう。後半はディフェンスラインを少し下げ、そのために相手がエリア内へ入ってくる形になった。だがナポリがボールを保持すれば、両サイドを使った攻撃を仕掛けてきて、そのクオリティがより引き立つことになる。しかしナポリの得点はほぼカウンターの形からだった」
するとバルザーリ氏が続ける。
「つまりナポリにパス回しをさせず、ローマは目的を達成したということだろう。だがこうしたプレーをしながら点を取るのはかなり難しい。(ジョゼ)モウリーニョはもっと決定力を期待していたようだがね。それに(ロレンツォ)ペッレグリーニが常に(スタニスラフ)ロボトカをマンマークしなければならないとなると、かなり消耗もするだろう」
オシムヘンの欧州級ゴール
続いて話題は80分にFWヴィクター・オシムヘンがマークしたナポリの決勝点に。FWマッテオ・ポリターノのアシストを受けたナイジェリア代表FWは、DFクリス・スモーリングのマークをかわしつつ、難しい角度からシュートを決めてみせた。
バルザーリ氏が「美しいゴールだ。ヨーロッパクラスのゴールと言えるだろう」と賛辞を贈ると、ナポリOBは自身の見解を示した。
「あの角度は難しい。オシムヘンは上手く縦のスペースを狙い、スモーリングの背後を取ることに成功した。絶妙なタイミングで、ルイ・パトリシオからしたら、外に出たはずのボールがギリギリで中に入って来たように感じるので難しいはずだ」
影を潜めた新星クヴァラツヘリア
23歳のオシムヘンが殊勲のゴールを挙げた一方、シーズン序盤にサプライズを巻き起こしてきたジョージア代表FWフヴィチャ・クヴァラツヘリアの活躍は目立たなかった。マルコリン氏は以下のように分析しつつ、今シーズンのルチアーノ・スパレッティのチームの強みを語った。
「クヴァラは決定的な役割は担わなかったが、守備などでもチームに貢献している。それに昨シーズンは“オシムヘンのナポリ”だったチームが、今年は“クヴァラツヘリアのナポリ”、“ロボトカのナポリ”とも言われ、複数の選手の名前が挙がるようになった」
バルザーリ氏も「全員参加のチーム」と指摘するように、より厚みを増した選手層を武器に快進撃を続けるナポリ。元ナポリMFは、スパレッティのチームがクオリティの飛躍を遂げた背景に若い力を挙げた。
「今日は、いつもと異なる采配でローテーションを行ったにもかかわらず、それでも同じ勝利という結果を手にした。実際のところ、昨シーズンと比較して攻撃陣で変わったのはクヴァラだけだ。中盤は以前と変わらない。代替オプションとしてラスパドーリやシメオネも増えたが、若手選手の熱狂がチームのリズムを変えたんだ」
ミランの10番ブライムの奮起
一方、ステファノ・ピオリ率いる王者ミランは、かつてクラブの黄金期を支えたシルヴィオ・ベルルスコーニ氏およびアドリアーノ・ガッリアーニ氏がタッグを組む昇格組のモンツァと対戦すると4-1で勝利し、力の差を見せつけた。
セリエA初先発となったFWディヴォック・オリギなど一部のメンバーを入れ替えて臨んだ一戦。勝利の主役となったのは、年下のFWシャルレ・デ・ケーテラーレの加入により奮起し、ドッピエッタ(1試合2得点)をマークしたMFブライム・ディアスだった。マルコリン氏は23歳のスペイン人MFを、ローマのFWパウロ・ディバラに例えた。
「ピオリは素晴らしかった。ターンオーバーを行い、最低限の労力で最大限の結果を得た。それにチームは、ブライムを通じて縦への攻撃を繰り広げた。ブライムは、右サイドへ開いてから中へ戻るようなプレーをしていて、もはやこれが彼の十八番となっている」
「ゴールシーンはまるでディバラのようだった。ディバラはボールを受け取るとコントロールし、ダイアゴナルに逆サイドの隅を狙ったシュートを打つ。ブライムはまさに“ディバラのゴール”を決めたと言えるだろう。20メートル手前でボールを受け取った時、すでにダイアゴナルなシュートをイメージし、どこへ蹴るべきかを把握しているように見える」
続いて元ユーヴェDFも、21歳FWとのポジション争いを迫られ、闘志を見せたブライムのプレーについて見解を示した。
「非常に好きな選手だが、ゴール前における内容が少し足りないように感じていた。だが最近のゴールシーンを見ると、デ・ケーテラーレの加入が良い刺激になったように思う。以前ほどレギュラーの座が確約されていないという自覚からか、プレーから怒りが感じられる」
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難所フィレンツェで重要な白星のインテル
首位ナポリから8ポイントの遅れを取る7位のインテル。3-3で迎えた試合終了間際に決勝点を挙げ、フィレンツェでの打ち合いを4-3で制した。バルザーリ氏は、シモーネ・インザーギのチームの勝利やドッピエッタを記録したFWラウタロ・マルティネスの復調を評価する一方、依然として未解決の守備の課題に言及した。
「この勝利は、チームにとって大きな意味を持つ。不振から完全に抜け出せたように見えなかったが、難しいフィオレンティーナのホームにおいて、重要な勝利を挙げた。ただ、まだ守備に苦しみ、失点が多すぎるように思う。いずれにせよ、ラウタロは並外れたコンディションを取り戻したように見える。(ニコロ)バレッラも本当に良かった」
続けてマルコリン氏も「1カ月前のトンネルから抜け始めたように見える。あのバルセロナ戦での勝利で息を吹き返した。ただ、以前は守備が強みだったはずだが、現在は問題となっている。その意味でバランスを見出さなければならない」と指摘した。
(C)Getty images
ユヴェントスの道のりはまだ長いが…
ユヴェントスOBは、インテルと同様にスクデット争いで大きく出遅れた古巣に言及。マッシミリアーノ・アッレグリのチームは、これまでの成績不振を払拭するかのように、アリアンツスタジアムでエンポリに4-0と圧勝して2連勝を飾ったが、今後、スクデット争いへ絡んでいくことが難しい状況であるとの見方を示しつつ、分析を行った。
「まだ第11節を終えたところで、インテルは追い上げが可能だろう。だがユヴェントスの道のりは長い。これ以上のミスはできない。直近の2試合はかなり中身が充実し、チームとしてまとまっていたが、スクデット争いでは、ナポリと10ポイントの差がある。2位のミランとも7ポイントの差だ。追いつくのは不可能ではないが、非常に困難であると言えるだろう」
「トリノで行われた試合では、アッレグリのチームの姿が見えた。ユヴェントスは、チームの顔ぶれや監督の哲学、クラブのDNAから見ても、スペクタクルなプレーを見せることはない。だがトリノでは、非常に堅固なチームの姿が見えた」
「30分間、枠内にシュートが打てず、まだ苦戦している様子が感じられたが、チームは少しずつ安定を取り戻している。ホームでエンポリに4-0と勝てたことは、自信の表れでもある。(次戦となるUEFAチャンピオンズリーグの)ベンフィカ戦は正念場となるだろう」
マルコリン氏は、ユヴェントスが昇格組モンツァに敗れた後、気持ちの面での変化が転換点になったと指摘している。
「メンタル面でスイッチを切り替えたところが良かった。ユヴェントスは闘志を取り戻したと言える。エンポリ戦で4点を取れたのは単なる偶然ではない。正しい姿勢を取り戻し、チームが再びまとまり、熱狂を取り戻したから4点を取れたんだ。インテルがバルセロナ戦で調子を取り戻したように、ユヴェントスにとってベンフィカ戦が再出発点となるかもしれない」
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