先週末のセリエA第11節において、よく走り、納得できるパフォーマンスでモンツァに4-1と勝利を収めたミラン。だがこの日、今夏の補強の目玉であるシャルレ・デ・ケーテラーレを巡り、ミランのサポーターの間でやや困惑が広がった。
ベルギー代表の21歳はモンツァ戦において、セリエA初ゴールのビッグチャンスを逃したが、心配事はそれだけではない。トップ下でのプレーに関して、ライバルのMFブライム・ディアスとの差は明らかだった。それでもミランでは、現在のパフォーマンスがケガの影響によるものであるとの見方もあり、前向きな意見が主流となっている。Getty
ミランが渇望した現代型のトップ下
ミランの首脳陣は今夏、トップ下をチームの弱点であると分析し、補強を優先。センターフォワードの背後のポジションに的を絞り、デ・ケーテラーレの獲得に全力を注いだ。ところが現在、指揮官のステファノ・ピオリは、ミランの同ポジションにおいて最高の躍動を見せるブライム・ディアスの姿を目の当たりにしている。
ピオリは、クオリティが垣間見えるものの、苦戦するベルギー代表の若き才能の現状に配慮し、「ディアスは3年前からここでプレーしているが、シャルレはここへ来て数カ月だ」と言葉をかけた。確かにその通りだが、時間が必要な時に時間は与えられないものだ。
かねてよりデ・ケーテラーレの名前はヨーロッパ中に知れ渡っていた。そのクオリティはもちろんのこと、戦術眼やフィジカルを活かしたトップ下において未来型の新たなプレースタイルで実力を示してきた。だが現在、フィジカルや技術面ではなく、精神面において壁に突き当たっている。モンツァ戦で決定機を逃した際にピッチで見せた反応は、そのすべてを物語っていると言えるだろう。
現在はパーソナリティの面で後退してしまったデ・ケーテラーレ。だがディアスがユヴェントス戦やモンツァ戦で勝利をもたらすプレーを見せたように、ベルギー人FWも去るボローニャ戦において中盤のデュエルに勝利し、力強いカウンターを仕掛けて白星に貢献したことも事実だ。
チームメートを力に
彼がクオリティを持っており、いずれ実力を発揮できることは確かだ。ベルギー代表FWは、ブレイクの瞬間を待つ中、ピオリ率いるミランのチームメートや組織力が頼りとなるかもしれない。
もしベルギー人FWが10月中に納得できるパフォーマンスを示すことができなかったとしても、チームメートたちが彼の不振を感じさせないほどの活躍を見せれば、メディアやファンの批判をかわすこともできるだろう。
しかしミランがリーグ戦において、引き続き結果を出すことができなければ、どうなるだろうか。だが、状況が反転する可能性もある。デ・ケーテラーレが才能を開花させた時、ミランはどんなチームに進化することができるのだろうか。GETTY/Milan
不安に包まれた若き逸材
FIFAワールドカップ(W杯)も迫る中、ケガから復帰すると恐る恐るモンツァ戦のピッチに立ったデ・ケーテラーレ。サンシーロにおけるベルギー人FWは、まだ技術的に憶病になっており、プレーを仕掛けることより、ミスをしないことを心配しているような印象を受けた。
デ・ケーテラーレは相手選手とのデュエルに勝利した後、ゲームメイクを試み始めたものの、スピードで相手をかわしたり、裏へのボールを狙ったりするよりも、簡単な宿題をこなすことに終始していた。ほぼ無人のゴール前で犯したミスも、そんな彼の姿勢を象徴するものと言える。
戦術面での誤解?
モンツァ戦においては、一連の戦術変更もデ・ケーテラーレの味方にはならなかった。21歳FWはインサイドハーフの位置でプレーし始めた後、トップ下へと移動。終盤は偽9番を務めた。戦術的なユーティリティ性が彼の強みではあるが、適応に苦労し、混乱する中では、完全に頭が空っぽになり、彼らしくないプレーが浮き彫りになってしまうだけだ。
デ・ケーテラーレもチームも自信を必要としている。だがその間も時は流れ、答えを出す時がやって来る。
文・マックス・クリスティーナ
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